紙の本
経営者の皆さんに読んでもらいたい
2022/06/06 10:13
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投稿者:ミッチー - この投稿者のレビュー一覧を見る
限りある存在としての人材の扱いについて書かれた本である。
経営者から見ると、人的資源としてのヒトはコストとして
見るというのが20世紀の価値観であった。
しかし、ヒトが無限ではなく、有限の資源であるとの見方と
イノベーションの源泉であるという視点から
ヒトを全員戦力化し、競争力を高めるべきであると説く。
スター社員だけでなく、中間層・下位層を底上げし、
社員全員を戦力化することで競争優位を築くというのは
視点の転回が必要だが、うなずけるものである。
経営者の皆さんに一読してほしい1冊である。
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守島基博氏の新著ということで手に取った。人材マネジメントをより良く行っていくためには、より構造的な問題、つまり組織に向き合っていく必要があるということだと思う。勉強になった。
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https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00537880
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とても当たり前でシンプルな表層的な記述。もう少しHowの部分を手厚く書いてみれば。エンゲージとはという手引書のような印象。
従業員価値の高い会社とは、働く外のある会社である。信用・尊重・誇り・連帯感・公正の5つが揃っている。GPTWジャパン→+信頼をベースに人の潜在力のマックス化が大事(イノベーション・財務の成長・価値観の共有・リーダーシップの有効性)。人の尊重が大事で、見られているという感覚を与える。明確な目標の共有・相互依存協力関係・役割と責任の範囲が明確。エンゲージメントを高めるには個人の価値観や制約を知る事。
→本を要約すると一言で「相手を知り、大切に思い、協力すること」、これが人々のエンゲージにつなり、強い組織になる。
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概説であるが、どのような方向性で対応していけばの良いか指針は書いてあるので、他書と合わせて羅針盤として参考になる。
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第1章:人材不足と「全員戦力化」
第2章:組織力という考え方
第3章:職場に宿る組織力
第4章:従業員が働きがい・働きやすさを感じる組織
第5章:組織力としてのインクルージョン
第6章:組織力としてのミドル
第7章:変容するチーム
第8章:組織力としての公平性確保
第9章:働く人のココロをつかむ力
終章:コロナウイルス感染拡大が要請する組織と人材の革新
著者は守島基博さん。学習院大学経済学部教授。米国で産業労使関係研究の博士課程を修了されている。
人手不足が叫ばれる中で打ち手として”全員戦力化”しなければならない。全員戦力化とは組織力開発であり、人材を確保し活用する能力である。
少しむずかしい内容もあるが、比較的イメージがしやすい内容であった。
言わずもがな日本は人口が減少しており、労働人口はますます減る一方である。
そのため人手不足が必至であり、人材の確保がますます困難となることが容易に予想される。
本書では頭数ではなく全従業員がパフォーマンスを発揮し、文字通り”全員戦力化”となることで、この人手不足に対抗しようという考えが書かれている。
戦略人事とは企業が目的達成のために人事を行うことで、戦略上必要な人材を揃えることである。
下記3つの変化に対応するため必要。
1.これまでとは質的に異なった成長戦略をとり始めている
2.技術革新の進展
3.働く人の変化
また人材不足は頭数だけの問題ではなく、戦力となっていない隠れた人材不足も含まれる。
何をするにも人材が重要なのだ。
全員戦力化とは全員対象の人材マネジメントであり、全従業員の力を活用していくための仕組みである。
組織力とは組織能力の一部で、基盤的なものから高度なものへと進化していくものである。
また組織力開発も同様で、下記の8つのポイントがある。
1.職場が機能する
2.働きがい・働きやすさ
3.ダイバーシティ・インクルージョン
4.ミドルが機能する
5.チームが機能する
6.働き手を尊重、公平に扱う
7.エンゲージメントを高める
8.コロナウィルスに負けない(環境の変化に対応)
日本はかつては組織力が高かったが近年は弱体化の兆候にある。
理由は下記の通り。
1.できる人に仕事が集中
2.育成機能低下=OJTの機能不全
3.協力しあう雰囲気低下
4.業務においてのオモテとウラのアンバランス=ウラ機能の肥大化
5.バブル崩壊と経営改革=成果主義導入、組織弱体化の兆候、非正規社員の増加
症状として下記が問題となっている。
1.結束力低下
2.モチベーション低下
3.活気がない
4.コミュニケーション減
5.OJT機能不全
6.メンタル増
働きがいとは人材を前へ押し出す力であり、働きやすさとは阻害要因を取り除くことである。
働きがいには達成感と成長感が、働きやすさは個別ニーズへの対応が必要である。
経営視点から従業員視点への転換が必要。
また、働き手の参加が必須であり、コミュニケーションが基盤となる。
ダイバーシティ&インクルージョン
近年よく聞くワードであるがダイバーシティだけでは不十分でありインクルージョンが求められている。
ダイバーシティは見た目などではわからない深層のものと、性別や人種など見た目でわかる表層のものに分かれる。
インクルージョンは意見表明しやすい、組織文化・風土による多様性の包含、一段上の目標の共有、人材を尊重(リスペクト)が重要であり、経営的メリットを考えると積極的に取り入れることが重要。
組織としてのミドルの役割が重要である、
ミドルはトップと現場の境界に位置し、上から下・下から上への情報伝達に加え自分の発想や考え方を盛り込む。
そのミドルの力が低下している。
1.OJTの機能不全
2.上司の数の削減
3.チャレンジする経験減少
4.職場寒冷化
職場の寒冷化については下記の通り。
1.職場構成員の変化
2.組織構造の変化
3.情報環境の変化
4.目標達成管理の強化
5.マネジメント役割過多
社会情勢の変化や働く人の変化に伴い、ミドルの難易度が上がっており、いわゆる中間管理職と呼ばれるポジションが機能していない。
今すべきことは役割明確化、組織図修正、フォロワー育成への投資である。
組織として公平性の確保が必要。
まずは同一労働同一賃金の考え方である。
ここは法的にも言われているところであるが、まず必要なところ。
つぎに衡平原則の課題である。
1.比較者の選択
2.比較基準
3.格差の許容
そして過程の公平性。
1.情報開示
2.分配決定プロセスでのボイス
3.分配システム設計段階でのボイス
最後に働く人のココロをつかむ力として、エンゲージメントがあげられている。
エンゲージメントとはステークホルダーと企業との関係性の強さや質を表現する概念である。
日本企業は各国に比べ低くなっており、弱体化している。
理由は下記の通り。
1.職務の定義が曖昧
2.人事評価の曖昧さ
3.オーナーシップが低い
4.個別事情への配慮
まずは職務を明確化し、組織による従業員のサポート・支援・心配りが必要である。
エンゲージメントは企業の業績へ大きな影響を与えることがわかっている。