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日本のデフレ社会による生じている賃金が上がらず商品の値段も据え置きになり、他国から買い叩かれるやすい国になった原因が書かれた本。
大変読みやすくためになる。
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あっという間に読みました。理由は、おそらくイメージで感じる現代ニッポンの凋落した姿が強烈な事実に基づいて見せ付けられたからかも知れません。
やっぱりそうなんだ、と。
個人的にバブル崩壊から数年は海外に出向き、海外安い、という印象が強烈でしたけど、もう全然違っている。作中識者が今後の策を提案していますが、本当はもうロジックでは無く、黒船的な革新が無いと変われないという結構手遅れなとこまで来てる気もします。クールジャパン、憧れの国日本は、もう幻想でしかないし、気づけば国が金で買われてた。なんてことになってるかも知れません。英語と会計は勉強しよ。
でもこの本のアジテーションも一部の事実だけ取り上げただけのことかも知れません。ファクトフルネス、いいとこも見つけてみようニッポン!
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新聞記者(社会部で経済担当)による、生産性の低い日本の実態について書いた本。世界の水準と比べあらゆるモノの価格が低くなっている日本の状況がよく分かった。それにより、人材が引き抜かれたり、高度な教育が受けにくくなっていたり、企業が買収されたり、経済成長が阻害されるなど、いろいろな弊害も理解した。モノやサービスの価格が低いということは、国際競争力があるということなので、ここをうまく利用して成長していくビジョンを立てて行動していく企業が数多く出てくることを祈りたい。
「ディズニーランドやダイソー、ホテルなど様々な価格が世界と比べて安く、賃金も上がらず、世界の成長についていけない日本の停滞がにじんでいる」p4
「(中国人観光客)近くのホテルを予約しても1人合計2万円かからなかった。日本はいつもコスパがいい」p17
「中国から調達する商品もあるにもかかわらず、中国より日本は安いのだ」p25
「ダイソーが商品価格を100円に統一したのは1977年のこと」p27
「回転ずしは「1皿100円」を打ち出しているチェーンが多く、それに対して高級なすし店が「回らないすし」と称される」p29
「アメリカでは、物価が2%ずつ上がるが、給料は3%ずつ上がっている」p42
「価格を下げてもサービスや品質を一定に保ち提供できている日本は素晴らしいと思うが、その技術など目に見えにくいところへの還元がされていないと思う」p68
「1億人しかいない国で、市場規模や需要の成長性に関係なく多くの産業で企業グループの数だけプレーヤーが存在するために、過当競争で値下げ合戦が繰り返された」p72
「港区の平均所得1200万円はサンフランシスコでは「低所得者」」p81
「一般的にサービス分野は輸出入できないためグローバル化で規模の経済性を追求できない。そのため労働生産性は製造業よりも低い、というのは世界共通だ」p97
「NTTの幹部は「研究開発人材は35歳までに3割がGAFAなどに引き抜かれる」と明かす」p109
「日本の給与の低さだと、世界で戦うグローバル人材は獲得できない」p111
「(世界的に優秀な学生を輩出しているインドのIITハイデラバード校)デイ・ワン(就職解禁第1日)で、対象となる600~700人の学生のうち約70人が内定を得た。コンピューター・サイエンス学部では、マイクロソフト、アップル、ゴールドマン・サックス、オラクル、クアルコム。日本企業による採用はなかった。日本企業はそもそも知られていない」p114
「IITで募集する採用条件に「日本語を話せる人」と出す企業がある。「スタンフォード大学でコンピュータを学んだ学生に「日本語を学んできてね」という企業があるだろうか。時代錯誤もはなはだしい」p118
「(ニセコは割安)2020年12月には、マリオット・インターナショナルが日本初となる「リッツ・カールトン・リザーブ」をニセコに開業した。「リッツ・カールトン」の最上級ブランドで、世界に5つしかない。高級ホテル「パークハイアット」も、東京、京都に続いてニセコを選んでいる」p156
