紙の本
ことし生誕120周年を迎えた、いたずら小僧のお話。独立戦争で荒れたフィレンツェのリチャード・ジノリ店の2階で書かれたという。「聖書」と「コーラン」に継ぐ翻訳の言語数。
2003/05/02 21:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
春休みの一日。本当は『抱擁』か『戦場のピアニスト』がいいなーと思いつつ、クレヨンしんちゃんや怪獣ものを観せられるよりいいかと、あまり期待せず、映画『ピノッキオ』に子どもと出かけた。
監督・脚本も務める主演ロベルト・ベニーニの演技は前評判通りテンションが高かったが、何と名匠フェリーニが企画していた映画で美術陣などがフェリーニ・スタッフ。イタリア映画界の粋を凝らした出来で、思わぬ拾い物をした気分だった。
かわいいペナント型の映画パンフレットで知ったが、イタリアの子ども新聞に連載されたお話が完結したのが1883年。映画化は生誕120周年の記念だということ。 日本では、この早春、角川文庫から大岡玲氏による新訳も出版されている。しかし、もう数年したら子どもが読んでくれるといいと思って、この岩波少年文庫版を手に入れた。
もう少しパンフから興味あるネタを拾い出してみると、作者コッローディの父がリチャード・ジノリ公爵の使用人だったことから、公爵にパトロンになってもらい、陶磁器店の2階でこのあやつり人形の物語は書かれたという。やはり、ジノリのカップでエスプレッソでも飲みながら執筆に及んだのであろうか。
1861年にイタリア統一は成ったもののフィレンツェの街には戦傷者があふれ、富国強兵に明け暮れる国家の下、人びとは貧しい生活を強いられていたという背景がある。物語にあまり濃く社会性を読み込んでしまうと面白味が減退するけれど、子どもの時に親しんだ物語が、そのような環境のなかで生まれてきたことを知るのは感懐深い。
ディズニー映画の記憶も強いので、ジェッペットじいさんが苦労して手に入れた教科書を売り払って人形芝居を見るなどのいたずらをいくつか重ねたピノッキオが、海でフカに呑まれてジェッペットじいさんに再会する…というあらすじがくっきり頭に残っていた。
だが、改めて読んでみると、フカに呑まれてしまうのは終盤も押し迫って残り8分の1というところ。「冒険」と題にあるように、広い世界に飛び出して様々な目に遭うエピソードが思いのほかいっぱいあった。ちなみにフェリーニ・ファミリーによる実写映画は、この原作に忠実。原作のややまだるっこしい部分を上手に脚色してはいたが…。
数ある名作童話のなかでも私にはピノッキオというキャラクターの印象を、子ども時代からとても好ましいものとして刻んできた。それは、「いい子」と「悪い子」という、どこか不条理な響きをもつ大人の価値の二大分類がくっきりと描かれているからだと思う。いい子でいれば人間の子に成れるけれど、悪い子としてウソをつけば鼻が伸びる。いい子でいればもらえるごほうびとか、悪い子でいれば抜きになるおやつやごはん、物置きや押入れでの監禁という罰よりも、はるかにインパクトがあって面白い。
人に操作される「あやつり人形」から、魂をもった「生身の人間」に成るという結末が、大人らしい深読みをするならば、各読み手ごとの理解に分かれるだろう。
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こんなに無茶苦茶やったっけ?と思いましたあと、訳が非常にくどい言い回しです。お話自体は、色褪せることもなく、大人が読んでも十分楽しめるかと思います。
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ディズニーのものとかなり違う。ディズニーはこの中から、純粋に綺麗だなぁと思われるところだけ取り出し、大衆向けの綺麗なお話に作り上げたのだと思いました。
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なじ■ 「わしのことを、おかゆじじいといったじゃないか」「ぼく、とうちゃんを千回もなでてあげたいし、せっぷんでころしてしまいたいくらいだ……」 印象に残る科白が多かったです。文章も好き!
