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タイトルから最近ラノベ界隈で人気な元カノ系のキャッキャウフフが見られると思ってしまっただけに、本作が持つジュブナイル小説じみた内容には驚かされてしまった
中学時代に付き合っていたけど、酷い別れ方をしてしまって以来音信不通。だというのに高校で再会した途端に隣の席
そこにあるのは甘酸っぱい恋の再起動を伺わせるものではなく、別れた時の苦しさを追体験させるもの
互いを求めあった無垢な恋。でも、それは高校になった二人を苦しめる思い出となってしまうから、それを回避する為に互いを無視して、それがまた別の苦しみを生んでしまう
そんな二人が恐竜の卵と羊羹好きの先輩をきっかけに再び結び付いていくのは意外の一言
もう一つ意外だった点は主人公の理知の認識かな
中学時代に付き合っていた理知とないる。そこで交わされた想いの数々を懐いたままなのは何も理知だけではないのだから、理知が知らない事情があっても可怪しくない
だからって理知が認識していない事情がああも多かったなんて思わなかったけれど
それらの隠されてきた事情はまるで罠のように理知を飲み込んでいくね
でも、本作における最大の罠はタイトルに有るように恋そのものだったのかも
理知もないるも相手に恋をしてしまったから、相手から目を心を離せなくなってしまって、自身を何度も苦しめる羽目になった
その苦しみへの対応法が理知とないるとでまるで違ったのは少し面白い点
でも、最も目を引かれた点は罠による苦しみから脱するきっかけとなったのが全く別の意思によって設けられたユニークな罠だったことかな
場合によっては悪意が籠められているなんて称されても仕方ない程のつまらないイタズラ。でも、罠から脱する為の奇跡を欲していた理知とないるにとって、奇跡のフリをしてくれる罠となる
その後の二人の様子は収まるべき所に収まったというか、まあそうなるよねというか……
一方でそこにあるのは何の罠も無い純粋な恋心。それを手に入れられた年若い二人の恋模様はハッピーエンドと表現するのが最適だと思える程に幸せそうなものだったね