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すっかり西條さんの作品を好きになっちゃったなぁ。
今回もするすると読めて読後感も良い。
てゆうか、これ漫画化してほしーい☺️
たまたま、2作品続いたのかもしれないけど、この作品もジェンダー的な要素を含んでる。
特に時代物の中に置かれた登場人物達だから、性差の役割はくっきりと描かれているように思う。そこを踏まえて男とは女とはという問いを、押し付けがましくなく読者に示す筆運びが好きだ。
鈴ノ助さんなんて、今の世にめっちゃ求められてる男性像だと思うな
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小さな楊枝屋の四男・鈴之助は大店の仕出屋<逢見屋>の長女・お千瀬にプロポーズされて婿入りすることに。兄たちに逆玉の輿だと羨ましがられるのだが、その実態は代々女性が主人で婿養子の男たちはあくまでも子作りのために必要なだけの日陰者だった。
まるで武家社会の逆パターン。家を継げるのは長女のみ、その配偶者やそれ以外の弟妹たちは商いに関わることは出来ない。
武家なら女性は家の差配を振るうことが出来るが、<逢見屋>の男たちは何もすることがない。
実家でも商いに関わることなくのんびり過ごしてきた鈴之助ですら寂しく感じているのだから、長年そうした日々を過ごしてきた義父・安房蔵やお千瀬の妹たちはどうなのか。
それでも夫婦仲がしっかりしているのが救い。裏方からでも縁の下からでも商いを支えようとする鈴之助に応えて協力し大女将や女将の厳しい目から守ってくれている。
そして少しずつお千瀬の妹たちとの距離も近づいていく。
物語の肝としては<逢見屋>に嫌がらせを仕掛ける同業者<伊奈月>の若主人の真意。そこにもまた<逢見屋>の異質な状況が関わっていた。
そしてお千瀬に宿った小さな命をきっかけに、鈴之助・お千瀬夫婦は<逢見屋>の伝統について改めて考えていく。
上手く行き過ぎなところもあるが、ホッと出来る結末で良かった。
鈴之助が生まれながらに日陰者ながら歪んでも僻んでもないのも良い。だが一方で同じ状況にあれば心が荒んだり妙な野心に走ってしまったり、何もかもを諦めてしまったりする者がいるのも当然だろう。
同じ状況にありながら様々な心情に向かう人達のその違いは何か。どうしたら前向きになれるのか。改めて考えてしまった。
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小店の四男が大きな仕出店の婿に。跡取り娘の千瀬と惚れ合った末の逆玉婚で喜んでいた鈴之助。だがそれも束の間、その家は代々女系で女将が実権を握っており、旦那はお飾り、何の仕事もするなと言われた。だが生来ののん気な気質の鈴之助は何と無く気になった事柄に首を突っ込み、やがてそれが店や家族の大事にも繋がって…。
鈴之助の気性や千瀬との夫婦仲の良さなどがいい感じで微笑ましく、読んでいて心地いい。悪い人が出てこないのが読後感の良さに繋がっているのかも。
ちょっと上手くいきすぎな感もあるけど、楽しく読めた。
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のんびりしたようじ屋の四男が仕出屋に婿入り。女系相続の中で肩身狭く暮らすはずが持ち前の好奇心と優しさでみんなに受け入れられていく。押し付けがましさの全くない鈴之助さん、スッと相手の懐にはいって揉め事を解決してゆくのもほんわかとあたたかい。お千瀬のは見る目がある。
仕出屋が舞台なだけに出てくる料理も美味しそうだ。
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いやぁ…西條作品らしい優しく切ない、でも最後は明るく良いお話でした。
洋の東西を問わず歴史的に双子は忌み嫌われることが多かったわけですが、なるほど、こんなお話が実際にあったかも知れないなぁと思いました。
そして因果応報という言葉。今はもっぱら悪因苦果の意味で使われてますが、善因楽果もそのうちであるというくだりに、なるほどそうかと目からうろこでした。
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時代劇も書かれるのだと感服しました。時代背景もわかりやすく。その中で人物の優しさがあふれている。気持ちの良い作品できた。
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これ、NHKでドラマ化される、きっと!(もうされてるかもしれない)登場人物ひとりひとりが丁寧に描かれていて、実に清々しい。続きがあったら良いのに。
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楊枝屋の四男・鈴之助
のんびり優しげな風貌、これといった取り柄もなく毎日のんびり実家の手伝い(おつかい)
仕出し屋のお嬢様と相思相愛からの逆玉婚!
婿殿の仕事は子作り…のみ笑
西條奈加らしく面白おかしく始まったこの作品。
店は大女将、女将、若女将に仕切られ、義父と鈴之助は貰った小遣いで毎日ぶらぶら…するだけ(*´-`)
中盤からお店に不穏な問題が起こり始め…
お〜ミステリー?
若旦那がとてもいいです♪
甲斐性とは…甲斐甲斐しく健気な性質のことである
因果応報とは…悪が苦を生む悪因苦果も、善が楽を生む善因楽果もともに同じ因果である。そもそも起きた事ごとには善も悪もない。
なるほど_φ(・_・
西條奈加さんの作品はホント読みやすい!
