投稿元:
レビューを見る
サプリのように自分の機嫌を取ってくれるアイテムとしてのオンラインカウンセリングで、できること・できないことを整理して復習する機会になった。
サプリ志向、つまり, 現在 の 若者 にとって 音楽 は 自分 の 気分 を 調整 する ため の 身近 な ツール で あり, 音楽 性 を 楽しむ のとは 異なる 次元 で, 楽曲 が 断片的 に 消費 さ れる よう に なっ て いる という ので ある( 木島, 2016, p. 58)。
遠隔心理支援
テレサイコロジー
匿名性と心理的安全性
デジタルネイティブ
非言語コミニュケーションなし
自動思考を検討するための12の質問
①自動思考が,その通りであるとの事実や根拠(理由)は?
②自動思考に反する事実や根拠(理由)は?
③自動思考を信じることのメリットは?
④自動思考を信じることのデメリットは?
⑤最悪の場合,どんなことになる可能性があるか?
⑥奇跡が起きたら,どんなすばらしいことになるか?
⑦現実には,どんなことになりそうか?
⑧以前,似たような体験をした時,どんな対処をしたか?
⑨他の人なら,この状況に対してどんなことをするだろうか?
⑩この状況に対して,どんなことができそうか?
⑪もし(友人)だったら,何と言ってあげたいか?
⑫自分自身に対して,どんなことを言ってあげたいか?(伊藤,2006)
最後に,SNSカウンセリングの効果についてのエビデンスに触れておきたい。これまでの研究は,遠隔心理支援には,対面の心理支援に劣らない効果があることを示してきた(Baraketal.,2008;Hiltyetal.,2013など)。ただし,一口に遠隔心理支援と言っても,用いられている遠隔コミュニケーション技術は,ウェブサイト,電子メール,電話,ビデオ通話などさまざまであり,面接の頻度や回数もさまざまである。SNSによるワンショットの心理支援を扱った研究は,非常に少ないのが実情である。ドーリングとリックウッド(Dowling&Rickwood,2013)は,テキストによる即時的なチャットによるカウンセリング(本書でSNSカウンセリングと呼んでいるもの)の効果を検証した,6つの研究をレビューしている。彼らによれば,研究の数は少ないものの,これまでなされてきた研究はいずれも,チャットによるカウンセリングの効果を肯定している。先にも触れたが,フッキンクとハーマン(Fukkink&Hermanns,2009a,2009b)は,本書で扱っているSNSカウンセリングとほぼ同じ,ワンショットのチャット相談の効果を,電話相談の効果と比較した。子どもたちを対象としたチャット相談と電話相談において,いずれの形態の相談でも,相談前よりも相談後のほうが相談者の気分はより良くなり,問題の深刻さが低下していた。これらの効果において,チャット相談と電話相談の間に違いは見出されなかった。ケスラーら(Kessleretal.,2009)は,ベック抑うつ尺度の得点が高い成人を,55分のチャットによる認知行動療法を5〜10回受ける介入群と,こうした働きかけを受けずに待機する待機群にランダムに割り当てた。4カ月後の時点で,抑うつ得点が10以下にまで低下したのは介入群の38%,待機群の24%であった。8カ月後のフォローアップ時点では,抑うつ得点が10以下で��ったのは介入群の42%,待機群の26%であった。このように,いずれの時点でも介入群のほうがより多くの割合でうつが改善しており,そこには統計的に有意な差が認められた。これらの結果は,チャットによる認知行動療法に効果があることを示唆するものである。以上のように,SNSカウンセリングの効果を検証したこれまでの研究は,おおむね肯定的な結果を報告している。しかし,残念ながら,その研究の数は非常に少ない。SNSカウンセリングが今後,社会に浸透していくことを考えれば,さらに多くの研究によって検証されることが必要である。
つまり,現在の若者にとって音楽は自分の気分を調整するための身近なツールであり,音楽性を楽しむのとは異なる次元で,楽曲が断片的に消費されるようになっているというのである(木島,2016,p.58)。
「焼き肉行きたい!」と言うよりも,友だちに配慮して,「なんかガッツリ系のものでもいいかも」という言い方を選択するような適応の仕方がある,とも言い換えられるだろう。このように,“あえて主体的に踏み込まない”選択をする若者世代では,はっきりと相手に本音を伝えること,生の感情を出すこと,関係や対象に深く関わろうとすることは,回避される傾向にある。
SNSカウンセリングは,いじめ相談をLINEで受ける試みから始まりました。若者のコミュニケーション・ツールは電話からSNSに移行していますが,いじめ相談の窓口は電話が主流のままでした。このミスマッチ状況を改善すべく,2017年9月,長野県が行政で初めて,中高生を対象としたLINE相談を行いました。このLINE相談では,いじめに関する相談件数は,相談全体の8%でした。いじめ相談を主なターゲットとしながら,8%という数字は少ないとお感じになったかもしれません。しかし,私の印象はその反対でした。私は長年,中学校や高等学校でスクールカウンセラーをしてきましたが,いじめに関する相談は,きわめて少ないものでした。全国的な統計でも,スクールカウンセラーに寄せられる相談のうち,いじめに関する相談は1%程度にとどまっています(文部科学省「学校における教育相談に関する資料」2015年)。