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蘭子シリーズ2作目(刊行順では2作目だけど、実際はこの作品が先に書かれて賞に応募。選には漏れたが編集者の目に留まって「地獄の奇術師」でデビューとなったようです)。遊郭を営んでいた旧家を舞台に、三人姉妹に降りかかる悲劇。「奇術師」よりトリックがしっかりしていてびっくり&すっきり感があって楽しめました。
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二階堂蘭子シリーズ
二階堂家の親戚筋が経営する旅館・翡翠館で戦争中に起きた脱走兵殺害事件。被害者はかつて翡翠館を経営する雅宮家の長女・絃子と駆け落ちした井原一郎。雪の中に倒れていた井原。現場には発見者である絃子の足跡のみ。当時から暗躍する毒殺魔。
紫煙に現れ事件を予告する謎の人物。雅宮家で行われた交霊会で起きた連続殺人事件。被害者が雅宮家の次女・琴子の元夫・滝川。密室で日本刀に刺された滝川。滝川と組んでいたインチキ霊能力者大権寺瑛華。彼女の遺体がテニスコートで発見されるが・・・。足跡のないテニスコート。三女・笛子を産んだ時の状況に隠された秘密。日本画に隠された謎。
2009年7月7日再読
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二階堂蘭子シリーズ。出版されているものではもっとも早く書かれた長編らしい。うまいなあと思う。
密室がひとつ。犯人の足跡が全くない殺人がふたつ。どれもいい。特に最後に解決される昔の事件のトリック。盲点をつかれたというか、そうか、この手があったかと手を打ってしまった。そのトリックが成立すること自体が、ある種の盲点をついているわけだけど。
そういう意味で言うと、表面的はカーを意識したように見えるものだけど、実はエラリー・クイーンの超有名長編の精神を受け継いでいるような気がする。人間像が明確かっていうとそうではなくて、蘭子以外はみんな同じ人のように見えるのが欠点といえば欠点なのだけど、最後まで引きずられて読まされてしまったミステリであった。
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雪が多いからという理由でもう一つ。こちらも足跡を付けずに雪の上を歩くには?とトリックが用いられており、読んでいる間に見当はつく。ただスパイスを効かせている分、こちらのほうに軍配か。おどろおどろしさは金田一シリーズっぽいが、田舎が舞台ではないので、舞台設定が理解しやすい。わかりやすさと主人公の個性が魅力だが、残念ながら取り扱いのトリックに辟易しているので評価は下がる。深さでバレるだろうという致命傷をクリアしているのは凡百に抜きん出ている点であることは指摘しておきたい。
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≪内容覚書≫
二階堂蘭子シリーズ。
二階堂家美人三姉妹と長女の娘。
使用人二人。
三女の婚約者。
知人の男性。
近くの神社の神主。
警官二人。
長女の元夫と教祖をしている内縁の妻。
教祖を助ける巫女二人。
昔は遊郭だった「久月」。
「久月」を呪う血吸姫の伝説。
24年前に起きた不可能な状況での殺人。
久月についた悪霊を払う儀式が始まる前の殺人予告。
そして、起きてしまった殺人事件。
さて、犯人は誰?
≪感想≫
推理小説を「推理」することではなく、
推理する探偵の姿に爽快感に楽しみを見出しているため、
回りくどい説明が、正直、めんどくさかった。
推理しながら読む人にとっては、大変楽しい作品だと思う。
注釈があからさまで、分かりやす過ぎる、かな…?とは思った。
あまり推理しない私でも、ある程度までは予想がつけられてしまった。
ミスリードの役目もあるのかもしれないが、
その辺は、推理小説を読み慣れた人だとすぐに気がついてしまいそう。
それでも、作者から読者への公正さが感じられ、
個人的には楽しかった。
ただ、蘭子さんが、好きになれないんだよなぁ…。
というか、蘭子さんに魅力を感じられない。
蘭子さんシリーズ2作目に挑戦したが、
今回も蘭子さんには惚れられなかった。
続けて読めば変わるか、な…?