時代物だけど小難しい言葉やセリフもなく、サラッと説明も入ってる。
上手い作家さんだなぁと毎回感心します(^ ^)
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たおやかで美しい娘、お千瀬からの申し出を受け
婿養子として「逢見屋」に入ることになった鈴之助。
実家は楊枝屋で、ゆるやかな両親、兄たちに育てられた。
鈴之助は「平々凡々の、つまらない男」・・・とは義母・お寿佐の言葉。
「逢見屋」は代々、女が継ぐため男は子作りに励むのみ。
素直な鈴之助の人柄もいい。
「逢見屋」に馴染んでいく様子も気持ちよく
平々凡々も捨てたもんじゃない。
近寄り難い先代の女将の事情も、知ればなるほどと同情してしまう。
その時代の風情も感じられ、花見弁当や膾(なます)を食べてみたいと思った。
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安心して読める、西條さんの江戸モノ。
小さな楊枝屋の四男・鈴之助は、相思相愛のお千瀬の生家、大店の仕出屋〈逢見屋〉にめでたく婿入りとなります。
ところが、そこは代々女将が商売を仕切るしきたりで、祝言の翌日に“家業に関わってくるな”と、言い渡されてしまい・・・。
まだまだ”家は男が継ぐ”のが世間的に多数派の中、その逆で“男はすっこんでろ”ってな家風の〈逢見屋〉。
ある意味、お小遣いをもらってプラプラしていてもOKなので、“ヒモ気質”の男性には堪らない境遇といえばそうかもなのですが(汗)。
最初はぞんざいに扱われ、肩身の狭い思いをしていた鈴之助ですが、妻のお千瀬からの愛情を支えに、持ち前の人柄の良さと周りを和ませる気質を活かして、奉公人や義妹たちと心を通わせるようになっていく展開で、鈴之助の〈逢見屋〉の役に立とうとする健気な様子に“鈴之助、頑張れ!”と応援しながら読みました。
商売モノあるある(?)で、同業者〈伊奈月〉からの謎の嫌がらせがあったりもするのですが、後半で〈伊奈月〉の若主人の出目と〈逢見屋〉の驚きの繋がりが明らかになり、結果、心温まるラストに繋がるのが良いですね。
個人的に、気の強い次女のお丹と“うさ兄さん”は相性が良さそうなので、お丹が〈伊奈月〉再生のお手伝いをすれば良いかも!と思いました。
さらに、鈴之助の実兄(三兄)の杉之助もなかなかええキャラだったので、是非続編を希望したいです~。
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鈴之助の人となりが魅力的。
大店の娘さんと結婚し、婿入りした途端、お店は女たちで回すから、引っ込んでおくように言われる。
そんな中でも、飄々と立ち回る姿が、面白かった。
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跡継ぎは男性、女性は一歩下がって主に仕えるもの、そんな江戸時代にも逞しい女性はきっといたはず。
部屋住みの四男坊、鈴之助が婿養子に入った仕出し屋は二代目と三代目が商いの才に恵まれなかった上に道楽者で、三代目に至っては若い女と駆け落ちして借金を残して消えてしまうという、、、。
三代目の妻にたまたま商才があったのか、何とか持ち堪え、いくつかあった問屋を始末し借金を返済して唯一仕出し屋だけは残す事ができた。
そして。
唯一、残った仕出し屋はもう男なんぞに任せておけないとばかりに、この先もずっと女将に継がせると決めたのだ。
江戸時代は圧倒的に男性が多かったという。男性中心が当たり前の時代に、逞しい女将たちが立ち回る「蓮見屋」のような家族が存在していたら、ちょっとうれしい、と私は思った。
しかし、物語の中の主人公である鈴之助は、鷹揚な性格であったのにさすがに、
「鈴之助、そなたをどうして婿に迎えたかわかりますか? これといった取り柄や才もなく・・・平々凡々の、つまらない男です」と、義母に言われ、祖母には、
「・・子作りに励むより他は、くれぐれもよけいなマネなどしないように」と、達せられ、悄然とうなだれるのだった。
想いを寄せていた、優しくて器量良しの娘にプロポーズされて、逆玉の輿と思いきや、やはり世の中はそんなに甘くないのだ。
平々凡々な鈴之助の長所を見抜いたお千瀬がすごいと思う。そして、長年「蓮見屋」に仕える、婆やの、おすが。
登場場面は少ないが、好きだわー!おすがさん。
おすがなくして、鈴之助とお千瀬の出逢いもなかった訳で。
義父と共にけちょんけちょんな扱いであった鈴之助だったが、蓮見屋の歪な氷山を少しずつ溶かしてゆくのだった。
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2024年 初読みに相応しく、心温まる内容だった。
小さな楊枝屋の四男坊、鈴之助が、相思相愛のお千瀬と祝言した。
お千瀬は、大店の仕出屋『逢見屋』の跡取り娘で、鈴之助は、入婿として『逢見屋』に入った。
祝言の翌日、隠居から申し渡された事。
誰もが羨む、逆玉の輿の筈が・・。
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女系家族の仕出屋「逢見屋」に婿入りしたが、
その次の日から、女将連中から、
「何もするな」と言い渡された婿の奮闘記。
ほのぼのとした、というか、主人公の婿どの、
鈴之助が、とても、ほのぼのとしたキャラで、
何だか、つるつるっと読めてしまった。
何の取り柄もない、平々凡々と評される鈴之助だが、
相思相愛の妻、千瀬のため、日々起こる、ちょっとした
騒ぎに真剣に取り組み、そして、いつの間にか、
逢見屋のいびつな慣習をひっくり返す働きを…。
鈴之助の裏表のない、素直なキャラが、
とても心地よい。
女連中にくさされても、何のその。
アホのように聞こえるが、実に、愛すべき人物で、
作品の中では、人たらしとされているが、
読んでいるワタシが、もう、たらされているのかも。
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相思相愛のお千瀬の実家である仕出屋の大店に嫁いだ鈴之助を待ち構えていたのは、ほぼ隠居生活。持ち前の気質とお千瀬と共に、新しい生活を切り拓いていく。
鈴之助の人となりもよければ、逢見屋の仕出屋としての在り方も素敵。
板長の権三さんと泰介、幸吉が、わたしの中でぐっと来た登場人物たちです。
特別な折の馴染みの店があることも、それに応える逢見屋の心意気もすてきだな。