紙の本
トランプ後の世界
2023/02/11 05:56
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投稿者:チップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「穏健派」だと思っていたバイデンが実は戦争したくてたまらない大統領だった?
トランプが大統領だったらロシアのウクライナ侵攻は起こらなかったのではないかという声は大きい
「トランプ後」というが、いまだにアメリカ国内のトランプ支持は大きいし、世界の中にも「トランプの言っていた事の方が正しいのかもしれない」と考えている人は増えている。
格差が広がる社会。
何が真実かを自分の頭で考える必要を感じた
紙の本
トランプ後
2021/03/15 16:09
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
トランプ以降のアメリカ、世界について、いろいろな角度から分析されていて、わかりやすくてよかったです。バイデン大統領に期待したいです。
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私が社会人になった平成初期から追いかけている、この本の著者・増田氏による最新本です。米国大統領が1週間ほど前(2021.1)に就任しましたが、その辺りに増田氏による本が出れば良いなと思っていたところ、お知らせがあり早速購入して読んでみました。
少なくともコロナが勃発する昨年の初めまでは、トランプ大統領の再選はほぼ確実のように思われていましたが、少なくとも公式に出てくる報道によれば、あれよあれよと言う間に、バイデン氏の人気が上昇して大統領になってしまいました。
今回は大統領選の速報ニュースも見ていました。終始バイデン氏のリードのように報道されていましたが、最後までもつれた激戦州では、期日前投票の結果が加算されるまではトランプ氏がリードしていて、それらを足し合わせるとトランプ氏が逆転するように感じて、眠りについたのを覚えています。
数時間経って選挙結果を見て驚きました、ほとんどの週が青色に変わっていました。投票所に行った人と、期日前の行動した人の意見がものすごく異なるのだなと思いました。また選挙のサイトには各州ごとに詳細なエリアを示してどのエリアでどちらの候補が優勢かが示されていました。それを見て驚きました、全ての州において、都市部ではバイデン、それ以外の郊外エリアではトランプ氏が支持されていました。報道されているように、アメリカは州単位でも分断されていますし、州の中でも都市部と郊外部で分断されています。この点についても、増田氏は公共のデータを用いて(p53)説明しています。
さらに日本においても緊急事態宣言の延長が確実視される中で、飲食業を中心に中小企業が切り捨てられる政策が続いているように思います。昨年4月頃から少ない補助金の後に、経営を続けるために恐らく、2年間支払いを猶予してもらえる融資を受けた中小企業が、来年後半あたりから本当にギブアップして潰れてしまうことになると予想されます。
緊急事態宣言及びそれに準じた措置が、あと数ヶ月は続くと思われる状況において必死に頑張っている、近隣のスーパーや飲食店、そして多くて週に一度程度しかいけないオフィス近くの飲食点を精一杯応援したいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・大統領の公式記者会見が中断されたまま終わった、アメリカの大手メディアが自国の現職大統領に言論の自由を認めないという異常事態が起きていたのに、その事実をアメリカだけでなく諸外国のメディアもほとんど取り上げていない。(p6)
・トランプ大統領が最もやりたかった2つは、1)中東アフガニスタンからの、そしてできるならアメリカ以外の国々からのアメリカ軍の撤退、2)実効のある締め付けをやって中国共産党の一党支配体制を兵糧攻めにすること(p20)
・アメリカ金融業界の繁栄の基盤は自国内にない、世界中から10兆ドルにも上がるカネをほとんど無利子で借りておいて、その2割程度を中国の民間企業に、約8−9%に登る高い投融資収益を得ているだろう(p23)
・秋口から、民主党が知事も議会も掌握している州で、次々にあからさまな不正投票を奨励するための特例規定が次々と公表されていた、投票日よりも遅い消印の郵便投票も有効等(p24)
・アメリカ文明の興隆から衰退への転換点について、1)1930年代の大不況かこれを克服するためのニューディール政策による国家の経済介入、2)金兌換停止からオイルショック、のどちらでもなく、1946年に連邦議会が「ロビイング規制法」という名の贈収賄奨励法を成立したことであると考えられる(p32)これ以降、GDPに占める企業の取り分が増え、労働分配率が減っている。1970年代初頭の51%から最近では43%に下落している(p35)最も被害を受けているのは、白人男性の所得者である(p35)
・トランプのかき集めた選挙資金中の40%は、一人・1団体200ドル未満の小口献金であった、トランプ支持者の圧倒的多数は中層の下から下層の所得しか得ていない(p46)
・アメリカは2つの国に分かれている、一つは、ボストンからニューヨークを経てワシントンDCに至る大西洋岸(東海岸)の大都市、シアトルからサンフランシスコ、ロサンゼルス・サンディエゴにいたる太平洋の大都市、そしてシカゴ周辺といった知的エリート主導型の国、もう一つは、両海岸地帯に挟まれて荒涼とした景色が広がる教育水準も所得も低い労働者と農民の国、この二つの国には交流はあまりなく、モノの見方や考え方の交流に至っては皆無に近い、バイデンが制した500未満の郡が、GDPの71%を算出し、トランプが制した2400以上の郡は29%しか産出していない(p53)