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無論、ディズニー映画『ピノキオ』の原作です。
けっこう長くて、ピノッキオが忠告を聞かずに、何度も何度も何度も失敗をしまくるのだけれども、そんな懲りないピノッキオが凄く可愛い…。
この原作にけっこう忠実なカタチで、おっさんのロベルト・ベニーニがピノッキオを演じていた2002年の実写映画を前に見た時は、ピノッキオは全く可愛くないし、バカ過ぎてうんざりしたものだが…(笑)
ひとつの章が短めで、文章が軽妙なので、テンポ良く読めました。
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悪童ピノキオの冒険
たしかにちょっと道徳くさい
ピノキオも初読み~
ディズニーの印象がつよい
これはだいぶディズニーのとちがった
本筋はいっしょだけど
いきなりゼペットじいさんがなぐりあいの喧嘩してて笑った
新聞に連載してたらしく、かなりいきあたりばったり
つじつまあわないところも多い
けどその次から次へとなかんじがたのしくて
おもしろかった。
描いてて楽しいだろうなあというかんじ
学習しないピノキオ・・
でもたしかにいい子だったらあんまりお話にならない
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学校に行かない、勉強しない、親の言葉を聞かない、働かない、など良くないことを戒める物語なのだろう。
3年間にわたり、新聞に連載されたとか。
登場人物は変化して、矛盾するところもあるようだ。
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『改訂新版 私たちの選んだ子どもの本』で知り、この版を図書館で借りた。
言葉を話す木から作られた操り人形・ピノッキオの冒険。
ジェッペットじいさん・仙女さま、など。
読書前の印象「なんだか不気味な絵だな」、読書中の印象「ほんとどうしようもない奴だな」、読書後の印象「こんな話だったのか」。
これまでの私のピノキオ像が、崩れ去った。
極端な子どもがピノッキオで、周りの意見や流れに操られる存在から「りっぱな子ども」になった。
「行き当たりばったり」ということばがぴったり。
ピノッキオの冒険がどんな風だったのか忘れかけた頃、ジェッペットじいさんと再会したピノッキオが、冒険をおさらいしてくれる感じ、おりこうだなぁと思った。
「訳者あとがき」に、三年間継ぎ足された物語であるため、つじつまの合わないところがあるとあった。
でも、それすらも、なんだか変なのと思いながら読ませるのも、作者の筆力なのかなぁと感じた。
道徳的なおはなしとも言える。
「イーン! イーン!」にカルチャーショックを受けた。
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話の流れはめちゃくちゃでストーリー的な面白さは無かった。
が、操り人形や、各話のエピソードが面白く、一話一話で楽しく読めるのかもしれない。
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「ピノッキオの冒険」コッローディ著・杉浦明平訳、岩波少年文庫、1958.11.10
305p ¥400 (2020.05.21読了)(2020.05.13借入)(1976.04.10/11刷)
1958年刊行の旧版です。
Eテレの「100分de名著」で『ピノッキオの冒険』が採り上げられたので、放映を見て、テキストも読んでみました。自分の知っているピノッキオは、ディズニーの『ピノッキオ』であって、原作とはずいぶん違うものであることがわかりました。
この機会に『ピノッキオの冒険』を読んでしまおうと、図書館から借りてきて読んでみました。
世の母親たちが眉を顰めるけど、子供たちが大喜びしそうな行動が、いっぱい出てきます。作者は、子供たちが喜びそうなことを、知り尽くしているようです。
この作品が書かれたのは、1881年1月から1883年1月までで、子ども新聞に連載されたもの、とのことです。最初は、15章までで、ピノッキオが死んで終りになったけど、評判が良かったので、死んだピノッキオを生き返らせて、続編が書かれ、29章で終わらせました。ジェッペット爺さんが行方不明のままだったので、さらに続編が書かれて、36章で終わりとなりました。ファンタジーですので、今でも十分楽しめます。
