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■「いざというときは、1人になりたい」、それでも
近年、生きづらさを感じる娘がその原因を母親との関係性に見出だし、関わりを減らしたり関係性を絶ったりすることによって新しい生き方をはかる、所謂「毒親(毒母)」関連書籍が多く出ているように思えます。
では本書もその系列の中に置かれるものなのか……出版当初は私もそう思っていました。しかし一読を終えると、必ずしもそうとは限りませんでした。
『母』は、歯に衣着せぬ物言いで一世を風靡したピン芸人の青木さやかさんが、幼少期から続く母親(学校の先生だといいます、確か横澤夏子さんの親御さんもそうだったような)との重苦しい関係性を、「母を自分の人生からおいだすことはできない」(202頁)、そして「娘を愛して受け入れるには、まずは自分を愛して受け入れるのが先」(224頁)と考えるまでに至った経緯を、女性芸人としての人生に触れながら綴った一冊です。
そこには、パチンコ屋や雀荘、居酒屋、病院、友人知人との輪などでの、青木さんを取り巻く人々との交流がありました。
お笑いを通じて「欠点も愛すべき自分の一部だということを教わった」(86頁)と言う青木さんの背景には、ヒリヒリとした、そして時にほのぼのとした風が流れています。
初めての出産の際に吐露された「『いざというときは、1人になりたい』」(174頁)という心情には、私自身、母親との関係性に悩む時間も長かったことから、大変共感するところがありました。
色んな人とちゃんと(という言い方には語弊があるかもしれませんが)関係性を結べるのに、一番重要な時に繋いだ糸を自分からぷつんと切ってしまう天の邪鬼な心。自分にもそんな心があるかもと思ったら是非手に取って頂きたいです。
お笑いファンとしてショックだったのは、ブレイクした青木さんが「有名になったら埋まると思っていた孤独は、全く埋まらなかった。それどころか知らない人が自分を知っているということに、恐怖を感じた。」(148頁)という気持ちになっていたという箇所でした。
私が好きな芸人さんも、鳴かず飛ばずの時期が長かったものの、新型コロナウイルス流行を期に大ブレイクした方なのですが、今でも事あるごとに「実感がない」「信じられない」と口にされており、華やかな活躍とは裏腹に、表に出さず膨れ上がってゆく孤独というか寂寥というか、そういうものとの戦いを始めているのではと邪推してしまいました。
蛇足ですが、芸人としての青木さんを育んだのは東京・高円寺の町でした。
高円寺といえば、2021年キングオブコントで優勝した空気階段・鈴木もぐらさんを祝福する横断幕を掲げたことにも象徴され、今や「高円寺芸人」という言葉さえ生んでいるように、お笑い芸人さんを温かく包み込んでくれる町のようです。
■青木さやか(あおきさやか)
メンバー:ピン芸人
結成:1996年(活動開始)
所属:ワタナベエンターテイメント
出身:名古屋タレントビューロー
https://youtu.be/TG9-plik1oM
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深い話ではありませんでしたが、面白く読めました。確執に至るエピソードがもうちょっとあったんじゃないかなと思ったり、それが娘さんとのやりとりにどう影響したのか。子育てしてわかる親の気持ちがもう少し出ていれば、より共感できたかも。
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国語の教師だったお母様との確執、上京して芸人として売れる前の同棲生活の様子や、またブレイクしてからの生きづらさが書かれています。
~
心に残った言葉~
「親になって気づいたことがある。自分を大切にしていないわたしは、自分の一番大切な存在である娘を、大切にするのがとても難しいのだ。」
「毎日は忙しい。いろんなことを経験したって、とても未熟だ。イライラするし、傷つくし、大切な人を傷つけることもあるし、消えてなくなりたい夜もある。
母が、生涯抱えていたであろう生きづらさのようなものをわたしが引き継いでいるような気がする。その因果を娘に渡したくなくて、それと自分の残りの人生のために、わたしは生き方を変えることにした。」
青木さやかさん、カッコいいです!