・製薬資本は大手メディア、ハイテク・インターネット関連と並んで、民主党の三台スポンサーの一角をなしている。製薬会社の多くは、依存形成リスクは本物の麻薬と同等か、それ以上のオピオイド(麻薬もどき)を製造販売している(p59)民主党議員は麻薬の害自体を減らそうとしているのではなく、製薬資本にとって強力なライバルである麻薬密売組織を締め上げることで製薬資本に忠勤を励んでいるだけである(p60)
・世界経済フォーラムと外交問題評議会は、現在2つの難問に直面している。1)経済が製造業からサービス業に移行する中で、あまり出番のない膨大な投資用資金をどう活用するか、2)消費者向けサービスで顕著な中小零細企業の間で分散化が進む経済権力をどうやって強大な資本のもとに再統合するかである。1)の解決策は、地球温暖化、その達成のために再生可能エネルギー源による発電、内燃機関から電気・水素自動車への転換である。2)に対しては、新型コロナウィルス対策を口実として、地場レストラン・娯楽接客産業の撲滅である(p65)
・2000年代に入ったからは、企業の手許資金の使徒としては、株主還元の配当金と自社株買いの合計額の方が、収益拡大のための設備投資や研究開発の合計額よりも多くなっている(p78)
・それぞれのニッチ分野で首位になれなかったという理由でひっそりと消えていく企業も出てきている、2027-28年頃にはS&P 500社の平均寿命は12年にまで縮むと予測されている。筆者は、2027年には2007-27年の21年間続く長期不況の決着がつく年と予測している(p100)
・ゼロックスは特許申請しないで秘密主義で技術開発を進���ていたのは競合メーカとの苦い経験があったから、オフィス用複写機を蚊発した際には特許を取得して長らく市場シェアが100%であったが、ライセンスを供与しないのは独禁法違反ということになりライセンスを供与することでマーケットシェアは15%に落ちて経営難となった、そして秘密主義にした。これにより他社に技術を盗まれても対抗できず、自分たちの技術であっても侵害訴訟を受けることになった(p107)
・世界各国で取得された特許がどの程度企業収益に貢献しているかを比較した資料(研究開発陣の打率比べ)によれば、日本と韓国がトップ、そして欧州、アメリカと中国が最下位争いである(p108)
・地球温暖化にしてもコロナ禍にしても、対策の方が問題より高いコストがかかるという懸念を払拭する議論を聞いたことがない、対策(時短営業、それによる失業)によってどの程度ウィルスの蔓延が防げるか(問題)ということは分かっていない(p127)厳密なロックダウンをしても感染者数は減らすことはできない、この事実は、もっとも厳しいロックダウンを実施中のカリフォルニア州とニューヨーク州だけで、その他48州の合計より感染者が多く出ていることで実証済みである(p130)
・アメリカの実績(2020年末で死亡者:34万人)から、40代(49歳以下)は、日常生活パターンを変える必要はない。50−60代はやや心配(生存率:99.5%)70歳以上は要注意(94.6%)、対策としては65歳以上で働いている人に対して、労賃分の休業補償をして、その上で仕事以外での外出を避けてもらうための奨励金を差し出すべきである(p132)
・最終学歴別で在宅勤務の可能性に大きな差がある、高卒資格がない人で在宅可能なのは、2.5%、高卒:7.1%、大学中退・短大卒:15%、大卒:35%、大学院:47%である(p140)
・大手のレストランがうまい料理を良心的な価格で提供できるのは、栓を抜くだけで高い祖利益が確保できるアルコール飲料を着席客が想定外の量を飲んでくれるから。これはテイクアウトでもデリバリーでもできない(p145)
・ニューヨークの冬に野外テーブルで食事をすれば、普通の風邪を拗らせて肺炎で亡くなる人が続出するだろう。ニューヨーク州の感染経路分析では、ホームパーティが約80%を占めて、レストランは1.5%に過ぎない。有力ロビイストもなく強力な圧力団体がないレストラン業界を狙い撃ちにしている(p149)
・はっきりとした目的があって、その目的を達成するために最適の手段として選ばれたのが「地球温暖化対策」であり「コロナ禍対策」であるとしか思えない。目的としては、1)投資用の資金を使い切るための、巨額な重複投資、過剰投資をすること。効率の良い火力発電、内燃機関自動車をバックアップとして、効率の悪い太陽光・風力・電気自動車・水素自動車をメインに使うこと、2)あらゆる業界を世界で1、2社に寡占するため中小企業を撲滅、3)理不尽な命令にも従順に全人類が従うように訓練する(p152)
・温暖化が顕著なのは、大都市圏と幹線道路沿いの観測所からのデータである。海水温の上昇率は遥かに低い。もし地球全体が温暖化しているのであれば、蓄熱能力の高い海水温の上昇率が高く、��表の大気温度の上昇率は低いはずである、夏に冷房をかけて自動車で移動する人が多くなったので自動車の排熱が温度をあげているだけ(p160)
・テスラは電気自動車を製造販売するたびにもらえる内燃機関車販売権を他の自動車メーカに売って、かろうじて当期利益をプラスにしている。一株あたりの利益が極端に低いので、株価収益率が170倍という高水準になっている(p164)
・電気自動車はあまりにもエネルギー効率が低いので本格普及する見込みはほとんどない。ブレークスルーで電気自動車のエネルギー効率が向上してもそのかくしんを担うのはテスラ(リチウム電池式)ではないだろう。テスラが生き残るとすれば、他社に先駆けて、これまでうまくいっていなかった、自動運転ソフトの世界基準化に成功した時だろう(p180)
2021年1月31日作成