投稿元:
レビューを見る
日本のインターネット広告費がテレビの広告費を抜いたのが2019年。アメリカでは2017年に抜き去っています。デジタル、デジタルと草木もなびく流れの中での本書です。著者はオグルヴィUKの副会長、出版されたのが2019年なので、最初はなんとなくレガシー系広告会社の「あがきの叫び」かな?と思ったのですが、一貫してクリエイティビティについての主張でした。それは「非合理のススメ」。もちろん,その中でデジタルマーケティングにも英国っぽい皮肉をカマしてしますが。たとえばP480「テレビコマーシャルをバナー広告と異なるものにしているものは何か?私には次の3点が考えられる。1.テレビコマーシャルの製作は高額で、放送枠の購入にも費用がかかることが知られている。2.テレビコマーシャルは大勢の人に向けて放送され、自分が見ているコマーシャルを他の多くの人も見ていることをみんなが理解している。3.自分のメッセージを見る相手を広告主がほぼ管理できないことが知られているー言い換えると、広告主は自分が約束する相手を選べない。もし、広告という活動が、ここにあげた3つのメカニズムを通して誰かを説得しているのならば、デジタル広告が効果的に見えるのに、現実には驚くほど効果がないことも、もっともだと思える。」しかし、著者はメディアの話をしているのではなく、論理的思考というものがいかに創造性を阻害しているのか!という主張です。人の心は、そして行動は決して理屈通りではない、と繰り返し事例を挙げつつ(その事例がまた面白い!)語ります。そのためのキーワードが「心理(サイコ)ロジック」。なので心理学とか行動経済学がばんばん援用されます。リチャード・セイラーやダン・アリエリーがどんどん出てきます。効率という呪文に苦しめられている今だからこそ、0→1の創造性の価値が上がっているのでしょう。それが、科学に滅ぼされた錬金術のにの前になるかどうかは、本書には触れられていないデータサイエンスという新しい科学との対峙の仕方によるのだと思います。テーマがテーマだけに、ロジカルな論考というより情熱的プレゼンテーションとして楽しみました。
投稿元:
レビューを見る
欧米企業の課題解決マーケティング事例を知りたい若者向けの書。昔だったらノードストロームとかサウスウエスト航空とか。欧米のベストプラクティスを読みながら、「流石だなぁ」なんて思ったものです。本書はその2020年版でしょうか。
行動経済学が、人間は合理的行動を取らないってことを証明し始めました。そのことを、広告、マーケティングに長年携わり多くの事例を見てきた著者は、「錬金術」と呼び、ロジカルな思考からの解放を問うてます。
ちょっと前に読んだ編集工学のアフォーダンスや、アナロジカルな考えと似てます。一緒に読むと自分ごととして、実践できる気がします。
投稿元:
レビューを見る
合理的である事は周りからの納得感は得られるが必ずしも正解とは限らない。一見不合理である事の中に金の延棒は隠されているかも知れない
投稿元:
レビューを見る
効率は大事だが効果的かどうかはもっと大事。
ロジカルな方法をとると、「自分は問題を解決している」という気分にひたることができる。だがロジカルな部分から漏れてしまったもの、すなわち本能や創造性、幸運が、より優れた解決策となる可能性もある。これまでと異なる方法をとれば、幸運な偶然を享受できるかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
面白かった!人は1/4インチの穴が欲しいの"ではなく"、カッコいいドリルを買いたい。それから穴を空ける場所を探す。理だけでなく情でビジネスが動くことを経験則で皆知っているのに、なぜ意思決定においては理ばかりで判断されるのか。
AIが(当分の間)人間を超えられないのはなぜか。ヒントが随所に散りばめられている。
投稿元:
レビューを見る
この本を読めば、なぜこの本が無駄に分厚い本なのか理解できるのではないか。
行動経済学系の本を読んでいる人であれば、知っている内容も多いかもしれないが、著者の本業である広告ビジネスの事例が多くある事で納得感の強い本だと思う。
投稿元:
レビューを見る
レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12712738467.html
投稿元:
レビューを見る
結局は「行動経済学」がロジカルシンキングに勝つ場合があるという話。確かになんでもかんでも予測できると踏んでやったことが「大外し」することもあるので、納得。
投稿元:
レビューを見る
ロジカルではない解決案 サイコロジック
ビッグデータは過去から出ている →意思決定の数学的モデルへの過度の依存
人類は現代と異なった状態で進化してきた 行動に一貫性がない
合理的だが間違っていることがある
心理学では 良いアイデアの逆が とても良いアイデアということが可能
現実よりも認識の発展 「真の理由」
問題は 待ち時間そのものよりも待っている時間の不確実性
平均のためではなく異常値に注目する
水=何の味もしない=合理性の追求 →無味無臭なものばかりに
人間の能力は漠然とした正しさの中に存在する
脳は「広い状況」の問題を解決できるように進化した。
問題が起こるのは「狭い」考えを用いて「広い」問題を解決するとき。
実際にあるもの=物理法則 と
我々が知覚しているもの=心理学的法則 とは非常に異なっている。
価格と価値 低価格ではなく、節約感
低脂肪=おいしくない 環境にやさしい=効果減 沈黙を続けた後に発表する
イケア効果 ひと手間加えることによる知覚価値 行動を与えることで理由は自分で
人は 明確な交換条件を好む
選択肢があることを好む
命令はない自分の行動を好む
良識的なものを好む
投稿元:
レビューを見る
世界的広告会社オグルヴィUKの副会長を務め、マーケティングとP&Rの最前線で人気を博してきた著者による本。「なぜ人は不合理な選択をしてしまうのか」を説明することが主題となっている。
本書は「心理学」「行動経済学」「心理物理学」をミックスさせたジャンルレスな本だと言える。それによって消費者がとる、アンロジカルな(サイコロジカルな)行動の原因を追求する。
この分野の本はこれまでに割と読んできたのでかなり知識はある方だと思っているが、知らない概念や用語も幾つかあった。
とはいえ、アカデミックに振り切っているというわけではなく、実際のケースや著者自身の経験に基づくエピソードも多く紹介されるので読みやすくて面白い。
ただし典型的な洋書らしく冗長なところもあるので興味のある部分だけを拾い読みするのが良いと思う。
特に興味深いと感じたところを数箇所まとめる。
・単に航空便の「遅延」を知らされるか、「70分の遅延」を知らされるかでは、感じる苛立ちの感情を区別できない。無力感と、時間厳守でないことへのいらだちを区別できない。
・明確な交換条件は好感を持たれる
「これは高いですが、間もなくそれだけの価値があることがわかります」というセールストークは、悪い面をひた隠しにするよりも強力な殺し文句となる。
・税金の大きな問題のひとつは、それがどのように使われているかを教えてくれないことだ。古代ローマでは、富裕税を払った人の名前は寄付した金の具体的な使い道とともに記念碑に書かれたので、裕福な人たちは喜んで支払った。
余分に税金を払った事実を示すために車に貼るステッカーを配布することにしたら、さらに多くの人がそうするはずだ。
人は必ずしも自分の気分や感情をロジカルにコントロールできるわけではない、多くの場合それを左右するのは不合理な仕組みである。
我々はそれを直すことを求められているのではない。それは不可能だ。しかし数%でもそれを自覚することで変わることもある。
投稿元:
レビューを見る
この本のここがお気に入り
「「犬が人を噛む」のはニュースではないが、「人が犬を噛む」のはニュースだというものである。意外だとか非論理的なものによって、意味は不釣り合いなほど多く伝えられる。一方、ロジカルで狭義の物事は何の情報も伝えない」