「近年では長野県白馬村や沖縄県宮古島市などが「ニセコ化」してきたと言われている」p164
「中国最大の国有企業CITICグループのファン��、CITICキャピタル・パートナーズは2004年から2019にかけて合計で約350億円を投じ、日本の中小14社を買収した」p167
「町工場などを運営する多くの日本の中小企業が、続々とアジア国籍になっているという実態だ。「廃業を防ぐには、中国企業が頼みの綱だった」という会社もあった」p170
「市場が拡大する中国にとって、日本のアニメーターは喉から手が出るほどほしい。日本の年収の3倍でも軽く出せるので、今後も中国勢からの人材引き抜きは激しくなるだろう」p178
「ある時、カラード社の人手が足りずに日本の制作会社に作画を外注したところ、中国本社から厳しく突き返された。「中国は豊富な資金力でデジタル作画の設備がそろい、アニメの質が格段に向上している。日本の待遇の悪さは質の低下、最終的には業界の停滞につながりかねない」p183
「これまでは中国が日本アニメの下請けだったが、もはや逆転している。スキルの継承が進まなければ、やがては海外からの発注もなくなっていく」p184
「日本の購買力が落ちた根本原因は、実質賃金が上がらないため、海外の成長している経済に比べて、日本の家計がどんどん貧しくなっていることにある。なぜ賃金が上がらないのか。それは日本の労働者の生産性が上がらないからだ。なぜ生産性が上がらないのか。AIなど21世紀に必要とされるスキルを学生や労働者が習得できる環境を、大学も企業も提供していないからだ」p238
「高齢化で膨張する社会保障給付の財源を、増税ではなく現役世代の社会保険料引き上げでまかなう仕組みを整えてしまった。政治的には最も取りやすいところから徴収したわけだが、日本経済の大きな重石になった。事実上の労働課税であり、消費が低迷するのは当然だ」p248
「日本の賃金水準がいつの間にかOECDの中で相当下位になっている(G7で最下位)」p250
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なかなかに深刻な「安さ」についてのお話。
もうちょい英語力つけて、何年か海外勤務も真面目によいと思えてきた。
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この本の存在は以前から気づいていたのですが、読むと悲しくなりそうで遠ざけていた本でした。しかし57歳の誕生日を迎えた令和3年3月の誕生日にやはり読むことにしました。
平成元年に就職して社会人生活30年を過ぎましたが、入社時頃に経験した株価はまだそれを超えておらず、土地も物価もそんな感じです。昔は価格が下がることは安く買えて良いことだと思っていましたが、これも数十年続いてしまうと大変なことになってしまうのだということを改めて感じました。
現実を真摯に受け止めた上で、今後自分はどうすべきかを考えさせられた本でした。今年(令和3年)のGWは外へ出ることを制限されているので、家にこもって思いを巡らすには十分な時間が取れそうです。
以下は気になったポイントです。
・海外と日本の価格差は大きく3つの理由がある、1)物流費、2)人件費や賃料などの現地経費、3)関税や検査費(p25)
・くら寿司では廃棄りつが業界でもトップクラスに少ない3−4%、さらに調達においても、定置網の「一船買い」を開始している、船で取れたどんな魚でも全量買い上げる仕組み。これにより国産天然魚メニューも安価に提供できる、全国110の漁港とも直接取引をしている(p31)
・日本は長いデフレによって企業が価格転嫁するメカニズムが破壊されている、製品値上げができないと企業が儲からず、企業が儲からないと賃金が上がらず、賃金が上がらないと消費が増えず結果的に物価が上がらないという悪循環が続いていて、日本の購買力が弱まっていった(p38)
・この20年間、日本の物価は殆ど変わっておらず、平均インフレ率はゼロである。その一方でアメリカは20ねんかん、ほぼ毎年2%上昇してきた、20年で5割増となっている(p41)
・日本で過去最高であった1997年の実質賃金を100とすると、2019年の日本は90.6である、海外ではアメリカが118、イギリスは129である(p90)
