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新聞社の記者として働く宝子に一本の電話が。それは、父親が亡くなったとのこと。しかし、宝子は困惑する。父親は21年前に火事で死んでいるのだ。遺品には、娘への手紙とある殺人事件の切り抜き記事があった。事件と父との関係は?
まさきさんの作品は、「あの日、君は何をした」で知るようになりましたが、予想もしない展開、テンポよく進んでいくので、一気に虜になったのを憶えています。
今回もトントン拍子に展開していくので、だらけることもなく、最後まで楽しめました。父親に隠された真相と殺人事件がどう結びついていくのか。次々と出てくる真実に目が離せませんでした。
途中から「もしかして・・・」と残酷な真実が待っているのでは?と思いました。
期待と絶望が入り混じっていて、読み進みたいような進みたくないようなそんな心境がありました。
そんな思いでの第4章からは、天地が逆転したかのような(大袈裟かもしれませんが)どんでん返しでした。
事件の真相や犯人の登場など、驚きの連続でした。意外な展開に、正にまさき作品の醍醐味を味わった感覚がありました。
事件を追うだけでなく、宝子自身がもつ家庭にも着目しています。結婚し、娘を産んだものの、夫の退職や地元で働くことをきっかけに宝子は悩みます。結局、仕事を優先するため、別居。娘は最初宝子が育てるものの、トラブル続きで最終的に元夫が育てることに。
あらゆるものをひっくるめて、親とは何か?子供とは何なのか?を考えさせられました。
真相がわかるたびにあらゆる「なぜ?」が思い浮かびました。登場する人たちが、罪深い人たちだらけで、憤りを感じました。身勝手な親によって、影響を与えられた子供。色んなボタンのかけ違いが招いた展開に「大人」あるいは「親」としての責任を感じました。
感動ミステリーと紹介されていますが、感動の裏で蔓延る残酷な真実に、色んな感情が混ざり合って、純粋には喜べないなと思いました。
ミステリーとしては面白かったですが、ヒューマンドラマとして考えると身勝手さが入り混じっていて、複雑な心境でした。
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あの日君は何をした
では母親の執念とも取れる狂気が描かれていたが、
今作では相反して母親からは子供への無関心さと虚無感ばかりで、そこに生まれてきて子どもたちの親への執着と願望が
親から愛されなかった子供は、子供を愛することがわからず不幸は連鎖してしまう
子供に愛していることを伝えなければ。
生まれてきたことだけで存在しているだけで
愛おしいのだということを、そしてそれは
当たり前のことなんだと
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タイトルから、「子育て」とか「虐待」とか、そういうお話かと思ったが、なかなかのミステリーだった。大昔に亡くなったと思っていた父親が死んだという知らせをうけ、遺体を引き取りに行く宝子。父親が残した新聞の切り抜きをみて、そのメッセージを解き明かそうとする。最近この作家さんがなかなかお気に入り。また他の作品も読みたいと思う。
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虐待とか子育ての話だと思って手を出したけど完全なミステリーでした。
この話からこう言う展開かぁ〜がびっくり。
子供を愛さなければ母親じゃないって言う重い思いが苦手だけどストーリーはサクサク読めて大満足。
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なんとも感想が言いにくいけど
話が進み出したら一気読み。
私がこれまで見てきたことは
当たり前ではなかったのかなと。
すごく思ったし、すごく感謝した。
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まさきさんの作品はいつも“我が子を愛してあたりまえ”という前提の母性に疑問を投げかけてくるから恐い。自分の中にほんの僅かに燻り、子供に苛立ちを覚えた時にムクムクと膨らむ「疎ましい」という感情を見透かされたかのような気持ちになる。
虐待を疑われ娘を愛しているのか葛藤しながら離れて暮らす主人公、憎い気持ちを抱く赤ん坊をさらい母親になった女、次々産んだ自分の子どもに対して何も感じない女…この作品にもいろんなタイプの母親が登場して「母親の正解」を考えさせられる。
事件と家族の真相に迫る過程は最後までサスペンスフル。
宝子の気持ちは分かる部分とよく分からない部分があったな。
全く理解できないのは刑事の黄川田。妻の不貞と娘が自分の子かの疑いが出てきた時、どうして妻に確かめようとしなかったんだろう。妻や検査で確かめもせず全面的に他人の悪意を信じて疑心暗鬼に陥り一方的に冷たくして妻子を避け続けるのは理解に苦しむ。最終的なあの暴言は酷すぎたけど、妻も急に実家に帰ったりまた突然戻ったりした挙句の行き当たりばったりのあの行動…この夫妻モヤモヤしてしょうがなかった。
最後に宝子が言うように、子供をかわいいと思えないのはもうどうしようもないんだと思う。だったら「愛しているふりをする。大切に思っているふりをする。全力で演技をするしかないんじゃないかな。そうすれば、もしかしたらいつか本物になるときが来るかもしれない」の彼女の答えが、勝手にこの世に生み出した者として親が果たす最低限の礼儀な気がする。
たとえふりでもその愛された記憶で子どもの未来が救われるなら。
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自分の子供を愛せない親が主人公の物語が最近多いような気がします。これは時代的なものではなく、昔から沢山あった事だったけれど倫理的にタブーだったような気がします。