以下に【目次】を書いておきましたが、もっと長い文章になっているので、短く端折ってあります。出版社の方、ごめんなさい。
【目次】
1 (大工のサクランボ親方)
2 (ジェッペット)
3 (操り人形・ピノッキオ)
4 (ものをいうコオロギ)
5 (オムレツをつくる)
6 (火鉢の上に足を乗せて眠る)
7 (操り人形の足をもう一度作る)
8 (自分の上着を売る)
9 (人形芝居を見物する)
10 (人形使いの火食い親方)
11 (火食い親方のくしゃみ)
12 (金貨五つ)
13 宿屋赤ガニ亭
14 (ものをいうコオロギ)
15 (カシの木の枝につるす)
16 (ルリ色髪のうつくしい少女)
17 (砂糖を食べるけど、薬は飲まない)
18 (キツネとネコ)
19 (金貨をぬすまれる)
20 (恐ろしい大蛇に出会い、罠にかかる)
21 (ニワトリ小屋の番犬になる)
22 (どろぼうを発見する)
23 (海に飛び込む)
24 (ミツバチの島)
25 (よい子になって勉強すると約束する)
26 (フカを見ようと海岸へ)
27 (巡査に捕まる)
28 (魚のようにフライに)
29 (本物の子供に)
30 (トウシン小僧とおもちゃの国へ)
31 (小ロバに乗っておもちゃの国へ)
32 (小ロバになる)
33 (サーカス一座に買われる)
34 (海に投げ込まれる)
35 (フカの腹の中の出会い)
36 (本物の子供になる)
あとがき 1958年10月 杉浦明平
☆関連図書(既読)
「コッローディ『ピノッキオの冒険』」和田忠彦著、NHK出版、2020.04.01
(2020年6月9日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
ことばをはなす木から人形を作ったジェッペットじいさんは、それにピノッキオと名づけて、子どものようにかわいがります。やがてピノッキオは広い世界に旅に出ます…イタリアの代表作として百年以上にわたり世界中の子どもたちに親しまれてきた物語。小学3・4年以上。
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くすぐったがったり文句を言ったり「生きている材木」で操り人形を作ると一人で動き出した。/コオロギが何度も復活するが、もともと寿命が短い虫だから転生か集団知か/「仙女さま」は年齢が初め少女でしだいに歳を取るのが早く、しまいには母親の如くなる。ゼペット爺さんの遭難に介入しないのはおかしいとも言えるが、子が立ち直らなくてはどうせ救われないのだ/善意は裏切られ…貧困、飢え、無知を捉える陥穽=「無知は飢えよりも残酷」、残酷と陰惨、社会の不正・不平等、恐怖、非人間的搾取、悪人は巧緻、「善人」はナイーブ=犯罪を助長する
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「ことばをしゃべる木から人形を作ったジェッペットじいさんは,それにピノッキオと名づけて子どものようにかわいがります.やがてピノッキオは広い世界に旅に出ます…イタリアの代表作として100年以上にわたり世界中の子どもたちに親しまれてきた,木のあやつり人形ピノッキオの物語.]
・わがままできかんぼうなピノッキオ。ジェペットじいさんが自分を必死で探していることを聞き、悪い心を改めてじいさんの元に戻ろうと決心する。
・もとは子ども新聞に連載され、人気が出てきて書き足したので、多少の矛盾があることを覚えておくとよい。
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まず、破茶滅茶な話に驚いた。
ピノッキオは、木ぎれの状態から話し出す。
そして本能のままに行動し、ちっとも学習しないから、痛い目に何度もあう。
これって本当に子ども向けの話なのだろうか?
そう思いながら読んでいてわかった。
滅茶苦茶だ、と思うのは大人になってしまったからなのではないか、と。
冒険に正しいとか、正しくないとかはなく、どんな体験をして、どんな気持ちになるのかを知ることが冒険なのだ。
読後、NHK100分de名著のサイト記事を読んだ。
当時のイタリア国内の状況を知ると、味わいが多面的になった。