・ドイツでは市場で欠品しても消費者は待つしか選択肢がない、日本では欠品しないように需要変動のピークに合わせて生産能力を持つため需要が落ち込んだ時に値下げをしてしまう(p96)
・日本企業は職務を限定せず、企業が新卒を一括採用して1から人材を育てる「メンバーシップ型」と呼ばれる、終身雇用を前提に社員の立場は安定的だが、転勤や配置転換などの業務命令に従わざるを得ない「無限定正社員」が一般的であった(p135)それに対して「ジョブ型」とは、職務を明確にした上で最適な人材を配置する雇用形態。職務定義書を提示して社内外から人材を募り、勤務時間ではなく能力・成果で評価する。この雇用は、職務分析や職務記述書の策定が大きな負担になる。中小企業では、組織内の従業員が担う役割をはっきりさせて、日々のマネジメントや評価、処遇との連携を強化する「役割型雇用」で十分だという意見もある(p137)
・ニセコには想像を超える外資マネーが舞い込む(固定資産税、旅行消費額など)が、手放しでは喜べない。不動産購入者は海外で暮らすため、物件の運用で儲けたお金は町内では使われない、外国従業員も母��に帰って給与を消費する。(p162)
2021年5月1日作成
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マクロで言えば、今の日本の経済が抱えている問題は二つに集約出来るのではないかと思う。一つは、日本の経済が成長しないこと。もう一つは、経済が成長せず、一人当たりのGDPや所得が増えない中で、個人間の所得格差は広がっていることだ。
本書は、二つの問題のうちの前者、日本経済が成長しないことによって起こっている、様々な現象についての問題提起である。
扱われている現象や問題は下記のようなものだ。
■物価が上がらない。国際比較をすると一目瞭然であるが、日本の物価は先進国の中で、あるいは、アジアの新興国と比べても相当に安い水準にある。これは、経済が成長せず、人件費も上がらないことの結果でもあり、原因でもある。
■上でも触れたが、結果的に賃金が上がらない。賃金が上がらないということは、所得水準・購買力が上がらないという事なので、経済成長が起こらないという悪循環となる。
■日本では物価が安いので、外国人にとっては、お値打ちの物が多く、色んなものが買われる。インバウンド需要や爆買いは、その典型。
■経済が成長しないということは、国際比較上、徐々に相対的に日本は貧しくなっているということ。国際価格がついているもの、例えば、水産物、あるいは、IT技術者の給料など、日本が買えなくなりつつあるものが増えている。
私は、2003-2004年にイギリスに留学して以降、2004-2008年はグローバルの事業開発に携わり、世界中の色んな国に年間100日くらい出張していた。また、2008-2013年はタイで駐在員経験をし、その後も、コロナ前までは、年間に何回かは海外出張に出かけるという生活をしていたので、日本国内の物価が相対的に安いのは、実感していた。
上記の内容は、特に目新しいことではなく、すでに、ある意味で共通認識になっていたことではあるが、改めて、整理して示されてみると、結構、衝撃的な内容である。
こういったことについて、エコノミストや学者等が、色々な視点でコメントや提言を行なっている。これも、なかなか面白いものだった。日本の雇用システムについてのコメントをされている方が結構多く、私自身が人事の仕事に携わっていることもあり、興味深く読んだ。ティピカルには、下記のような内容。
■雇用を流動化すべき。一人一人の価値、すなわち、賃金決定に市場価値の概念を取り入れるべき。これにより、賃金が上がる仕組みをつくるべき
■同時に、一人一人が自らの職業能力、すなわち、市場価値を上げるべく努力すること。国や企業は、その努力を後押しすること
こういったことは、結局は、終身雇用制度を崩すことになり、安定的な雇用という面では、混乱もあり得ると思う。しかしながら、中長期的には、こういったことにならざるを得ないのではないかと私も思う。
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世界的に見て日本の物価や所得が上がっていないことは感じており、成長性や競争力も国際的に低いことも理解している。
