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低い評価となっていますが、プロローグ、序論を読んで自分に合わないと感じた結果付けたものであり、全部を読んで評価したものではありません。
あらかじめご了承下さい。
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自らが能力主義、功利主義に囚われていた事に気づくきっかけになった
自惚れていた
謙虚さ、寛容さを身に付けたい
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共同体主義者の代表格である著者が、現代において能力により社会経済的地位が決定されるメリトクラシーに対し批判を展開する。
階級制度を打破し、人々を自由へ解放すると信じられてきた能力主義は、如何にして支配的となり、弊害を持つに至ったのか?
アメリカでは「ヒトは能力に値する報酬を得るべきであり、それが社会の在るべき姿である」という思想が受け継がれ、オバマまでの歴代のリーダーはそれを説いてきた。一見聞こえはいいが、その結果として十分な報酬を獲得できなかった人は「値しない人」と烙印を押され、尊厳を奪われることになった。
また「大学入学」に人の選別装置としての役割を持たせたが、それを目的とする自由競争に制限をかけなかった結果、入学社の社会階級は固定化され元来の「出自に関係なく能力がある者を拾う」という機能は失われたと指摘する。そして大学は値する人/しない人の格差を広げるシステムになってしまった。
批判の筋は通っているし実感もあるが、この手の課題に対して具体的な解決策の考案ハードルは高い。
著者は消費者的共通善ではなく市民的共通善、機会の平等ではなく条件の平等が必要であるとし、具体策として下記を挙げる。
・大学入試への積極的差別是正措置、適格者のクジ引きによる合否決定の導入
・大学における道徳・市民教育の拡大
・技術/職業訓練プログラムの拡大
・賃金補助と消費、富、金融取引への課税増大
これらからはGDP拡大やホワイトカラー職への信仰、安直なグローバル化などに対する警告を強く感じる。
自分の思想は著者に近い。
毎日高卒の人と一緒に仕事をしているけども、その人らと比べ何故自分が高給なのかと居心地の悪さを感じる。仕事内容は決して属人的でないと自覚している。
以前に一度考えたが、それは自分を納得させるためのこじつけの範囲を越えられなかった。
https://t.co/V59O1y8aPq
自分は人は自分の人生に納得するストーリーを見出すために生きていて、それが幸せだと考える。
https://t.co/wzirdCNyfP
しかし、自由競争の中で一度でも「値しない」という烙印を押された場合、その達成は著しく阻害されるのは明白であり、善い社会への課題として強く共感する。
著者は自由競争社会では高給職が高い徳を持つと認識されがちだが、薬物の取引者と薄給の高校教師を例に挙げ、仕事の報酬と共通善への寄与度は決して一致せず、報酬は市場から自動的に出力されているに過ぎないものだと指摘する。人々にこの認識を広く持たせることは、課題解決に有効そうだと感じる。
しかし、文化から変えることは時間がかかる。提示する解決策を実行しようとした時、「本当に真因はそこなのか?」と足止めを受けることが想定できるが、システムと文化はどんなに議論しても鶏と卵になってしまうため、思い切ってシステムから変えざるを得ないフェーズに来ているのではないか。
あと読んでいて面白いなと思ったのが、アメリカ大統領めっちゃ思想演説するし、それが国の文化に強く影響を与えていくという事実。対して日本を見てみると、総理がそのような演説をしていた記憶が���ぼない。どちらがいいではなく、根本から文化が違う。
アメリカから見て書いた本だからこそ、その感覚が読み取れた節があり面白かった。
バーッと書評を書いてみようとしたものの全くまとまらないあたり、センシティブで難しい領域だとだなと再認識。としても、ぶら下げたまま漫然と世界を生きるのもかなり気持ち悪いものなので、何度か読み返しつつ日々考えて、人と意見を交わせるようにはしていきたい。
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単語の意味に難解な部分があり、序盤はやや理解に苦労したが、本編における課題の認識(能力主義の蔓延が産んだ現代の課題)とそれらに対する一貫性のある著者の見解により、中盤からは非常スピーディ且つ納得的に読み進めることが出来た。
