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【生き物を飼うことは「祈り」に似ている】ウーパールーパー、カエル、蛾、蝶……風変わりな生き物を飼う人々から、底知れぬ世界が広がる。全米図書賞受賞作家の最新小説集。
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生き物を飼っていた経験はある。
たしか、コオロギだったような。バッタもいたような。いつ飼い始めていつ死んだのか、覚えていない。
生き物は人の生活のことなんて何も気にしていない。
人は生き物を飼うことで気づく何かがあるのか。
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飼う人 柳美里 2021/1/24
「生き物を飼うことは、『祈り』に似ている」という帯に書かれた文に興味を惹かれて購入。
内容としては、日々の生活になんとも言えない閉塞感や鬱憤を抱えた人達がなんらかの生き物を飼う話。
別に、それで日々に潤いが出たとかそういう話じゃない。
一つ感じたのは、登場人物達が現状からの脱却を望んでいること。
そして、買っている動物(もしくは昆虫)が成長であったり羽化であったりとなんらかの変化を遂げていくこと。
まあ、有り体に言ってしまえば変われない自分と変わっていく動物(もしくは昆虫)の対比なんだろう。
そう考えると、「生き物を飼うことは、『祈り』に似ている」という言葉も凄く納得がいく。
現実に置き換えても、疲れたOLが癒しを求めて猫を飼うなんてのはありふれた話だ。
変化というものはとてもエネルギーを必要とすることなんだと思う。
それに、羽化の前に蛹の中でドロドロになるように、変化によっては自分を一度壊すことになるかもしれない。
この本の登場人物達を現状からの脱却を望んでいるだけで努力していない怠け者だ、と一蹴することは簡単だろう。
でもそれは強者の理論であって、みんながみんな強者なわけじゃない。
弱者には弱者なりの苦しみがある。
そんな苦しみに寄り添ってくれる本だと思う。
読んでいて思ったのが、描写の細かさ。
シーンを書くのに、具体的な数字などを使って描写しているのがなんだか印象に残る。
そのぶん脳内でシーンを映像化するのがやりやすいとは思うけど。
▶︎pick up
時間があると余計ことを考えて過去と接触してしまうから、休みなく働いて時間を換金したほうがいい。
自分の存在の重心を自分の存在の外には置きたくない
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生き物を飼うとその生命力をそばで見ることができる。
『飼う』理由は人さまざまで、他人に理解できるものばかりではないと思うけど、何かしらの心の葛藤を持っている人には希望を見つけることができる1つの手段となるのかもしれない。
関係ないけど、何年も飼っているメダカのつがいが先日一緒の日に死んでしまった。
でも、その数日後の朝。鉢の中には新たに生まれた針子(子メダカ)でいっぱいだった。
とても穏やかな気持ちで1日過ごすことができた。
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生き物を飼うとしても、一緒に過ごす生活の中で自分では重ね合わせないような感情が詰まった短編集。
少し見えるような見えないような光や気付きを自分なりに想像して、重くなりそうな気持ちを休ませながら、割と順調に読了。
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「飼う」という行為によって、「人」や「生きる」と繋がっているように感じた。
ラストの羽化して飛んでいく様が、僅かながらの希望に感じた。
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4編の内1話と最終話が対になっている。連作短編とあるが2話3話との繋がりは見つけられずである。 全体的に閉塞感があり、わずかに光が見えそうで見えない。どの主人公も死に近いところにいる気がした。死"が"近いのではなく、何かの拍子であっさり死を選びそうな脆さ。作中で飼われる生き物は一般的に"可愛い"と言われる生き物ではなく(最近はそうでもないか?)、登場人物も世話こそすれ積極的に愛情を注ぎ可愛がっていないようにも見えるが生き物たちの存在が彼らの脆さを支え現世に繋ぎ止めているように思えた。飼われる生き物はイボタガ・イエアメガエル(アロワナ・金魚)・ウーパールーパー・ツマグロヒョウモン。虫と両生類(と魚)。これが犬や猫や兎だったらまた物語は違った雰囲気になっていたのでは。 除染作業員の会話やTVコマーシャル等、物語自体の進行には関係ない描写が多くそれが生々しく逆に主人公らと世界との隔たりを色濃く感じさせた。
1話目。トーマスはどこに行ってしまったんだろうね。 2話目。自分が愛着を持って働いている会社の業績がどんどん悪くなっていくのもリストラに合うのも会社を裏切るような真似をしてしまうのも読んでて辛かった。 3話目。岡ノ谷氏の解説にあるようなママ→僕→カエルへの依存は読み解けなかった。再読してみよう。 4話目。妻と蝶を重ねているのが切ない。夫側はこう思っていたのか。始めから相性の合わない夫婦だったのだろうな。
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読了しました。イボタガやウーパールーパー、イエアメガエルやツマグロヒョウモンなどの風変わりな生物を飼育している人々の話です。
登場人物は皆リストラされてコンビニ勤務だったり結婚10年にして子供が出来なかったり、母子家庭だったりと生活に何かしら問題を抱えています。静かな世界で登場人物の息遣いだけが聞こえるような、静かで生々しい作品でした。重い話が多く読んだ後も暫く心にへばりついてるような、そんな話が多いです