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後味が微妙。
2021/06/26 19:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ミナレット - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ完結編。
以下、ネタバレ度外視で書きます。
不思議な作品です。読んでいる間にそこそこ楽しく感じているのに、読み終わった後につまらないものを読んだ気になるという意味で。
理由は一つにやや押しつけがましい語りにあり、また、締めくくり方がいかにも店じまい感がありありで慌ただしいからとも考えられます。
ここで終わらせるつもりがあって書いてきたのか、大人の事情で打ち切ることになったのか詳らかではありませんが、唐突に止めた感があり、後者かと勘繰りたくなりました。
結局この作者は何が書きたかったのか、が最後までぼやけていた気がします。物語狂いの年増の姫君と名門血統の陰陽師が知り合って、互いの価値観や生き様に大きく変化をもたらす程の化学変化があったなら、さぞかし面白い話であったろうにと落胆しました。
つまり、陰陽師や安倍晴明の名前が出てくるだけで満足できる読者には自信満々でオススメできる作品と言えましょう。
時代の空気みたいなものを作者がよくつかんで書いているのはシリーズ通して伝わってきます。ただ、それを読者に感じさせるというよりも、語りで直に押しつけてくるような感があり、小説の文章としての完成度が低いのかと思われました。
千年続く物語の縁
2024/07/29 16:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:月次 - この投稿者のレビュー一覧を見る
※この感想はネタバレを含みます
シリーズ最終巻。本当に良作だった。
親友・右近が千字堂に訪ねてきたことから物語が始まる。その相談が、「縁談相手の物語嫌いをなんとかしてほしい」というもので…
紆余曲折あったけど、右近の恋も薄紅達の今後も綺麗にまとまってて良かった。
右近の経輔に対する恋情がただただ純粋で美しかったな。これから良い夫婦関係を築いてほしい。
しかし、物語が嫌いなだけならまだ良いが、それをこちらに押し付けてくるならそりゃ「即刻破談!」て思うわ。私なら耐えられない。この時代の貴族女性は、出仕することはできても、夫が誰だとか寵愛具合で本当に人生左右されるから恐ろしい…
今回のお話は、何故人は本を読むのかについても少し考えさせられた。自分なりに考えてみたが、学がないので物語はいつの時代でも人を惹きつけて止まない魅力的なものなんだろうということしか思い浮かばなかった。
最終巻にして薄紅の姫の正体が書かれており、最後の行を読んで感動した。
恥ずかしながら、私はこの本を読んで『菅原孝標女』と『更級日記』の存在を知った。古典の教養がある方は最初から気づいていたのだろうな…
物語を心から愛し、愚直なまでに物語の力を信じていた彼女が創作ではなく千年前に実在していたのだと知った時は本当に嬉しかった。
これを機に『更級日記』や他の古典も読んで彼女達の原点を辿ってみたい。
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