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作者の意見や思想がところどころ垣間見えるが、全編通して徹底的に事実を書き連ねた伝記といった印象。
人間のフリをした悪魔なんていう下世話なキャッチコピーが題名についていますが、単にめちゃくちゃ頭がいいだけの普通の人だなと思いました。そんなに変じゃないよ。
数物の深いところには切り込まず、うっすら表面をなぞる文章が続くので、理系の人には物足りない印象。
内容としてはマンハッタン計画を中心として二次大戦の歴史を辿る部分が多い。ノイマン周りの出来事を心に留めておくと、他の本を読んだときに少し裏舞台がわかって楽しいのかもしれない。
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20世紀の天才といえば、アインシュタイン、アラン・チューリングなどが挙げられ、本書の主役であるフォン・ノイマン(正直名前すら知らなかった)もそのうちの1人だが、「人間のフリをした悪魔」と書かれている通り、また少し違った天才として描かれている。
ノイマンも偉大な科学者と同じく幼少期から天才的な頭脳の持ち主として称されてきたが、科学者となると超合理主義者で、科学で可能なことは徹底的に突き詰める「科学優先主義者」のスタンス。目的のためなら手段を選ばない。原爆計画を推進した際に、非人道的な計画に罪悪感を感じる科学者も少なくなかったらしいが、ノイマンは彼らに対し「我々が今生きている世界に対して責任を負う必要はない」と声をかけ苦悩から解放?したという。冷酷すぎて辟易したし、サイコパスとしか言いようがない。
表面的には柔和で天才的科学者でありながら、内面では虚無主義をベースとした「人間のフリをした悪魔」であることがこの本で強調されている。
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ノイマンがいかに天才かわかる本。アインシュタインやゲーデルらとの交流もあり、周りから慕われているのも良かった。
マンハッタン計画に参加していたが、東京への原爆投下は反対しており、日本人にとってはプラスでもマイナスでもあると思う。日本人であれば知っておくべき人であると思う。
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ノイマンって名前だけ知っていたけれど、こんなに多くのことを成し遂げていたなんて知ってビックリした。
出てくる人が皆、天才過ぎて天才麻痺を起こしてしまうくらい。
その中でも飛び抜けて凄かったのがノイマンだった。
あらゆる分野に多大な貢献をしていながらもノイマンがノーベル賞を受賞していないという事実が何ともドラマティックだった。
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あまり知られていない天才科学者の履歴を丁寧にまとめてあり、とても面白い。あまりに広範囲の活躍と現代の残る影響から、今更ながら知って良かったと思う。
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コンピュータや原子爆弾を生み出す一方で、経済分野でも著名な理論を発表するなど、様々な分野で功績を残した不世出の天才フォン・ノイマン。彼の一生と、その哲学を考察した評伝です。
エピソードとして最も印象的だったのは原子爆弾の開発をめぐるもの。
『我々が今作っているのは怪物で、それは歴史を変える力を持っている』
と原爆の恐ろしいまでの破壊力を知っていながらも、一方で『軍事的な目的のため、そして科学者として可能なことはやり遂げなければならない』と、原爆の開発を進めていったノイマン。そしてノイマンは後輩の物理学者にも『我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない』と断言します。
著者曰くノイマンの思想の根底にあったのは、化学を徹底的に突き詰めるという『科学優先主義』、目的のためなら非人道的な兵器も許されるという『非人道主義』、この世界には普遍的な責任や道徳は存在しないという『虚無主義』だということ。
戦争終結後始まったソ連との核開発競争。その過程で生まれたのが原爆よりさらに大きな破壊力を持つ水爆。原爆開発に携わった多くの科学者が、水爆の開発に懸念を示す中、ノイマンは水爆開発にも参加し、そしてソ連に対して先制して攻撃するべきだとも進言します。
その思想の根底にあったのは何か。個人的には人間への絶望があったのではないか、と感じます。ナチス政権の誕生、そして多くの国が戦争を回避しようとするあまり、ヒトラーへの譲歩を続けた結果、ドイツは暴走を続けホロコーストをはじめとした残虐な行為にも手を染めます。
ノイマンは『人間の良識に対する徹底的な幻滅を経験した』と語ったそうですが、その幻滅はナチスだけでなく、ナチスに対し宥和的だった諸外国の政策のことも指しているそう。
そう考えると、原爆の恐ろしさを知りながらも、科学優先主義、非人道主義、虚無主義といった、人間や道徳への絶望し、手段を選ばずに冷徹な化学兵器に心血を注いだ、その心理もうなずける気がする。
ノイマンの頭脳の恩恵というものは、現代生活を送るうえで計り知れないほど大きいものです。でもその根底にあったのが、人間への絶望だったのだとしたら、あまりにも皮肉に感じます。
そして現在、AIやドローンによる無人兵器、クローンや遺伝子改変といった生命倫理に関わる科学技術が急速に進歩しています。その科学の進歩に、人間に対する視点は備わっているのか、考えないといけないようにも感じました。
