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両親の離婚後母と14歳の老犬ギズモと暮らす13歳のジョージ。幼なじみで親友だったマットは、最近いじめっ子たちとつるんでジョージに嫌がらせをしだしたので、ギズモだけが彼の慰めだった。
ところがギズモの調子がおかしい。病院で元気は回復したものの、どうも高齢のためにお別れのときが近づいているらしい。
ギズモと永遠にいられるわけではないと知ったジョージは、残された時間を思い切り楽しむために、「ギズモにさせてあげたいことリスト」を作り、それをクリアしていくことにした。
愛犬との来たるべき別れのときのために、できることを精一杯しようとする少年と、それに対する周りの子どもたちや大人の反応を、優しく描いた物語。
******* ここからはネタバレ *******
表紙の絵本チックな絵と、非常にわかりやすいタイトルから、決して難解な本ではないと予想しましたが、果たしてそのとおりでした。
内容もタイトルそのまま、余命短い犬のバケットリストを消化していくお話です。
わかりやすい作品ですが、主人公の年齢は13歳。中学生向けとしては、幼い印象を受けました。
幼馴染のマットが、ちょいワルになってしまったという設定なので、背伸びしたがる年齢として13歳を選んだのでしょう。でも、このストーリーなら、高学年や中学年向けとしても充分対応できると思います。
まず、バケットリストの内容が、決して楽にクリアできるものばかりじゃなかったにも関わらず、うまいことコンプリートできてしまったことに興そがれ感を持ちました。
特に、リストの「ゴールデンビーチに行く」ための旅費を稼ぐために出場したコンテストで優勝して賞金をゲットして、そのビーチへの道中に強盗に出会い、ギスモの活躍で難を逃れ、「ギズモが有名になる」リストまでクリアというのは、「エルマーのぼうけん」レベルのうまくいき感ではありませんか?
年少児なら安心感のある作品でいいと思うのですが、ヤングアダルトの切迫した悩みに応える作品ではないようです。
それに、ドッグセンターでバイトするリブが、犬のトレーナー兼トリマーで、センターのオーナーよりも実力があって、飼い主のジョージでも言うことを聞かないギズモにも一発で芸を仕込める腕前を持っていたり、
お父さんの彼女のローザががソーシャルワーカーで、リブの家の担当をしていたり、
強盗事件が解決したときに、ヤングケアラーであるリブの家への支援も増えたとか、
と、かなり世間が狭くて都合よくつながっています。
なので、私の印象としては、読むことに不慣れな中学生か、読める中学年からがオススメです。