投稿元:
レビューを見る
面白くて一気に読んでしまった。
昔あった神戸の事件を連想させる。あの事件も確か猟奇的でまだ子供だった犯人は後に告白本を書いたはず。
その事件が題材というか、ネタなのかな。
物語の向かう先は予想していた方向にいくんだけど、なるほどそーゆーことかと唸ってしまった。
母の気持ちが一番、理解できる気がする。
東京に逃げた正和を責める気にはならないけど、ある種の正義を振りかざさなければ、済んだことのような気もする。
でもそれがあったからこその物語の真実。
うまい!
投稿元:
レビューを見る
1997年、神戸連続児童殺傷事件がモチーフになってるいのだろうと読み始めてすぐに気付く。
あの事件のニュースの衝撃は今でも忘れられない。
そして現実でも犯人は本を出版している。
フィクションが好きな私としては、現実の事件に似すぎているので、純粋にフィクションとして楽しめなかった。
ただ私も書店員として働いているので、本屋の葛藤みたいなものはなんとなく理解できる。
最後の終わり方は意見が分かれるところだろう。
個人的には納得できなかった。
投稿元:
レビューを見る
重くて暗いテーマを いくつも含んだ作品
少年犯罪
過激な報道と 周りで生活する人たちの受ける傷
匿名な世界で飛び交う誹謗中傷
若者の社会不安
それぞれの事情が交差して そこで感情が動く
動いた感情が行動を起こさせる
本を読むことに 意義と愛情を持っている人の気持ちを代弁してくれるような場面も多い
ミステリーとしてだけではなく感情の 深い部分を揺する 面白い作品だった
投稿元:
レビューを見る
てっきりビブリオミステリーだと思って図書館にリクエストしましたが、読んでみたら全然違う未成年者による猟奇殺人の話だったのですが、せっかくリクエストした本だし(泣)最後まで読みました。
書店で契約社員として働いている椎野正和は17年前に中学の同級生の田上紗耶香が死我羅鬼潔と名乗る隣の家の少年に猟奇殺人によって殺されています。
隣の家の藤本創(はじめ)こそが犯人であり、創の弟の祐(たすく)と正和の弟の秀和は親友同士でした。
マスコミは正和の指紋が出たという警察の調べにより椎野家にも押しかけ、一時は共犯の可能性を示唆された忌まわしい事件。
その創は出所して17年後の今になって告白本を出版し、正和が働く書店にもその本が入荷してきます。
正和は最初は見るのもおぞましく感じた17年前の事件の本ですが、同級生の加藤つぐみと17年ぶりに会ったり、週刊誌のライターの青木につきまとわれるようになり、つい問題の告白本を読んでしまいます。
そこで、正和は殺人現場である学校の描写などの違いから告白本を書いたのは本人ではないということに気が付きます。
では告白本を本当に書いたのは誰なのか…。
最後はとんでもない結末でした。
『贖罪』という言葉の重みには軽々しく口にできないものがあるのだということがよくわかりました。
あまり気分がよくなる本ではありませんがミステリーとしてはよくできていると思いました。
そしてまた、実際にあったこのような猟奇的殺人事件でも、確か告白本が出ていたことを思い出し、事件の重さを考えさせられました。
投稿元:
レビューを見る
書店員の正和は、いつもの通り書店のバックヤードで、発送された段ボールの中から本を取り出していた。その中に異様な本が。真っ黒の表紙に赤文字という本は、17年前に起きた凄惨な事件の告白本だった。正和は、その事件の被害者の同級生でもあり、加害者の友人だった。
なぜ、今になって?さらにその事件を追っていた雑誌記者が再び現れた。事件に隠された真実や告白本の違和感など和すかけていた記憶がまた呼び起こされます。
凶悪な事件によって、人生が狂わされていく登場人物たちの心理描写が重めで濃厚でした。現実でも起きた似たような事件がありましたが、衝撃的だったことを記憶しています。
事件は終わったとしても、人々の記憶はいまだに衝撃的であればあるほど焼きついて離れません。事件の関係者なら、なおさらであり、その登場人物たちの苦悩が印象深かったです。普段とは見せない「顔」を曝け出しているので、その事件の凄まじさを感じました。
ミステリーも楽しめましたが、書店員ならではの裏事情や本の情報を散りばめられてました。「書店ガール」という作品を手がけているということもあり、「本」に関する情報が詳細に書かれていて、その辺も面白かったです。
告白本を書いたことから、更なる悲劇が待ち受けるのですが、辛い現実だなと思わずにはいられませんでした。感情がむき出しになる場面では、特に辛かったですが、物語に引き込まれました。
最後は賛否両論なのでは?と思うくらい、複雑な気持ちになりました。一つの事件が招く多くの代償。改めて犯罪の恐ろしさを感じました。
碧野さんというと、他の作品からイメージするに比較的明るいのかなと思ったのですが、この作品は暗めでしたが、その点でも衝撃でした。
投稿元:
レビューを見る
書店員の椎野正和は、ある朝届いた積荷の中に、少年犯罪者の告白本があるのを知って驚く。それは、女子中学生が惨殺され、通っている中学に放置された事件で、正和の同級生の友人が起こしたものだった。しかも正和は、犯人の共犯と疑われてしまい、無実が証明された後も、いわれなき中傷を受けたことがあったのだ。書店業界が「売るべきか売らないべきか」と騒然とする中、その本を読んだ正和は、ある違和感を覚えるのだが……。
