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水曜日のレイプ魔の内面と被害者女性の心痛と復讐を描く衝撃作。
邪な心というのは、いつ生まれてくるのだろうか。若くして開業医という成功者でありながら、嫉妬やストレスそして欲望に堕ちて、最も卑劣な犯罪に走る男。加害者にも被害者にも肩入れすることなく、ドキュメントタッチに顛末を描くことで、人間の悪意が毒物のように読書脳を犯していく。この語り口は怖い、そして巧い。
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桐生夏生の作品が読みたくて図書館に行ったらこれしかなかった。
開業医が水曜夜にレイプを人知れず繰り返している話。妻も医者だが、他の医者と不倫している。
あらすじはドロドロだが、ドロドロの描写は一瞬なので穏やかに読めます。
ストーリー展開にはあまり驚かなかったが、それぞれの登場人物の視点から書かれている構成が面白い。
リアル感があり、ドキュメンタリーを見てるような感じでサクサク読み進められた。
他の人もおっしゃるように、完璧主義だった犯人の最後があっけなさすぎた。
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昏睡強姦魔という重い題材ながら、妙にテンポ良く進む物語にどこか軽薄な印象も受けつつ読み進めた。もっとヒリつくような重苦しさを期待していたので拍子抜け感は否めないが、登場人物ひとりひとりに込められた鋭い視点に圧迫感を覚える。強姦魔の川辺にしても、卑劣で邪悪な印象より矮小で哀れな印象しか残らなかったのは正に意図通りなのかも。川辺の歪んだ自尊心の為に傷つけられた女性たちが反旗を翻す様を通して【女性の自立】を描いた作品という印象も受けた。川辺の妻や文庫化に辺り付け加えられたエピローグが特にその印象を強くしている。
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39歳開業医の川辺は別の病院の勤務医である妻に浮気されていることを知りながら鬱屈した気持ちを秘め、妻のいない水曜日の夜に一人暮らしの女性宅に忍び込み薬剤を使い女性を犯す連続レイプ犯。警察には届け出なかった被害者達はネットを通じて繋がり…。犯罪の方法も安易なら捕まり方もさほどサプライズもない。描かれた登場人物達の人間関係と感情ののドロドロこそ真骨頂か。
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その昔、僕の友人がですね、桐野夏生の「メタボラ」を評して「ポップにグロい」と言っていたのですが、あの表現、まさに言い得て妙だなあ~、と思って、今頃感心しております。そうなんですよね。桐野作品、まさに、ポップにグロい。「ああ、これが現実社会なのか、、、そうなのか、、、」と突きつけられる容赦のなさ。その消費文化っぷり、そのグロさっぷり。あの表現、うん。まさに、桐野作品の真理を突いている気がする、と、この「緑の毒」を読んで、至極納得した次第です。
この作品、なかなか興味深いのは、連載時は、角川書店の雑誌「野生時代」に2003~2011年もの長期間にわたって、断続的に連載していたものなんですって。あしかけ8年に渡る連載!?長い。長いぜ。なんでそんなに長い年月かけて連載してたのかしら?そこまで、超大作でもない感じの作品ですし。謎ですね。ちょっと、ここらへんは、謎です。
あと、冒頭に、シェイクスピアの「オセロ」の一文が、エピグラフで挙げられてまして。嫉妬の怖さを言及した文章でして。で、小説の題名も「緑の毒」だし。green eyed monster. 緑の目の怪物。西洋では、嫉妬の色は緑色、って感じになるみたいですね。だからまあ、嫉妬は緑、というのが、この作品のテーマなのだろうなあ。嫉妬の怖さを描いた作品なのだろうなあ。
という思いで、読み始めたのですが、あれ?そんなに嫉妬、重要ではなくね?って思いながら読んでました。最初の章こそ、川辺康之が、嫁さんのカオルの不倫で嫉妬に狂って変になっていく感じを述べてましたけど、この川辺がマジ変人。カオルが不倫している事への嫉妬の気持ちで自分が逆に悦んじゃう、みたいなドMやないっすか。変態だなあ。