能力主義的な価値観がどのように生まれ、どのように肥大化してきたのがかわかりやすく纏められており、また歴史的、政治的等多岐にわたる分野からの見解も記されている点で、非常に学ぶ点が多かった。
これらは、ある種避けられない価値観であり、改善に向けた明確な対処法も限られている点であることが一番の課題であり、本件の難しいところだと思う。
個人的には次の2箇所が特に印象的だった。
『プロテスタントの労働倫理は、恩寵と能力、無力さと自助の緊迫した対立として始まった。最終的に、能力が恩寵を駆逐した。支配と自己実現の倫理が、感謝と謙虚さの倫理を圧倒した。』
『懸命に働き、ルールを守って行動する人びとは、その才能の許すかぎり出世できなければならない。能力主義エリートはこのスローガンを唱えることにすっかり慣れてしまったので、それが人を鼓舞する力を失いつつあることに気がつかなかった。グローバリゼーションの恩恵を分かち合えない人々の怒りの高まりにも鈍感で、不満の空気を見逃してしまった。』
加えて、能力主義が駆逐してしまったとされる『労働の尊厳』も忘れてはいけないと思う。
これからを生きる1人として、出会えて良かった本の一つです。
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政治哲学者、マイケル・サンデルの新書。
テーマは「能力主義」(功績主義とも言える)。
能力主義は出生で己の身分が決まる貴族社会に対するアンチテーゼとして定着。
貴族社会時代の正義では無い分配を正すものと思われるが現代になってそのいきすぎた能力主義が新たな不平等、人々の分断を招いている。
トランプ当選、ブレグジットはその現れの一つ。敗者のレッテルを貼られた大衆の怒りが閾値を超えた。
なぜか。いきすぎた能力主義は勝者に驕りを、敗者に屈辱を与えるから。
そもそもどんな功績を出したにせよ、100%その人のおかげということはありえない。しかし能力主義社会ではそれがまかり通る。逆に不運に見舞われた敗者もその人の責として帰結させてしまう。
人々に必要なのは恩寵を感じる謙虚さである。
理想論としての能力(功績)主義を現実にも当てはめ続けた結果。ある程度の攻略ルール、定石パターンができてしまった。その結果階級の流動性は固定化され、「一流大学の学歴をとる」といった事柄が(金で殴る)ゲーム化してしまったんだと考える。(現代版貴族社会の出来上がり)
不平等をぶち壊すのはまた違う不平等。その繰り返しなのかもしれない。
アメリカの階級の固定化は他の先進国(日本込み)より進んでいるというのは驚きだった。アメリカンドリームとは。
かなり骨太な本。骨子を掴みたい人は巻末の解説から読むことをお勧めする。前半の米国の政治の話はけっこうきつかった。。
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ブレグジット、トランプ当選、反移民主義政党の対等、それはなぜか
なぜ、親は多額の資金を使ってでも子供に有名大学に行かせようとするのか(アメリカでの不正入試事件)
→能力主義における威信を得るため(能力主義のこの社会で今の地位を得られたのは自分の努力によるものだという自信、幻想)
競争の激しい能力主義社会で努力と才能によって勝利を収める人々は、様々な恩恵を被っているにもかかわらず、競争のせいでそれを忘れてしまいがちだ。われわれは自分1人の力で成功したのだと言う誤解、過信
お金が欲しければ投信を買い与えればいいだけの話
「今日の能力主義は世襲の貴族社会へと硬直化してきたのだ」
能力主義にまつわる問題その一(機会の平等が不完全)
能力主義は勝者にはおごり(他者から耐えられた幸福の軽視、全ては自分のおかげという傲慢)を、敗者には屈辱と怒り(負けたのは自業自得、才能の欠如)をもたらす
政治的イデオロギーの違いは統治者に求める共通善の定義が違うだけ。
経済における共通善はGDP。
能力主義の価値観は聖書の時代にも。
「不運に見舞われたのは何か罪を犯したから」
→プロテスタンティズムの倫理と資本主義では宗教と労働における能力主義という共通項を指摘
全ての結果にはその人に起因する原因(運命、偶然、他者からの恵みではなく個人の努力、才能)がある
ということかも
説明できないことはないはずだという科学への信仰にも通じるかも
能���の対抗馬は恩寵、摂理?
