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ガリンペイロとは、南米アマゾンので非合法に金を採掘する労働者を指す言葉。
本書はガリンペイロを追ったNHKのドキュメンタリー制作時の取材に基づき、同番組のディレクターが書き下ろしたものとなる。
本書冒頭に記されたガリンペイロの11の掟には、誰でも受け入れる、犯罪歴等、過去は問わない、採掘場所は明かさない、明かした場合は死を覚悟する、他人の黄金を盗んだ場合も死を覚悟する、等々があり、必然的にガリンペイロが金採掘をしている場所は無法地帯となっている。
本書ではそのような無法地帯でのガリンペイロ建ちの生態を描き出しているのだが、映像が元ネタにある事と、著者の文章力の高さから、ノンフィクションであるにもかかわらずその細かい描写によって、バイオレンス小説を読んでいると錯覚することがしばしばあった。
ちなみに私がガリンペイロを知ったのは、その昔読んだ池上遼一の「傷負い人」というマンガだったが、まさかその数十年後にガリンペイロについての本を読むことになるとは、ちょっと感慨深いものがありました。
あと、ダイヤモンドにもガリンペイロのような人たちがいるのかどうかもちょっと気になった次第。
あ、それから、著者あとがきのところで、取材時に採掘現場の全てを取り仕切る大ボスから、この場所をバラしたらお前たちの内誰かは死ぬことになる、と釘を刺されたことが書いてあるのだが、本書内には採掘現場の簡単ではあるが地図が載っているので、アマゾンに詳しい人なら本書の記述とその地図で場所の特定ができてしまうのでは?、とちょっと不安にもなりました。
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ノンフィクションなのだけど、どこか小説を読んでいるような不思議な感覚にとらわれる。あまりにも自分の住む世界と違うからだろうか。。。
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ノンフィクションかと思ったら小説でした。ガリンペイロの生態はよくわかるけど、ストーリーがいまいち。著者が味わったであろう緊張感が伝わらない。
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リオの貧民街より犯罪率が高い違法な金鉱山で、黄金に魅了される男たちを描いたノンフィクション。
黄金は小さくても高価な鉱物。1キロで400万円もする。当たったら一発逆転だ。でもその確率は五十年に一度。
ほとんどの男たちは夢破れて老いて死んでいくだけだろう。
違法で無法地帯な金鉱山なので、来る人も犯罪者や孤児など訳ありの人ばかり。
表紙のガリンペイロ(多分縮れ男?)がいい。眼光が鋭く、己の欲望に忠実な眼だ。
日本ではあんな眼をした人は見たことがない(暴力団にはいるかもしれない)。
実際彼らは食うのとテレビを見るのと女と寝るのくらいしか楽しみがない。
セスナで来た娼婦のことをブスだブスだと言いながらも持て囃すのが見ていて哀れだ。
昔の女を思い出して泣く日もある。
著者がインタビューで言っていた「悲しい獣性」とはこのことなのだろうか。
こういう客観的なノンフィクションもいいと思うが、やはり「ヤノマミ」のように、スタッフが原住民から嫌われ疎まれ、赤子を殺す場面をカメラに収めたスタッフが糞尿垂れ流しの酷い精神状態になってしまった、あの没入感が今作にはなかった。不憫だけど、あれぞドキュメンタリーでありマスメディアが持つべき精神だと思う。ガリンペイロでもそれを期待したが、詩的な描写が多く見られ、主体がなかった。でも十分面白い。
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30%
ってな事で、国分拓の『ガリンペイロ』
ブラジルの秘境の地、即ち無法地帯の金鉱山で金を採掘する男達をガリンペイロと呼ぶ。
そのガリンペイロ達は殺人者、ヤク中等の犯罪者や素性の知れないならず者ばかり。
そんなガリンペイロが一攫千金を求めるノンフィクション話。
なんじゃけど、わし的にはノンフィクション感はあまり感じ無く、題材に対しては綺麗過ぎる内容じゃったかな
こう言うアンダーグラウンドな話はもっとディープな驚きや恐怖を期待してしまうからじゃろね
一攫千金には足りんけど、昔、親が買ってきたスクラッチクジを削ってたら100万円当てた事があったんよ‼️
ガリンペイロは金鉱主から掘り当てた金の30%を貰えるが、この時のわしは3%しか貰えなかった…
そんなわしはガリンペロリス……
2022年15冊目
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国分拓(1965年~)氏は、宮城県出身、早大法学部卒のNHKディレクター、ノンフィクション作家。2009年にアマゾン奥地の“最後の石器人”と呼ばれるヤノマミ族と150日間過ごしたドキュメンタリー番組・NHKスペシャル「ヤノマミ~奥アマゾン 原初の森に生きる~」を制作し、同番組を書籍化した『ヤノマミ』で大宅壮一ノンフィクション賞(2011年)、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞(2010年)を受賞。
本書は、アマゾンの奥地に未知の世界を追うNHKスペシャル「大アマゾン・最後の秘境」シリーズの第2集として、2016年に放送された「ガリンペイロ~黄金を求める男たち」を書籍化したもの。
私は暫く前に『ヤノマミ』を読んだときに、GPSが全世界をカバーする21世紀において、おそらく唯一アマゾンの奥地には我々の知らない人間の世界・社会が残っていることを知り、驚くと同時に、やはり、とも思ったのだが、今般たまたま新古書店で本書を目にし、興味を惹かれて読んでみた。
本書の題名の「ガリンペイロ」とは、アマゾンの密林の最深部にある闇の金鉱山で、一獲千金を夢見て金鉱を掘る男たちのことである。その「闇の王国」は「黄金の悪魔」が支配し、公的権力も一切及ばず、そこに集まるのは、前科者、親に捨てられた者、極貧の暮らしから抜け出そうとする者。。。いわば最底辺の男たちである。そして、そこにおける決まり(掟)は極めてシンプルで、ガリンペイロは、前科の有る無しを問われず、本名を名乗る必要はなく、黄金さえ掘っていれば何をするのも自由で、凶器を持つのも自由で、黄金の取り分は30%(黄金の帝王が70%)、(黄金の帝王が支給する米と豆以外は)食べ物は自分で得なければならず、住む小屋も自分で建てなければならず、金鉱山の場所を明かしてはならず、他人の黄金を盗んではならない、というものだ。
話は、何人かの主要なガリンペイロたちを中心に進んでいくのだが、残念ながら私はNHKの放送を見ておらず、内容が完全なノンフィクションなのか、事実をベースにしつつも創作が加えられているのかは、正直わからない。(私はノンフィクション作品をよく読むが、我々と文化も環境も言語もこれほど異なる対象を、ノンフィクションでここまで描き切ることは相当難しいのではないかと思う)
ただ、(仮に多少の創作が加えられているとしても)世界にはこうした、普通の日本人には想像すらできない社会が存在しているのを知り、単純に「すごい世界があるものだ」と感じることにも意味はあるのだろう。
(2024年5月了)