で、その嫉妬の気持ちの荒れ狂いっぷりから、水曜日の夜によなよな、連続レイプ犯罪をやっちゃうよ、みたいな流れ?になってるのか?って感じなのですが、、、嫉妬、関係ない気がするぞ?嫁のカオルが不倫してなくても、川辺、なんらかの犯罪に手を染めてたんではないのかなあ?というくらいに、なんだか変態です、この人。
で、いきなり最初から、主人公?って感じで登場した川辺はレイプ犯だわ、第二章になったら目線がレイプ被害者の亜由美に代わって、この亜由美の姉ちゃんは引きこもりだわ、で、うわあ桐野さん、、、相変わらず、えげつなく酷い物語を綴るなあ、、、ってこう、早速ね、鬱な感じになるんですけどね。
第三章になったら、やたらとこう、桐野さんっぽくないというか、普通な感じになってくる。若宮伸吾、登場。このキャラが、めっちゃ好青年。妹のルリ子がレイプ被害にあったことに、心の底から憤慨して、ぜってえ犯人とっつかまえてやる!ルリ子!お前の無念は、兄ちゃんが晴らしてやるからな!と意気込む麗しき兄妹愛。家族愛小説ですやん?バリに、真っ当に良い兄貴。うお?桐野さん。なんか、テイスト違わなくね?
って思ったら、こっから、なんかこうね、一気に物語が、ポップになるんですよ。しっかりグロいんですが、凄くこう、桐野的にマトモ、というか、なんというか。
嫌なキャラばっか登場するんではなくて、カオルの不倫相手の玉木は、なんだか爽やか男臭いキャラだし、ピーターフラット2の住人の、飲み会企画した本木 夢も、なんだか善人。川辺の、元共同経営者だった野崎 友秀なんかも、なんだか憎めない。
そんなテンションで、なんだか矢鱈とポップに、話が、、、進んでいく、、、という思いで一杯でした。川辺はマジで人間のクズ、みたいな酷い男でしたよ、ええ。レイプ犯だし、医院経営の方針も、全然親切にしない診療、がモットーのダメ経営者だし。でも、何だかほかが、あれ?案外、善人多いじゃん?とか思って、サクサクと読み進めてしまいました。不思議な感じだった。
が、まさに「ポップにグロい」というそのまんまの評価となる気がする、そんな一作でしたね。
ってか、性犯罪、絶対いかんよ。ダメですよダメ。川辺にレイプされた被害者の女性たちが、どうしても警察に被害を届けたくない、と、しり込みしてしまう気持ち、これはマジで真実なのだろうなあ、、、そこだけは、マジで真摯に受け止めたい。性犯罪と幼児虐待は、マジでダメだよ。ということを、肝に銘じたいですね。そんな思いは、確かに感じました。
物語の最後も、川辺は、えらくアッサリと捕まる感じで、若宮伸吾、どっから絡んできてたのよ?という感じでいきなり登場して、ちょっと微笑ましかったですね。で、川辺の後日談を全然描写しないところとか、桐野さん、クールやなあ、とか思う。最後の章の、描き下ろしの話の主役ポジションの人物が「お前じゃないが仕方ない」の海老根 たか子ってか!というのも、うーむ。潔い。たか子、沖縄のいきつけの飲み屋で、じろじろ自分を見てたオッサンに、キレてるし。そんな終わり方も、うーむ。なんだか、いさぎよい。
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開業医の川辺は、勤務医の内科医である妻に嫉妬心を抱いていた。
患者からも院内からも人気があり、同じ病院の医者と不倫関係にある妻に。
川辺は、鬱憤に耐えきれず、犯罪を重ねてしまう。それは、連続レイプ。
川辺、そのクリニックで働く看護師、川辺の妻カオル、川辺に苦しめられた被害者の女性達、川辺の同期。様々な目線を通して、一連の事件が追われていく。
夢中になって読んでしまった。
この物語の特徴は、ヒーロー的存在の探偵役を立てていないことだ。
川辺なる「犯人」を追うべく、様々な登場人物たちが、少しずつヒントを探り出してかき集めていく。その過程に惹きつけられる。
また、特別なトリックも凝った謎掛けもない。犯罪、行為全てを、私たち読者にストレートに提示している。
もうこうなったら、早く気づいてー!と、私たちは登場人物を応援するのみだ。
私は、看護師の青山さんが好きかな。
人間らしいずるさや弱さもあるけど、正義感もある。
面白い一冊でした!