アメリカの経済的流動性は日本、ドイツなどの他の先進国と比べても低い(=親が豊かかどうか)。最近では中国よりも低い。アメリカンドリームとは過去の話。
「値する」は能力主義の肯定を暗示する。
それを受け入れている人は将来への希望ととるし、今困窮している人は屈辱をうける
現実はこうあってほしいという願いと、現実が事実そうなっているかの違い。希望と事実の混同
"事実から希望えと移り、また元に戻るとこうした傾向は、口が滑ったわけでも考えが混乱したわけでもなく、政治的なレトリックの特徴だ。"
"一流の学歴と、実践知や今この場での共通善を見極める能力と間には、ほとんど関係がない。"
学歴偏重主義は性差別や人種差別に並ぶ偏見の中でも未だ残っているもの
著者→学歴ではなく実践知と市民的美徳
大学の学位を持たない白人の2/3がトランプに投票
ポピュリズムを批判することにはなんのお咎めもない雰囲気あるけどこれはなぜ?
テクノクラート 技術官僚
政治家、トレードオフを伴う意思決定、パッチワーク、衝突する意思の統治
「インセンティバイズ」という新たな動詞が現れた
オバマ、「スマートな」を使いすぎ問題
消費主義
能力主義(メラトクラシー)vs貴族社会(アリストクラシー)
→所得と資産は偶然、生まれによってもたらされるか個人の才能と努力で獲得したものか
→詰まるところ、配分の問題?
→どちらも不平等は解決しない。不平等の作られ方が変わるだけ。しかし能力主義においては、その結果が個人の所作に起因するという残酷な考えを生む。それが富者と貧者の溝を深める。貧者は自らを肯定できるアイデンティティを奪われている
「人は、自分がどれだけ金持ちかに関心があるだけではない。裕福さ貧しさが自分の社会的地位や自尊心にどんな意味を持つかも気にしている。」
イギリスの社会学者、マイケル・ヤング:
貴族社会は貴族には自己愛のブレーキ(控えめさ)を、労働者階級には自らの立場を個人的失敗と考えずに済むようにしていた。
平等の実現って本当に簡単じゃないんだな
社会な評価される特定の才能を持っていることは、裕福な親のもとに生まれるという運の話という意味で変わらない
ハイエク →人々が稼ぐお金は、彼らが値するものを反映すべきだと言う考えそのものを拒絶するのである
功績と価格の乖離
→道徳的な意義ではなく業界や需要と供給だけで給料が決められると言う現状をうまく説明できているかもしれない。
ロールズ,格差原理. 自分がもらう報酬は才能が導いた成果に値するという見方の否定による能力主義との訣別.
=能力主義は「功績と成果との間の高い相関」が必須要素なんだな.
