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報われないと分かっていても、ついうっかり自分の気持ちを伝えてしまうのは恋愛あるあるだなと思う。
特に10代の初恋なら、なおのこと。
そんな想いに対して、晴明さまが応える訳ないのも分かり切っていた。
分かり切っていたけど、いざその場面を見るとやはり切なさは覚えてしまうもので。
今回は特に突っ走ってしまった桃花を冷静にさせることも必要だったから致し方ないのもあるのだけれど。
ただ、想いの答え方が風流だったし、それ以上のことを考えていた展開には非常に驚かされた。
いや、晴明さま、頑張る方向性ちょっと予想外すぎるんですけど、それは。
タイトル詐欺にならないように努力する晴明さま。
でもそれは、他ならぬ不肖の弟子のためかと思うと、先程とは別の意味で涙が出てきた。
十分特別扱いじゃないか。
最近は不用意に桃花に触らないようにしていたし、大人の女性として扱い出したなとも思っていたのだが、この点に関しては別の解釈も今回出てきてしまったので難しい問題になってしまった。
でも桃花、君は十分特別扱いされている。
それは間違いない。
例えそれが恋愛ではなくても。
ただ個人的にはワンチャンあってほしいと思っている。
成長した桃花を見てその時、晴明さまが後悔してくれればいいとも思っている。
閑話休題。
今回は他作品キャラの登場がたくさんあって、個人的には嬉しい話も多かった。
双子の登場もよかったし、何より篁卿がめっちゃ喋ってくれたのは本当に嬉しかった。
最近は時子さまは出ても、彼に台詞がないパターンもあったので。
しかも久々に登場した毒舌っぷり。
最高である。
あの晴明さまを「うちの若造」って切って捨てているあたりがもうたまらない。
そう言えば、今の立場は晴明さまの方が上だが、実年齢的には篁卿の方が結構上だったな、実際。
時子さますら「うちの若造」呼ばわり。
晴明さま、ぼろくそに言われておる。
それだけ桃花ちゃん、愛されている。
道真公も京都入り。
双葉くんの成長ぶりも多々拝めて、主役二人以外の活躍からも目が離せない8巻。
今回も様々な話が盛り込まれているが、歴史的エピソードからいうと織田信長絡みである。
信長でそこを絡めてくるかという話の展開なので、その点も痺れた。
まさか瀬戸内海へ行くとは(詳細は実際に読んでみて欲しい)
ただ色々なエピソードが出ても、まだ京都の守り自体は完成していない。
この先どうなっていくのだろう。
『からくさ図書館』シリーズは時子さまの冥官としての成長が楽しみな作品でもあったが、このシリーズは桃花の「高校生として勉学面での成長」「陰陽師としての成長」そして「初恋からの成長」と様々な成長シーンを楽しめるお得なシリーズだと思っている。
主人公が未熟な10代の少女(そして人間)だからこそ拝める成長だなと。
篁卿ではないが、娘の成長を見守る母親のような目線で最近は読んでいる気がする。
取り敢えず、色々桃花を振り回した件についてはお説教です、晴明さま。
(篁卿が実際説教したと思われるが、その場面を見てみたかった)