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家の近くのこじんまりした本屋さんで、お薦めとして平台に置いてあって手にとってみました。帯には、<私の好きな田辺さんの恋愛小説のベスト3>という山田詠美さんのコメントがあります。あの山田さんが!と思い、帯裏に引用されてた本文を拾い読みしてみて、俄然読んでみたくなって買いました。そんなことでもなかったら、なんだか仰々しいタイトルだし、恥ずかしながら田辺さんがどんな作家さんなのかも知らないし、きっと興味も持たなかったと思います。
が。
べらぼうにおもしろかったです。
簡単に言うと不倫のお話です。でもすごく達観していて、不倫をいいとも悪いとも評価はしないけど、ただ<こういうものである>という感じなので、思わず共感してしまうことばかり。世の女子はみんな読めばいいのに!っとか、思いました。
昭和52年に書かれたということで、携帯電話どころか、個人電話も無くて呼び出しで、という時代のお話。なので二十代後半が<ハイ・ミス>なんて書かれてて今の感覚と10歳20歳くらい違いますが。
大変、おもしろかったです。
出てくる人たちがみんななんというか気持ちの良い人たちばかりだったのも良かったです。
下巻も、寒色系ですがこれと似た感じのキレイな表紙です。
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主人公眉子と東野のやりとりが好き。この恋愛にどっぷりはまってる、少なくとも今ふたりで一緒にいるこの瞬間に幸せを感じてるのがすごく伝わってくる。でもね、やっぱりそれは長く続かないんだ。後半、眉子が東野との恋に覚め、「何々してあげる」ようになる、っていうのすごく分かる!ふたりの間に流れれる空気の心地よさは以前と変わらず、だから別れるまでもなく、彼と今までどおり接する。これからも、彼の癒し、心の支えになりたい、というか、なってあげようかと。う〜ん、すごく共感するんだけど、結局は都合のいい女なのか?これで、幸せなのか?でもね、そんな風に眉子をかわいそうな女って思わせないほど、眉子の気持ちには淡々とした潔さが感じられて。そこが気持ちよく読めたポイントかな?
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これが30年前の作品だなんて、ねぇ。男と女の間柄なんて、それにまつわる悩みなんて、30年前から全然変わってないんだな。いやもっともっと大昔からそうなんだろうな。とっても入り込みながら読みました。
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以前、書評を読んでからずっと気になっていた小説。
シチュエーションが、今の自分とかぶるところがあって、
ぜひ読んでみたいと思っていた。
実はこの作品は20年以上前のもので
最近文庫で再出版されたものだけど
読んでいて20年以上前の古さは感じなかった。
時代を感じるところと言えば、
ケータイ電話がないことと、籐のバスケットってあたり。
「次の秋で2年目を迎える。そのころにあたしは29歳」
「女は「あら、あらら」という何気ない拍子に、大なり小なり秘密を漏らしてしま
うことがある」
「「〜してあげた」と思うことが多くなってきた」
「好きなのは変わりないけれど、心のなかで突っ込みを入れることが多くなってく
る」
「困らせたくてワガママを言う」
など、胸に突き刺さる言葉がずらり。
明確な結末は描かれてないけれど、
その先は、ゆるやかな「愛の幻滅」になっていくのだろう。
「笑い恋」ならではの終わり方…
主人公が、今までなら疑いようもないくらい幸せだった過ごし方が
だんだんとそう思えなくなってきていることに気付いていく。
ただ、そういう自分の心情の変化を相手に悟られないようにしたい…
というくだりは、読んでいて心が痛かった。
心のなかで疑問が増え冷静になるほど
相手に優しくできる、なんてそのとおり。
でもそんな自分は好きなわけではなく、客観視してみてるしかない。
期待していたほどではなかったけれど
自分の心情を言葉にしてもらったような不思議な気分になった。
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こんなに不倫をさらっと書いて、決定的な何かがあるわけではないのに徐々に愛が終わっていく様子を浮かび上がらせるのってすごい。
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「愛の幻滅」は眉子と東野サンの恋のストーリー。
東野サンは気のいい男性、妻子あり。ーー要するに不倫の恋。
だけど、ドロドロの恋愛劇ではなく、あっけらかんとした、
それでいて身を焦がすような切ない恋。
泣き恋、怒り恋ではなく、笑い恋でいたい。
自分の恋をそう客観的に評価するようになってからの眉子は感情を出さず、二人の逢瀬は永遠ではないからこそ、テンションをあげて笑って楽しいひと時を過ごそうとする。
いつ終わってもいい思い出にできるように。
会うたびにしだいに、そう思いはじめる眉子のせつない気持ち。
「めんどくさいこと考えずに目の前の草だけ抜いてたらいいねん。」
東野サンはいつもそう言うけど、
その気のいい言いぐさに惚れたのだけど、
おんなってほんとうに現実的。
いつまでも夢をみているロマンなおとことはしだいにズレてきて。
でも、好きなのはかわらない。
東野サンの笑っている顔、優しい顔を見たくてあれこれ反応してみせる眉子。
しだいに目の前の草だけ抜いてるだけでは満足いかない自分の気持ちに気づく。
夫婦ってどんなものかしら。
どんな男女の関係なのかしら。
まんねり、なものなのかしら。
夫婦の関係について考えたり、東野サンの奥さんのことを思ったりする眉子。
それにしても、田辺聖子さんの小説にでてくる女性は、
仕事をもち、自立して、恋をしても芯の強く、さっぱりとした気のいいタイプ。
読んでいて気持ちがいいのである。
また、文中ででてくる「ハイミス」という表現!
