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第2巻がついに出た。ページ数は減ったけど、今度はフルカラー。第1巻がわりとバラエティに富んだ内容が多かったが、第2巻は比較的地味な内容。地味ではあるけれど、こちらのほうがより<闇の国々>の世界観をよく描出している。それはこの闇の国々という作品群がある種の都市論であるという事。たとえば第2巻に収録された「ブラゼル」などはブリュッセルになぞらえていることが明確にされている。日本のマンガやアメコミではこういう視点は生じ得ない。ヨーロッパという都市が極めて重要な役割を果たす場所だからこその作品と言えるかも知れない。
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前巻と比べて短編が多く、観念的な話も多いので若干面食らったが、緻密な絵柄や先の読めない展開は流石で次第に引きこまれていく。「サマリスの壁」は砂漠や飛行機のイメージと独白が続くことからメビウスのような印象を受けた。「パーリの秘密」は一番観念的でよく分からず、パリに理解がないと読み解けないのかもしれない。「ブリュゼル」の文明批判とも思しきテーマは一歩間違えば安易になってしまうが、誰か一人を悪の根源にしないで、誰もを突き放さない姿勢にすることで好感を持てる。「古文書官」は精緻なイラストを読み解きながら闇の国々に繋がるという不可思議な話。自分もこの本を読み解くうちに闇の国々に繋がれるのだろうか。
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1巻とは違って悪夢的な牢獄に囚われたような不気味さ。どっちにしても面白いですが。物語を語るための必然なのはわかるけど、コミック形式から離れた文字表現はちょっと不満。同じように必然にせよ『古文書官』で物語世界『闇の国々』をメッチャ持ち上げてるのも居心地悪くは感じた。とかまあ不満はあるけど他に類を見ない建築ロマンチックな作品で最高に良かったです。
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カフカ的な世界になってきた。
闇の国々というタイトルは、光が入らないという意味での闇ではなく、人生の暗闇のような、光の当たらない人生、手探りで進むしかない世界をさしているのかもしれない。
そして、不可解な世界から人々は抜け出していく。
ある種の冥土巡りなのかもしれない。
この不可思議な世界を支えるのは、スクイテンの圧倒的な画力。構築美だ。