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上下巻読了。
パーソナルスペースゼロ距離のリア充・真嶋星也と、なかなかそれに慣れない地味サブカル男子・園木誠の、ひょんなことから始まった異文化交流。
ヒバナ単行本(全三巻中、三巻は電書のみ)から読んでいた作品の、続編に向けて発売された新装版です。新装版は描き下ろしとマンガワン掲載時のおまけ収録があります。
『異文化交流』とは真嶋のセリフから称したものですが、きっかけがなければ高校生活も半ばから付き合うには第一印象が極端すぎる二人は、ここまで相手と繋がりを持ったりその友人関係まで交流を広げたりする可能性はほぼないのではないでしょうか。
それなのに些細なきっかけから、興味や関心を持って自分と異なる性質の人を真っ直ぐに受け入れられる真嶋と、素直にそれをすごいと感じて先入観を改め応えようとする園木が、互いを知る度に相手へのリスペクトを高めていくのは健全な人間の交わりのようで、とても眩しく感じます。
人間的な相性がいいというか、友好的な愛情を感じる……特に真嶋。(でもキョーコさんやみらいちゃんの言葉から察するに、愛想は良くとも彼は元来そこまで人に気持ちを傾けて心を砕くタイプではないようなので、本当に始まりは根本的な相性の問題だったと思う)
そんな親しみや友情をめちゃくちゃ丁寧に描きつつ、青春の色はゆっくりと、繊細な移ろいを魅せてくる。
このじりじりとした機微は、たなとさん匠の技だよ……! と。
この先はただの個人の感想だとしてもネタバレ踏みそうで触れたくないです。
園木のウジウジと考え込んで小さな選択を誤るところはとてもよくわかります……やるよね! くらいは言えますが、何の気なく手に取り読む人が後半の変化をどう捉えるのかは、大切なことのような気がします。
あと、二人が積み重ねてきたものが各所に散らばっていて、経験が形になってる! と感動するので良ければ何度でも読み込んで欲しいとだけ、すごい思っています。
関係ないっちゃないですけど、ランランが気にするみたいに、こちらはマキランを気にしますけどどうなんすか? って思うところありますけどね。
追記:2021年2月25日に電子配信開始。電子特典イラストと配信終了しているヒバナ版のおまけ等も含まれているそうなので、旧版が手元にない方にもオススメかと思います。