この本においては、その現実を色々な角度から伝えているだけなので、正直「そうだよね」という感想しかない。
一方で、何名かの有識者にインタビューを行っており、そこには日本の安さ、競争力の低さからどうやって抜け出すかという観点の意見が載っておりタメになると感じる回答も複数あった。
特に、物価上昇の前に賃金上昇が必要だよね、という意見には大賛成。
モノが高くても、収入が増えていればそこまでシビアにはならない。
ただ、勿論これも簡単に出来ることではなく、我々個人は日々惰性ではなくスキルアップに努めて生産性を上げ、企業もその努力や成果にきちんと対価を支払う必要がある。
正直、スキルアップしたら海外で働いた方が優遇されることも多いし、仕事と休暇のメリハリも出来て生き甲斐は感じられるだろう。
しかし、少しでも日本の未来や子供の為にも、日本に留まって出来るだけより良い環境を作る一助になれたらと思う。
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データに基づいた、とても理論的な内容。最近テレビで「外国人から見たニッポンのココがすごい」系の特集がされており、ニッポンは世界の中で地位も評価も高いと錯覚していた。
実際は長年続くデフレと労働賃金の下落によって、海外から安くない叩かれたり、優秀な人材が流出するなと様々な問題が起こっていた。
会社に対して賃金交渉するという発想すらなかった自分が少し恥ずかい。
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これまでも日本のデフレへの憂慮は語られてきた。で、どうするのかを(末尾にちょっと出てくるが、、、)語ってもらいたかった。
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東京ディズニーランド8200円は世界一安い パリ10800円 フロリダ14500円
ビッグマック 日本390円、アメリカ5.66ドル≒600円
ダイソー タイでは200円 要因は人件費
為替では説明できない価格差
長期デフレにより購買力低下、価格を上げられず、賃金が上げられない
スーパー主要商品の半数が20年前から値下がり
メーカー値上げが店頭価格に反映されない
ステルス値上げ 原材料を減らす
年収13万9400ドル≒1400万円は低所得者(米住宅開発省) 毎年1万ドル上昇
港区の平均所得は年1217万円(2020年)
日本の生産性の低さ =価格付けの安さ
賃金の低さ
中高年の給料低下、若手へ再配分 ユニクロ2020年大卒初任給25.5万円
企業にとって45歳以上がボリュームコスト
大卒1年目年収 日本は終身雇用前提で262万円
アメリカ629万、ドイツ531万、フランス369万、韓国286万円
アメリカのIT人材年収はどの年代でも1000万以上、
30代で1200万円超、日本の30代は520万円、最高の50代でも750万円
NTTは研究者の3割が30代までにGAFAなどに引き抜かれる
ジョブ型雇用 ↔ メンバーシップ型雇用(生涯賃金)
日本品質の内製化
中国企業によるM&A シコー、神明電機
カラードペンシルアニメーション(彩色鉛筆動漫) 日本の子会社スタジオ
日本の安さの弊害
海外旅行や海外のサービスが高くて使えなくなる。
世界的資産(魚や輸入食材)が高くて買えなくなる。
日本企業がリーダシップをとれなくなり、企業トップは外国人に。
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「漠然と、薄々と“そういうことかな?”と感じていた」という次元の事柄に関して、「知らない振りをしていたかもしれない事実」をドンドン挙げて、ジワジワと迫りながら展開する論というように感じられた。
何処の国や地域であっても、そして誰しもが、手近で様々なモノを購入し、色々なサービスを利用し、それらを収入によって贖っている。そうである以上、「モノやサービスがもう少し安く?」か「収入がもう少し多く」という程度のことは思うものであろう。