今でいうなら「アラフォー」とでもいいましょうか。
でも、自らをハイミスという眉子の年齢はどうやら27~29!
今では考えられない年齢です。
時代の流れを感じながらも、面白いことにおんなの気持ちはおんなじで、
女性が読むと共感できるところばっかりでスルスルとページが進む一冊。
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不倫という関係性にもかかわらず、上下巻ともに滑稽なシーンがあったり、躍動というか、主人公がかわいらしく前向きに読めた分、ラストの温度のおちぐあいがなんともいえない。
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実際の不倫なんて、そんな背徳的な言葉とは逆に、独身通しでする恋愛より楽しくてしかたないから最終的にドロドロしてしまう。
楽しい関係ってゆう底なし沼から抜け出すのは、いつかは終わるとゆう責任のなさかな。
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まだ、上巻しか読んでいないのでなんともいえないが、短編の方がおもしろいんじゃないかと思う。食べ物の描写とか、季節の描写とかは本当にうまい。ただ、妻帯者とハイミスの恋愛ものなので行き着く先が見えているような。後半に期待。
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主人公は28歳OL。一人旅のときに知り合った妻子持ちの東野と楽しい不倫中。
この東野ってひとがまた憎めないと言うか、、、「目の前の草だけ抜いてたらいい」とか言っちゃうわけで。。
魅力的に描かれてるので、主人公が惹かれちゃうのもわかるんだけど、いくら「笑い恋」でも不倫に明るい結末なんてないんじゃ・・?
下巻でどういう展開になるのか気になるところ。
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28歳、ハイ・ミスOLの眉子。
結婚を急かす家族から逃れるための一人旅で、東野に出会う。40代で妻子持ちの東野との“笑い恋”に夢中になる眉子だが、季節が二巡する頃からそうシンプルな気持ちではいられなくなり…。
結婚に対するあせりや憧れもなく、東野の妻に嫉妬することもない。会っている時間を楽しめればいいと思っていた眉子が、次第にあれこれと雑念に惑わされたり二人きりの時にさえふと冷静になってしまったり。その変化がひたひたとやってくる感じがなんとも言えず…。
かと言って普通の不倫っぽくドロドロしたり重苦しかったりはしないところがやっぱり田辺流で心憎い。
ラストのぽーんっと放り出されるような感覚にしばし放心であった。
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自分が生まれる前に書かれた作品には感じられない。
あんまり、時代って変わってないのかな?って思う。
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重かった…
行き場のない恋愛は、苦しいな…
後半は行き場のなさがありありと描かれていて、読み進めるのがしんどかったです。。。
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愉しい不倫のお話し。
主人公の不倫を楽しむ女性とは同い年。
そのもどかしさ、そのわずらしさも、楽しいヤミツキになる快感。
分かる分かる!と随所で共感してしまう。
随分昔のお話なんだけど、古さを感じさせない。
恋はどの時代も輝いているんだなぁ。
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数ある田辺聖子さんの恋愛小説のうちで、
もっとも共感度の高い、とても深い作品。
大阪弁でポンポン冗談を言いあう、かつ
愛しあう男女の仲だけど、どうしても埋められない
溝があるよう。
眉ちゃんの、「相手が返事に困るようなことは
口にしない」という決意とそれを貫くのが立派。
結末の寂しさを想うとそうそう読めないのだけど、
傑作だと思う。