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ノイマンの伝記である。哲学は言い過ぎではないか。史実は詳細に書かれている。ノイマンの業績内容について詳しく知りたくなった。
日本の終戦にまつわることは初めて知ることが多くあった。
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社会性と天才性を併せ持った傑物は、なるほど悪魔と評することが妥当であると感じさせられる一冊。
幼少期の神童エピソードに端を発するフォン・ノイマンの評伝がまず面白い。そして同時代を生きた科学者たち(これがまた揃いも揃って歴史に名を残すような人ばかりなのだ)のパーソナルな話から、その悪魔の人間らしいところが立体的に浮き彫りにされる。
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フォン・ノイマンってどこかで見たことある名前なんだよなぁ。
って思って読んだんだけど、たぶん、いろんなところでいろいろ見てるわ。集合論、数学基礎論、ゲーム理論、コンピュータもだし量子力学もだし、原爆もだし、いろんな本を読んでいく過程であちこちで見かけてる名前。
「人間のフリをした悪魔」っていう副題がいいなぁ。
明日の世界に対して責任を持つ必要はないっていう「虚無主義」好きですねとても。ノイマンの根底にあった「科学優先主義」と「非人道主義」あたりも併せて「人間のフリをした悪魔」って感じになるんだろうけど、もはやその頭脳そのものが悪魔的ではあるよ。
「非人道主義」にはまあ普通に賛成はできないけど、賛成をしているひとは、自分たちがそうされる可能性があると覚悟したうえで賛成してるんだよねって思ってる。
科学優先主義は分かるしそうしてもいいとは思うけど、残念ながらそれを使う人間が愚かだからなぁ。
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『博士の異常な愛情』の博士のモデルがノイマンだったことは知っていたけど、これほどの天才とは知らなかったなぁ。ノイマン型コンピューターのことは知っていたけど、それと博士がつながってなかった。けど思い出してみると、徹底した合理主義で感情をねじ伏せるマッドサイエンティストって、誇張はされてるけど確かにそうなんだよね。こういう人の目には、世界はどう映っていたのだろう。
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科学的に分かっていることはやり遂げなければならない。それがどんなに恐ろしいことでも。
とにかく頭の中は常に考えを巡らせている。夢中で取り組みたくなる、そんな"道"を早く見つけたいものだと感じた
#オーディブル
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タイトルになぜ「哲学」が入っているのか分からず、伝記では?と思っていたら、最後の最後、あとがきを読んで、そういうことか、と思いました。
天才の中の天才、ジョン・フォン・ノイマンの生涯を概括した本で、多岐に渡る活躍を一通り流しているので、個人的に良書だと思いました。
ここの業績の細かい箇所は、専門家の人が読んだら物足りないのでしょう。しかし、コンピュータの基礎を作った人物くらいの知識から、こんなことまでかかわっていたのか、ということと、「人当たりがよく柔和な天才科学者」というところが、世俗的な意味で成功した要因もあるんだなと感じました。孤高の天才、奇人変人という名の天才の伝記も面白いけど、こういうタイプの天才は珍しく、そこがオリジナリティを感じた本でした。
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20世紀中盤に、原爆、コンピュータ、天気予報、量子力学等を始めとした科学的な変革を引き起きしたフォン・ノイマンが、どのように科学を探求していったのか。これらは全てはノイマンの科学に対する哲学でつながっている事を認識した。
一人の人生が、世界に大きな影響を与えた。またそのフォン・ノイマンも、第二次単線前後の時代背景によって大きな影響を与えられ、自らの哲学を深めていったのだと感じた
上記の科学的な変革は、フォン・ノイマン一人で作ったものではないと思うが、限られた数名の科学者によって引き起こされていたと思うと、少数の人数でも世界を変える事ができた事が、本書から感じた驚きであった。
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こんな天才が世の中にいたのかと、驚きを持って読んだ。科学をどう扱うのか、そこをファイマンを通じて考えさせられる内容であった
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中盤までは私達素人が知っているほぼ全ての科学者・偉人・大統領・首相・総統が登場し、超良質な科学史を読んでいる気分で(特にアラン・チューリングとフォン・ノイマンが共同でコンピュータを研究していたら世界はどうなっていたのか?なんてあたりに)大変興奮させられますが、第二次大戦以降の原水爆の話については正に「人間のフリをした悪魔」「博士の異常な愛情」そのままの世界で、人類の未来はこういう人達の手に(きっと今も)委ねられているのだと思うとゾッとしてくる。