日本国内に在ってそういうようなことを考えた場合、「やや変?」なのかもしれない。実は「モノやサービスは諸外国に比べて、場合によっては“異様?”な程度に安い」とか「収入は諸外国と比較して相対的には全然伸びなくなって既に久しい」というようなことが、「知らない振りをしていたかもしれない事実」として「現に存在する!」というのが本書の論旨で、「価格を抑え、給与の伸びを抑え、何やら身動きも取れない?」というような「危機的状況?」を示唆しようとしている訳だ。
新聞連載を基礎にしながら、一定程度の加筆等も行ったという本書は非常に読み易い。「Aが好くなく、Bが好い」か、逆に「Bが好くなく、Aが好い」というような「択一的に比較検討」ということでもなく、「こういう側面?」と「考える材料」に出来れば善いのかもしれないと思いながら本書を読み進んだ。
本書の内容は、本当に「漠然と、薄々と“そういうことかな?”と感じていた」ということばかりで、同時に「このままで、あと5年、10年、20年と経てば?どうなる?どうする?」というようにも思う。
端的に言えば…実は「モノやサービスは諸外国に比べて、場合によっては“異様?”な程度に安い」とか「収入は諸外国と比較して相対的には全然伸びなくなって既に久しい」という状態で何が起こっているのかということになるのだが…「相対的に“安い!!”と街にがいこくの人達が溢れる」とか「必要な技能や知識を有する人材を国外に求めても来てくれない」というようなことが既に起こった訳だ。最近の“事情”というような事柄も在って、これからの様子は少し予想し悪い面も在るが…
何れにしても、これは広く御薦めしなければならない一冊であると思った。
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老眼向けなのか、行間が空きすぎているし無駄な改行が非常に多い。半分のページでもよかったのでは?
内容も薄く記事に情報を追加せずに薄めているだけなので、SPAのような質になってしまっている。
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<目次>
はじめに 日本の「安さ」を直視する
第1章 ディズニーもダイソーも世界最安値基準
第2章 年収1400万円は「低所得」?
第3章 「買われる」ニッポン
第4章 安いニッポンの将来
<内容>
この本を読む限り、日本はもはや先進国ではない。シンガポールはもとより、経済的にタイや中国にも置いて行かれている。その原因は、物価が上がらないこと。物価が上がらないのは、給料が上がらないこと。数年前安倍政権が非正規の給与をわずかに引き上げたが、身分の保証が確約されない彼らは、その昇給分を消費せず、貯蓄に回してしまったため、物価上昇には全く寄与しなかった。給料を上昇させるためには、雇用のシステム(大卒時の一律雇用や年功序列型賃金)を変えるしかないのだが、50歳前後の連中が邪魔で、大幅な変更ができない状況。そしてさらに10年後、アフリカにも抜かれているかもしれない…。
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日本の給与の安さと物価の安さは、かなり異常だと常々思っていました。
残念ながら、解決の糸口を求めて読み進めましたが、全くわかりませんでした...
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日本にいると実感しないが、海外ではホテルも食事も随分高いと聞く。それは国内が安いからで、インバウンドや爆買いもそのせいだと本書は教えてくれる。30年ほど前には、日本の物価が高いという内外価格差問題があったが、今では逆の意味になっているようだ。
ただ、疑問もある。本書でも伊藤隆敏氏が語っているが、賃金が上がらない理由として、日本の労働者の生産性が上がらないことを上げており、生産性が上がらない理由はAIなど21世紀に必要なスキルを学生や労働者が習得できる環境を大学や企業が提供していないからだという(P238)。その一方で、本書では、ドイツの労働生産性が高いのは製品を高く売るからであり、自動車を例に、日本の5倍の時間をかけて作った車も10倍の価格で売れば生産性は2倍だという許斐潤氏の分析(P96)を挙げ、日本の生産性が低い理由の一つは日本の価格付けの安さにあるとしている。日本の生産性の問題について、前者であれば労働者のスキルや組織の問題、後者であれば企業の経営戦略の問題ではないかと思うのだが、この点について著者がどう考えているか知りたかった。