出版・書店業界の裏事情を巧みに盛り込んだ、著者渾身の長編小説。
14年前の殺人犯が出した告白本。そこに記された「嘘」と「秘密」とは…。ベストセラー「書店ガール」シリーズの著者による、書店員を主人公とした、「良心の重み」を問う慟哭のミステリー。
投稿元:
レビューを見る
これはなかなかに読むのがつらかったけど、作者の碧野さんも苦しみながら書いたんじゃないのかな、と。
書店を舞台にした小説にこんなにえぐられるとは。
中学生が起こした猟奇的殺人事件。罪を償って出所したあと加害者が書いた告白本が出版され…って、実際のあの事件がモチーフなのだけど、その扱いについて各書店で対応が分かれたことを思い出す。どんな本であっても買いたい人がいる限り店に置くべきだ、それを書店が決めるのは間違いだ、という考えもある。それを決めるのは書店ではない、という。
でも、置きたくない本というのは、実際に、ある。じゃぁ、置くべきではないと思われる本、を誰がどう決めるのか。置いておけば売れる本を、「正義」の名のもとに下げてしまっていいものなのか、読者の「読む権利」を奪っていいのか。
書店を知り尽くしている碧野圭は様々な問いと、そして現実を突きつける。
ストーリーとしては、かつて共犯といううわさをたてられた書店員の苦悩と、告白本をめぐる謎…というミステリ。
ヘイト本の取り扱い方、書店員が投票で選ぶ文学賞など、本屋好きには興味深い話題盛りだくさんの一冊。
投稿元:
レビューを見る
舞台は名古屋
書店員、正和の罪。その罪は何か?
秘密を開いてゆく事には痛みが伴う。
何が正しいのか?
最後まで読み切って自分なりに感じました。
投稿元:
レビューを見る
17年前の女子中学生殺人事件の犯人が書いた告白本。書店員の椎野正和は当時中学3年生で被害者は同級生だった、そして·····その犯人もまた同級生の幼なじみだった。正和も共犯と疑われ家族共々マスコミの餌食となり誹謗中傷され心に傷を負った。17年の時を経て蒸し返された事件、思い出したくもない事件、そんな告白本の違和感に正和は気が付き調べていく。
加害者でも被害者でもなく犯人に非常に近い友人の立場と書店員としての立場で告白本に接する葛藤に共感する。ある意味事件の被害者である正和は17年間事件に社会に苦しめられてきた。悲しい、悔しい。
真相に近づくに連れ、罪に対する罰と贖罪の意味、正義とはなんなのか?良いと悪いの狭間で揺れ動く。
既視感のある事件、二つの罪を考えさせられるミステリー。
★★★★★ 5.0
投稿元:
レビューを見る
碧野圭さんの新境地?と言いたくなるようなサスペンスミステリー。終始暗闇を彷徨うような内容で、読後の気分はドンヨリ。書店員の椎野は、ある日搬入された新書を見て仰天する。それは17年前に世間を騒がせた猟奇的殺人事件の告白本。椎野はこの事件の関係者だった。本の発売をきっかけに椎野の周囲はきな臭く動き出す。文章自体は読み易いんだけど内容が重い。どう考えても実際のあの事件を彷彿とさせるので気分が沈む。ラストもモヤモヤと黒い霧が心にかかる。釈然としないが、じゃあ何が正解かと言われると何も言えねぇ。倫理観が問われる。
投稿元:
レビューを見る
かつて起こった未成年による猟奇殺人事件
遺体発見時の状況
長い時を経て出版された犯人による告白本
実際に起こった事件を想起させる設定に、事件当時の報道やその後の経緯を思い出しながら読んだ。
プロローグに登場した2人は誰なのか。
主人公が覚えていないと言う事件当時の記憶。
元少年の現在。
タイトルにある「2つの罪」とは。
間延びすることなくスピード感をもって展開していき、真相はすべて明らかにされる。
それを踏まえてあの結末をどう捉えるのか。
罰とは何か、贖罪とは何か。
書店は世相を映す鏡。
書店の使命と現実、本への愛情も感じられた。
投稿元:
レビューを見る
なんとなく、誰が関わってくるのかの予想はついたけど、どんなふうに関わり、どう着地するのか気になって、一気に読んだ。
現実の事件をモチーフにしていることは明らかだったので、この結末はこれでよいの?というモヤモヤはある。
書店員だったり、司書だったりが登場するのは、本好きは惹かれるポイント。
投稿元:
レビューを見る
実際の猟奇殺人事件と犯人による手記に題材を取ったと思われる。
事件そのものを掘り下げるわけではなく、周辺で人生を狂わされた人々の苦悩やそれに派生する事件や出来事がテーマとなる。
あえてあの事件を題材にする必然性はみえなかった。
投稿元:
レビューを見る
牧野さんのフィクションの持つ力についての発言が印象深い。
内容も読みやすく面白かった。自分も含めて人間を信じること、大事にすること、生きていくことのために何かを忘れないと続けられないことも多い。
投稿元:
レビューを見る
事件の陰に隠されていた真実は悲しい。マスコミの卑しさ、出版界の負の部分、自分勝手な行動に打ちのめされながら読了。
真実が全てではなく生きていくことこそが大切だ。自分が楽になるための罪の告白は必要ない。疑問を感じながらも、母親の言葉が心に響く。