私も、時々、生きづらいと感じることがある。
残りの人生、どう生きるか考えてみよう。
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とても読みやすい本でした。
娘との関係に日々悩んでいる最中ですのでどうしても読んでみたくて購入したんですが親子関係については思ったより深くは書いてなかったのが残念な気がしました。長い間青木さん自身も母親との関係に悩んでいたようにお母さんも同じかもっと悩み苦しんだであろうと思うと切なくもなります。しかし私の娘も同じように今悩み苦しんでるかもしれないと気付かせてくれた本でした。青木さんが最後いい関係になれたように私もいつの日か娘と笑顔で会話できると日を願っています。
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青木さやかさんとお母様、お二方とも真面目な性格でいらっしゃるんだろうなと思いました。
また芸人さんとして活躍する姿を見たいです。
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読みやすく、さらっと読了できました。青木さんの真面目な人柄などが伝わってきて、共感できることも多かったです。次の作品も読んでみたいです。
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母へ抱く複雑思い。
お母さん大好き、そう思いたいし、そう思われたい。
でも、どちらも難しい。
全盛期テレビで見かけていた彼女はこんな葛藤を抱えていたのか。
それを知ることができて、好意を持てた。
自分が幸せでないと、周囲の人は幸せにできない。
自分を好きでないと、人を心からは愛せない。
年を重ねると共にそのことが理解できる。
母親との関係改善が自分と娘の幸せにつながる、そう気がつき行動した勇気、それがあったからこの本が存在しているのだろう。
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母への憎しみ、愛されたい気持ち。孤独感。芸人という人を笑わせるお仕事をしている青木さんに、そんな思いがあったのかと親近感わいた。
人との会話がテンポよく描かれていて、心地よかった。
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芸人青木さやか氏の母とのお話。
と思って読んだら、それ以外の独身時代の話もあった。
やっぱり芸人、彼女にその意図があるかは不明だが、ところどころでクスっとしてしまった。
最後には母とのわだかまりが消えたようで良かった。
小川糸さん(彼女も生前の母親とは微妙な関係だった)が何かに書いていたが、人との関係は(その人が)亡くなってからでも変えていけるという言葉が印象にある。
青木さやかさんは、生前にある程度納得のいく関係を築けたし、やはりお互いが生きているうちにそうなるのが一番だけれど、亡くなってからでもという発想に人との関係というのは、一方ではその人と対峙している時の自分なんだと改めて思った(平野敬一郎氏がいうところの分人)。自分自身の中で変化がなければ、相手との関係に変化を生むことはできないのだろう。
他にも、青木さんが癌に罹ったときの話が印象的だ。
「癌を患ったからといって癌になった人の気持ちをわかるなんてことはないのだ。状況が違う年齢が違う性格が違う。過去の病気の乗り越え自慢は聞いちゃいられない。いま病気の人の気持ちは、いま病気の人にしかわからないのだ」(p206)
これは本当に激しく同意する。
私自身、癌に罹ったことこそないけれど、不妊治療の経験から「私も治療してたけど」ってすでに子持ちの人に言われた経験に重なった。
不妊治療や癌治療は、まさにそれをしている最中でなければ、下手に口を開くべきではない。
単なるマウンティングになりかねない。
本書を読んで、青木さんの少し面倒臭そうな性格、それでいて繊細で優しい人柄が伝わってきた。
思った以上に人間臭い人だった。
彼女は生きるのが上手なタイプではなさそうだけれど、だからこそそれが芸に生きているのかもしれない。
頑張ってほしい。
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面白かった。母との関わりの話よりも、売れるまでの青木さんの生活が面白かった。
さすが凡人には恐怖である消費者金融のカードに愛おしさも感じてしまうお方!やはりビッグになる素質がそこにもあるような気がする。
若い頃の青木さん、もしあったら友達になれるかな?
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青木さんも長年、母との関係性に悩んでいたそうで読んでみたいと思った本。
親子関係というのは、人生を左右させるものなのだということを実感します。
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内容は少し切なかったり、重かったりもするのだが、読後感が爽やか。気持ちの表現の仕方が分かりやすいというか、ストンと入ってくる。
特に病気になり、その不安を描いた部分。私自身ではないが、親がガンになった時の不安感がまさにこんな感じだなぁ〜と。
他の作品も是非読んでみたい。
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以前、ネットでこちらのエッセイの1話を読み、(パチンコの話でした)
青木さんの文章、良いな、と思ったのを
思い出し、購入。
良かったです。
お母様との確執については、
人により見え方は違うと思うし、
苦しさはご本人にしかわからないと思うので
特段思うことは無いです。
各話、
短編小説を読んでいるような感覚で、
とても良かったです。
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そう厚くはないし、とても読みやすい文章なのであっという間に読み終え、面白かった。
まあ、母娘でも合うとか合わないとか、色々あるよな〜と私も実感。
昔、切れキャラだった青木さやかさんが、こんな本を書くまでになったんだな〜と変に感心、、
離婚はしたけど良い人との出会いで、今は幸せそうで良いですね。
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タイトルが母となっていて、母とのやりとりなどが書かれているのかなと思っていた。思ったより母でてこなかったけれど、子どもにとって母の影響って人格形成に影響を及ぼす。青木さんの行動、生き方に嫌が上でも反映されている。お母さんもお母さんなりに一生懸命だろうに、それが親子間でうまく噛み合わない悲しさ。
子どものころ無条件で甘やかしてもらった記憶がなかった子どもは、大人になってからも生きづらいのかなと思った。