化学の専門家がその能力を発揮して純度の高い麻薬をつくることと、教師として学生に教えること、どちらの方が功績があり、価格がつくのか。
→儲かるのは麻薬。しかしだからといって麻薬を売るのが道徳的にも正しいとは限らない
能力主義のおごりと怒りに対する対処策→自分の成功は自分の手柄でなく幸運のおかげだと皆が信じること 今日こういう感情は不足
"名誉や評価の問題は最も重要な政治問題"
貴族社会へのアンチテーゼとして能力社会、その能力社会の課題が浮き彫りになり、次なる概念が求められてある
アメリカ→2014-2017で平均寿命が減少。死亡率が上昇した原因は自殺、薬物の過剰摂取、アルコール性肝臓疾患等による死亡の蔓延→「絶望死」
能力主義エリートに選ばれなかった敗者の怒りの源は評価、承認の喪失。生産者としての地位、自負の危機
労働市場は承認のシステム
労働の尊厳が失われている
→私がレンガを積むのは教会を立てるためですというレトリック、めちゃ大事だな
"税負担を労働から消費と投機へ移行させるこうした措置を実行すれば、税制度は今よりも効率的になり逆進性も緩和されるかもしれない"
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裏口と通用門は、お金の行き先が違う。裏口は大学に入り、通用門は門を用意したものに入る。
アイビーリーグの3分の2が、所得上位20%の家庭。
能力主義的な考えは、不運にあった人々に対して厳しい態度を生み出す。ピューリタンの考えと同じ=勤勉のすすめ。
オバマ大統領の妻ミシェルは、自らの責任で成功した代名詞となった。
アメリカンドリームは、より中国でチャンスが高い=中国の急成長のせいで、より向上させるチャンスが多い。
イギリスの閣僚の半分はオックスフォードかケンブリッジ。プライベートスクール出身者も多い。
能力主義と貴族社会。貴族社会であれば、自分が裕福なのは自分のせいとは考えない。能力主義だからそう考える。しかし、実際は自分のせいではない。能力主義の社会で貧しいことは、自信喪失につながる。
アーロンの本塁打記録は、能力主義の表れというより、それ以外の方法では乗り越えられない正義を憎むべき事例。
機会の平等以外の選択肢は成果の平等だけではない。広い意味での条件の平等もある。
アメリカ議会図書館は、民主主義が自らの力で達成できることの象徴(アダムズ)
能力主義の徹底は、連帯を不可能にする。自分の運命が偶然の産物であることを謙虚に受け止める。
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「自己責任」という言葉が嫌いだ。
自らの恵まれた境遇に無自覚な人がその言葉を使うときは特に。
実力も運のうち。タイトルからして我が意を得たりの本書。
行き過ぎたメリトクラシー(功績主義、能力主義)の罪を説く。
頑張っているのは認めるけど、もっと謙虚にね。
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本田氏の解説にあるように能力を功績と読み替えて読んだ方がもっと分かりやすいような気がした。能力には潜在的な意味の方が強いような気がするので。
訳はともかく、メリトクラシーの問題についてうなずけることが多い。オバマ大統領がスマートという言葉を何回使ったかなど、細かい指摘もあり、色々な角度からアプローチしている。ついついこういう問題は経済問題に向かうような気がしていたが、正義や人間の尊厳の問題にむかっていて、さすがだと思った。
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学歴偏重社会の弊害については、資格のある学生の中からクジ引きで合格者を選別するというアイデアが新鮮に感じた。議員についても選挙ではなくクジ引きで当落を決める等の実験的手法が提案されているが、そうした偶然性を織り込ませることで、世の中に一定の余裕や豊かさが生まれるのではないかという考えには共感する。
最後の章の労働への承認については、給与税減税や逆に低所得者への給与補助というアイデアが示されるが、社会の共通善への労働を通じた貢献を考える際に、こうした金銭を持ち出す取り組みは矛盾しないのだろうか?或いはプロスポーツ選手の高額報酬に対して「金額が問題ではない、プライドの問題なんだ」とのコメントが紹介されるが、ここでもやはり結局は年俸の額面が焦点になる。
承認と金銭的報酬の分かちがたく結びついた関係に、著者でさえほぐしきれない難しさを感じてしまう。
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「能力主義」を疑え。
なぜトランプ政権が誕生し、ブレグジットが起こり、世界各地でポピュリストが支持されるようになったのか? そこに、自らに尊厳を持てなくなった人たちの存在を見る。そしてそれは、「能力主義」を推し進めてきた結果なのだという。
「勝者は自分たちの成功を「自分自身の能力、自分自身の努力、自分自身の優れた業績への報酬に過ぎない」と考え、したがって、自分より成功していない人びとを見下す事だろう。出世できなかった人びとは、責任は全て自分にあると感じるはずだ。」そしてそれが学位を持つものと持たないものの決定的な断裂を生んでいるのが、現在のアメリカ社会という。