当然子供は親に愛されて育つべきだし、守られて然るべきだと思います。が、大人だから、親だから、男だから、女だからという前に一人一人違う人間なので色々な考え方の人間がいると思いますし、感じ方も千差万別です。
という、虐待やネグレクトの部分の比重が非常に大きいので、社会的な物語かと思ったら実はしっかりミステリーでした。非常にサクサク読めてしまうのですが結構ボリュームがあるので非常に満足感が有ります。非常に面白かった。
通底するテーマに、親としての愛情は絶対のものではないし、血のつながりというものの脆弱さと、人に与える影響の大きさを感じさせる作品でした。人によっては鬱々とした気分になるかも。
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一気に読んでしまう一冊。父の謎を追ううちに気が付いたら衝撃の事実が浮かび上がる。自分も親だが誰かの子供でもあり、子供への愛情を日々伝えようと思う。
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どんな大人であっても、かつては皆、子供だったのだ。
そんな当たり前の事を、強く感じるモノガタリだった。
“貴方が悪いのではない”
そう、遠回しに言ってくれている気がした。
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子供を産んだら考えが一転した。
仕事を辞めたら、自分にはなにもなくなってしまうこではないか。
名無しの透明人間になってしまうのではないか。
わかる。胸が痛くなった。
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さまざまな環境の中、生まれてくる子供がいる。
だけど、どんな環境であれ、どんな人から生まれたのであれ、子供を守り、愛してあげれる社会であってほしいと願う。
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先に読んだ著者の本に比べてテンポがゆっくりな印象。
登場人物がこんなに繋がり合っていると、やや現実離れした感じがしてしまう。
子供に対する感情は人それぞれなんだろうとは思うけれども、よくいるような一般的な自分からするとやっぱり産んだ我が子に無関心でいるという感情がどうしても理解しづらい。
単純にミステリーとしては真相が直ぐには分からなかった分面白かったです。
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主人公の柳宝子は、東京の新聞社に勤めている。一人娘は虐待を疑われて夫に引き取られてしまった。
「どんなときでもなにをされても、心の底からかわいい、愛おしい、と思えるのが母親としての正解なのだろうか」と悩み続ける宝子。いまだに正解は分からないが、自分が"不正解の母親"であることは疑いようがないと思っている。
そんなある日、宝子のもとに20年前に死んだはずの父親の遺体が発見されたという連絡が入る。遺品には宝子への手紙と、最近起きた猟奇事件の切り抜き記事。
これは父からのメッセージだと、事件を追う宝子。思わぬかたちで明らかになっていく家族の秘密とは──。
"普通の母親"とは、いったいどういう母親を指すのだろう。"母性"とはなんだろう。
「仕事を辞めたら、自分にはなにもなくなってしまうのではないか。名無しの透明人間になってしまうのではないか」という宝子の危惧はよく分かる。
子どもがいると、どうしたって"○○くんママ"になる。そこに居るのは一個人としての私じゃなくて、子どもの母親としての私だ。仕事を辞めて社会から遠のくと、もうこのまま私個人の存在は消えてしまうような気持ちになる。だから社会とのつながりに必死にしがみつきたくなる。そう考えてしまう私も、あなたが言うように母親失格ですか?と、宝子に問うたらどんな返答が来るのかなあ、なんて。
それはさておき、宝子はずっと自分が不正解の母親だと信じてやまないが、本当にそうだろうか。過去の出来事は消えないけれど、娘を愛することができるのか、何が娘のためなのかと悩むこと。それだって愛の形だろう。
ただ、ふたりの場合は近くにいるより遠くにいるほうが、良好な関係を築くことができた。それだけのことだ。
親が子を愛しているかどうかよりも、子が"自分は愛されている"と感じるのかどうかのほうが重要なのだと思う。
宝子の母の言葉「偽物だとしても悪よりは善のほうがいいでしょ」がすべてだ。
「たとえ嫌っていなかったとしても、僕は嫌われていると感じたし、さびしかったり悲しかったりしたし、母を憎んでますから。ほんとうの気持ちなんて伝わらなければ意味ありませんよね」
「私はおかしいですか?母親失格ですか?どんな気持ちになれば普通の母親になれますか?」
「子供をかわいいと思えないのはどうしようもないと思う。だったら、かわいいと思っているふりをするしかないんじゃないかな。愛しているふりをする。大切に思っているふりをする。全力で演技をするしかないんじゃないかな。そうすれば、もしかしたらいつか本物になるときが来るかもしれない」
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子供に対して無条件に愛情を抱けない母親は母親失格なのか、が一冊を通して描かれている。娘が主人公に対して虐待を受けた記憶があまり残っていなかったのが、救いだか、登場人物にモヤモヤしながら読了。
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2022.4.11読了
著者の本は初読み。
書店で別の本が平積みになっていたので、読んでみたいと思っていた。
テーマが重たく、また表現も暗い色合いを感じさせるので読み進めるのに時間がかかった。
自分の根源的な部分について考えさせられる内容だった。