紙の本
論理と心理分析によって構成されたプロット
2012/05/17 23:57
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
純文学の作家、坂口安吾が書いた不朽のミステリ小説『不連続殺人事件』。さぞかし、文学臭漂う、冗長な文体と思いきや、まったくテンポよく無駄のない、それでいてウィットに富んだ気持ちのよい文章である。作者みずから本作において皮肉っているヴァン=ダインやクイーン流の衒学趣味を排除しつつ、文学、芸術についてのオリジナルな見解も自然に織り交ぜるあたりはさすがである。登場人物のほとんどが文学者であることもそれを成功させる要因だろう。
安吾は、だれにも犯人がわからない探偵小説を書くと豪語してこの作品を書き始め、犯人とプロットについての推理を公募したという。いわば、読者への公開挑戦状であるが、作品の中盤、探偵の巨勢が、「消去法」による一般的推理の盲点を突いた犯人の意図を漏らす時点で、重大なヒントがあたえられ、犯人の予想は容易であるという気もする。実際、結末までを正確に言い当てた読者は4人いたというし、作者の意図は完全に成功したとはいえないだろう。それでもトリックに頼らず、論理と心理分析だけで構成されたプロットは、実に緻密かつユニークで新鮮だ。
勝手な意見ながら、日本の古典的探偵作家の多くは、謎解きとは別の要素に力点を置いている気がする。たとえば江戸川乱歩の場合、怪奇性が、また松本清張の場合、社会性が追及されていて、それぞれ探偵作家としての確固たる名声にもかかわらず、トリックなどで読者をあっと言わせ、なるほどと唸らせる作品は案外少ない。その点、この『不連続殺人事件』は、イギリス、アメリカの本格ミステリと肩をならべるだけのプロットをもった、日本が世界に誇るべき良質の作品ではなかろうか。
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登場人物が本当に多い上、ビミョーに絡み合いすぎていて、思わず読みながら人物関係図を作成。その上ばったばったと人が殺されていくので、最後は誰が残っているんだ、と困惑必至。でもやはり名作。
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2007年、50冊読破計画スタート1冊目。
坂口安吾の本は、これが初めて。
独特の言い回しが読みにくかったが、
話の展開は、先が読めても面白かった。
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もうちょい人物表とかあったらよかったんだけど、人多すぎて推理放棄してしまった。
犯人分かったところであきらめた。
昔のやつの初版(1974)ので読んだけど、今のやつにはついてるのかな。
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戦後間もないある夏、歌川一馬の招待で、山奥の豪邸に集まったさまざまな男と女たち。作家、文学者、詩人、画家、劇作家、女優。やがて次々に起こる殺人事件。事件は一件何の連続性もないように見えたが…
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意外なる結末。テンポの良い推理小説で、描写も巧み。すぐに引き込まれて本の世界に取り込まれてしまった。あっという間に読み終わってしまったのがもったいない。
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「登場人物すげぇ多っ!名前を覚えるのに初め苦労しましたが、犯人を探す面白さは抜群でした。23章で一度読むのを止め、じっくり犯人を考えてみるとワクワクします。」
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実は坂口安吾をちゃんと読むのは初めてだった作品。
「堕落論」はちゃんと読んでないから記憶にないw
けっこう期待してたのに、結果はいまいちでした。
推理ものがダメなのかもしれないので、もう一度「堕落論」を読んでみることにします。
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安吾せんせー!
とっても楽しみながら書いている様子が
時を越えて文字を通して
伝わりました。
私も楽しかったです。
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流石は坂口安吾と唸らざるおえない。
テンポはいいし、描写も巧い。ただ独特の言い回しと言うか、古臭い言葉のせいもあってか読み進めるのがやや困難。
加えて登場人物が多い上に、さらには微妙に絡み合い、そして次々と人が殺されてゆく過程で、複雑な人間関係とややこい屋敷の構図には思わず推理放棄してしまいそうになる。途中で読むのを止めると誰が誰やら訳が解らなくなって混乱状態になる。人が殺されすぎて一体全体誰が残っているのやら?人間関係を確認しながら読むのは正直面倒。登場人物一覧表が欲しい。名作なんだけどね。
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どうにも文章が古くて読みづらいのは致し方なく。
それすら些細に感じるほどメンミツに
練られた心理劇には唸るしかなく。
極めて腑に落ちる顛末だったものの、
エピローグも欲しかったなぁ、と。
あと登場人物一覧表を。
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いかんせん登場人物が多すぎますが、古き日本のミステリーなのでトリックに現代的な機器が絡まずシンプル。個人的にはもっと各人物のどろどろ感が溢れてたらより楽しかったかな。ラストは印象的。
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高校時代の恩師いわく
『場末のDJみたいな壊れた文体』。
でもそれがいい。
すごい力でラストに持っていく、これが筆力っていうものなのかな、と。
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詩人の家に招かれた客たち。それぞれに複雑に絡み合った人間関係。
連続する殺人事件。
2009年2月15日再読
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桜の森の満開の下』で、桜が人の心を狂わせる怖さを表した著者だけあって、男女の中にある狂気性や舞台の異常さに驚かされた。
また、すっかりその世界に浸され、なんだか苛々した気持ちを見事に利用され、おもわず「やられた」と思わせる結末だった。
現代でも通用するトリックとゆう点では他聞にもれず、非常に狡猾な人物配置であったように思う。