桐野夏生さん、男性と思い込んでいたけど、女性だったのですね!
他の作品も読んでみます!
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金と権利という自由を手に入れても尚満ち足りない気持ちを埋めるための行動は酷い。被害者を軽んじる、従業員や患者への上から目線は、医者という職業が悪い方向へ育ててしまったのかも。
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実際にありそうで怖かった
医師…なるためには努力も時間もお金も必要な職をもちながら、自分をおとしめていく主人公の様に読みながらげんなりした
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内容がすごく不愉快で、個人的にはこういうストーリーがとっても好きです!
なので、桐野夏生さんの小説は好きです。
犯罪者側・被害者側の心理をそれぞれしっかり描いているので、違和感なく読みすすめることができますね。
登場人物たちの内面は、すごくドロドロしているはずだけど、彼ら自身が、それを表顕するのがすごく下手で、間違っていたり、拙かったり、、そういう部分がうまく描きだされています。
終盤がかなり焦った感じですが、これはストーリーがあせているのではなく、主人公の心理的焦りが影響しているのでしょうね。
楽しめました^^
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主人公は川辺康之、妻あり子なし、39歳、開業医 そして連続レイプ犯。
プライドだけは異常に高く全身高級品を身にまとい妻への不満を抱きながら次々とレイプを繰り返して行く。
普通どんな悪い主人公でも一縷の同情の気持ちが芽生えたりするものですがこの主人公には全く同情の余地がありません。
読んでいて決して気持ちの良いお話ではありませんが登場人物の心理描写が見事で脳内映像でずっと動いていました。
最後まで飽きる事無く、堪能出来た作品です。
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開業医妻も医者で総合病院に勤務川辺は子供もいない自分は上から下までブランドずくめで水曜日の夜は奥さんが同僚の玉木先生と浮気その穴埋めをするためレイプ魔になり自分のストレス解消をする
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加害者視点でも被害者視点でも語られるのが、おもしろかったような、そうでもなかったような…。
嫉妬の描写と、そこから来る行動はおもしろかったから、そこをもっと掘り下げてドロドロ汚い部分がもっと見えてもよかったのになーとか、煽ったほどは復讐に恐怖を感じられなかったなーとか、少し物足りなさが残った。
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どうしたんだろう桐野夏生。グロテスクや残虐記で見せた勢いと生々しさはどこへ。尻切れトンボなあたり、体力がなくなってきたのかなぁ。川辺のディテールは良かったのに。
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自分の行動がすべての元凶なのに、何が悪いのか、妻のためといいながら、自分が好きなもの、自分が彼女に似合うと思うものしか認めなかったり、それに反すると、すぐに態度に出る。何故病院がうまくいっていないのか、わかっていない。身勝手な性格で、自分のやること、自分のセンスが一番良いと思っている、まわりの不満、窮屈さを感じられない人物。
ギリギリまでどうなるかわからなくて、ページが少なくなってどう復讐するんだろうと一気に読んだ。
かけあしで終わった感があるので、もう少し、女性たちの復讐のかたちを読みたかった。
自分の卑劣・悪質なことは棚にあげて女性たちに怒りと復讐をどうしようか最後までクズで鬼畜な考え方をもつ主人公だった。妻に対して、妻の愛人に対してなど、嫉妬ゆえの歪んだ行動。犯行後、そのあと少しの間はビクビクするが、すぐに次の犯行にうつる。
金(借金もある設定だったけど)・権力・自由があるのに、まだ足りないのか、人間の欲は計り知れない。自分の不満、苦しみの対処法が歪んでいる。
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12月-14。3.0点。
レイプを続ける開業医、妻は勤務医で不倫を続ける。。。
久しぶりの桐野作品。こういう、ドロドロした人間の心の中を描くのは上手い。意外にラストがあっさりしていた気がする。