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中国出身者の著者が、三国志の正史を解読して登場人物の「愚者」と「智者」の結末、乱世を生き延びた「明君」と「賢臣」、主君を選ぶ達人の知恵、乱世を生き延びた文人・隠者・賢妻、身を滅ぼした愚者たちの運命、などを紹介し、そこから現代にも通ずる生き方の見本を著した一冊です。三国志好きな自分としては興味深いエピソードが多く、例えば、劉備の息子である、一般には暗愚な人として認識されている劉禅は、本書によると自分の力の限界を知り、29年間も蜀の国を保った賢明な人なのではないかと著者は分析しています。これは的を射たものだと思います。そして、もう一つ印象に残ったエピソードとしては、孫権配下の顧雍という武将が、良い政策を思いつけばすぐ孫権に報告し、用いられれば孫権の手柄とし、用いられなければ絶対に人に知らせることはなかったというもの。このおかげで顧雍は、孫権に重用されたそうです。他にも、様々なエピソードがあり十分に楽しめる一冊でした。
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劉禅を名君と捉える解釈は違うなと思うし、知者と愚者の判別の仕方も即物的だなとは感じたが、三国志の登場人物の捉え方の一つとして、これはこれで面白いなと感じた。
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司馬懿はともかく演義では脇役的存在な人物達への考察。劉禅に関する考察は当たらずといえども遠からずでこの先も暗愚説は無くならないだろうが筆者の主張には説得力がある。生き延びるという才能については間違いなく父親である劉備のDNAを受け継いでいるといえよう。
曹爽や許攸に対しても一見辛辣に見えるが客観的にみると本書の解説通りに思える。