最後に著者はこう書く。「人はその才能に市場が与えるどんな富にも値するという能力主義的な信念は、連帯をほとんど不可能なプロジェクトにしてしまう。いったいなぜ、成功者が社会の恵まれないメンバーに負うものがあるというのだろうか? その問いに答えるためには、われわれはどれほど頑張ったにしても、自分の力だけで身を立て、生きているのではないこと、才能を認めてくれる社会に生まれたのは幸運のおかげで、自分の手柄ではないことを認めなくてはならない。自分の運命が偶然の産物であることを身にしみて感じれば、ある種の謙虚さが生まれ・・・」「能力の専制を超えて、怨嗟の少ない、より寛容な公共生活へ向かわせてくれるのだ」
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能力主義とはなにかと問題提起し一石を投げ入れている本。現代で言う能力主義で成功を収めたとしても、それはどこかの段階で誰かが手を貸してくれ、人生のどこかに素晴らしい先生がいたからであって、運命の偶然も含めて能力主義であり、一方では能力主義は目指すべき理想ではなく、社会的軋轢を招く原因であるとも語っている。運の一部である実力をどう評価すべきか、今後管理者がしっかり考えていかなくてはいけない問いである。
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興味深い内容でしたが、私には難しい部分がとても多くありました。私にもっと基本的な知識が有れば深い考察ができた書物だと感じます。
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書籍としては9年ぶりとなるハーバード大学哲学教授、マイケル・サンデルの新著である本書は、その間に巻き起こったトランプ旋風を踏まえ、民主主義的な社会が今や前提にしている”能力主義”に潜む問題を鮮やかに描き出している。
我々はいつの間にか「努力と才能で人は誰でも成功できる」という理屈をほぼ自明のものとみなしている。故に、そこから導き出される政策とは「すべての人々に対して、自らの才能を努力で開花させて立身出世できるような環境を整備すべき」というものになる。
しかし、こうした”能力主義”は大きく2つの問題を孕んでおり、この問題こそがトランプ旋風に代表される分断ー自らの努力で自分の地位を得たと思い込んでいるエリート層と、そうした地位につけずに忸怩たる思いを描いている労働者階級の白人たちーを招いた、というのがマイケル・サンデルの主張である。
一見、公平なように見える”能力主義”に潜む問題とは何か?1つめの問題は、結局のところ”能力主義”が具体的な形で結実するのはエリート大学への進学という学歴に帰結しており、大学に進学しない(アメリカにおいても2/3を占める)人々を貶めてその自信を失わせるという点である。そこからは直接的にエリート層との分断が生まれることになるし、間接的には議会・官僚といった政治プロセスの大半をエリート層が占めることで、彼らとは異なる人々の社会的・政治的な課題は見過ごされることになる。
では、めでたく自らの努力と才能でエリート大学への入学を勝ち取った若者たちが幸福なのかといえば、それもまた違う。この点が”能力主義”に潜む2つめの問題点である。アメリカ(また学歴競争が激しい韓国もそうであろう)では、エリート大学への入学のための様々な準備によって受験者たちは大きく疲弊しているという。そしてめでたく入学ができたとしても、常に競争を勝ち続けなければならないというプレッシャーは、大学に入学しても本人たちにまとわり続け、その結果としての精神的ストレスやアルコール・薬物中毒などの弊害をもたらしているとされる。
一見、好ましいようにみえる”能力主義”の背景に潜む残酷さをクリアに描き出し、具体的な処方箋として大学以外の教育機関への教育投資の拡大などについても最後に論じられている本書は、中国などの非民主主義国家を含めて、多くの国・地域に該当する普遍性を持っているように思う。
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メリトクラシー=能力主義(功績主義)は、勝者に選民思想と自己優越を
敗者に自己責任感と劣等感を与える。
職業に貴賎があるように見せかけるメリトクラシーは、メリトクラシー社会における勝者が運営し、敗者を怠け者とするシステムを拒み、ポピュリスト政権を生んだ。
言っている内容は難しい。アメリカの社会、大学事情を知っていればスッと理解できるのだろうが。
私はコンビニやスーパー、ファミレスの仕事を誰にでも出来る仕事と見なしているだろうか。ほんの一握りの人しか出来ない仕事なんて一体どれだけあるだろうか。
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なんとなく、シンニホンを読んだ時と同じ気持ちになった。こういう世界はわかったけど、自分には関係あるのか謎だしどうにもできない世界だなあという。そんな気持ちです。