蘭子さんシリーズには、挑戦していきたい予定。
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二階堂黎人のデビュー作にして二階堂蘭子最初の事件。
力が入り過ぎてるのか、非常に読みづらい1冊だった。
回りくどい言い回しと大量の注釈・・・。
2作目「地獄の奇術師」ではそんなに気にならなかったあちこちの詳細が異様に気になる。
もう旧家の説明も美人姉妹の説明もどうでもいいから、早く先に進んでよ!と随所で思った。
しかもその注釈を読み飛ばすと、後で手痛いしっぺ返しが来るというオマケ付き。
トリックもちょっとムリがあるようなないような・・・。
まぁせっかく自分で考えたトリックが、文中で蘭子にケチョンケチョンにけなされたから怒っている訳ではないですけどね。なんだよ作者の思惑通りかよ<自分。
それにしても「葉桜」の時も思ったのだけど、エピローグに大量の説明文を要する推理小説というのはダメなんじゃないかと思う。というか個人的には「ズルいな〜」と思う。
あれはああだったんですよ、これはこういう理由でこうだったんですよ、とフォローを入れなくてはいけないということは、文中でそれだけの説明がなされてなかった所以な訳で。
もちろん「葉桜」はある事実を意図的に伏せてあるからフォローが入るのは幾分仕方がないのだけど、今回の「吸血の家」は弁解臭くてちょっとアウトだな。
しかしながら、いつもゴス落ちスレスレのプロットをロジカルに解き明かす二階堂黎人の姿勢は好感が持てる。
あと、講談社の二階堂黎人の作品の装丁をすべて手がけてる辰巳四郎、すごく怖いんだけど好き。
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二階堂蘭子シリーズ二作目。
二作読んで感じるのは、二階堂さんの作品は
私にとっては読むと結構疲れる。
あんまりそんな風に感じることないんだけど
文体が苦手なのかな?
内容は好きなんですけどね。
本作の最初の事件は推理できた。
二人目はさっぱりだったけど、三人目のトリックはぼんやり。
推理小説が好きなのに謎解きが苦手な私も楽しめました。
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二階堂蘭子シリーズ、第2弾。
被害者と発見者の足跡しかない雪が積もった場所の死体、二重の密室など、本格ミステリー的設定のオンパレード。
一つ目の足跡の謎は、なかなかだと思った。
本格好きなら楽しめると思う。
警察が大学生の蘭子に頼りっきりなのが、ちょっとアリエナイ設定だけど。探偵と警察は反目しあうのが常ですが、本作はその点では異色。
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2+
作為を盛り込み過ぎて焦点がぼやけてしまった印象。と言うよりも、必然であれ偶然であれ、なんでもかんでも理由付けする必要はない。ただでさえこなれていないストーリーテリングが一層冗長になり、読んでいてもどかしさを感じてしまう。それに拍車をかけるのが注釈のわずらわしさ。特に前半の注釈には無駄なものが多い。数の多さは一種の煙幕なのかもしれないが、だとしたら効果は薄かった。中盤では注釈の数は押さえられているが、終盤にかけてまた一気に増え出す。しかし、そのほとんどは“○○頁参照”、つまり“伏線はここにちゃんと書いてありましたよ”という説明。これはいらない。そこまでちゃんと読んできたのだからそんなことはわかる。国名シリーズの形だけ踏襲しても、作者の自己満足を満たす以外に作品のクオリティアップに繋がる効果はほとんどなく、むしろマイナスだったのではないかと感じる。
最後の犯人からの手紙も全くの蛇足だった。直前まで探偵が推理した真相を丸々繰り返してどうする。答え合わせ?バカバカしい。それに体裁こそ手紙であるが、内容は作者のプロット・メモである。“この作品はこういうつもりで書きました”という作者の説明(言い訳)でしかない。文体も犯人の書き方・言い方と言うよりは、作者(本編の記述者とも違う)の地の文のようなニュアンスを感じる。“ああこれは犯人が書いたんだな”と思えなければ完全にシラケてしまうではないか。最後の最後にこんなものは必要ない。
同様のことは中村警部が過去の事件を回想する場面にも言える。警部の語りであるべき文体に、ちょいちょい地の文と地続きの表現が入り交じる不自然さ。例えば、事件の経緯を説明する警部が、「その時雪が降っていた」と言えば済むところを「どんよりとした鉛色の空を、無数の白い結晶が静かに舞っていた」なんて言うだろうか。キャラクターにはキャラクター自身の言葉で語らせて欲しいものだ。あとがきには、“過去の事件も、回想形式ではなく、三人称による現在時制で描いた方が良かったかもしれません”とある。 わかっているのなら、文庫化に際して細かく手を加えたのだから、ここも直せば良かったのに。(あとがきのこの文の直前に“真ん中の密室は必要ない”とあるが、これにも同意したい。わかっているのなら削れば良かったのに。)
と、文句しか書いてないが、それでも『地獄の奇術師』よりは面白かった。
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どうやったの?と首を傾げたくなる密室だけではなく、
何故密室にする必要があったのかにまでちゃんと答えてくれる作品。
(まあちょっとこじつけっぽいところもあるけど)
血吸い姫の伝承といい相変わらずちょっと怖いテイストが面白かった。
欲を言えば作中にもっと怖さを出せたら良かったかな。
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これはすごいな。
この本に載ってる推理小説、全部読みたい。
推理小説は、わたしの読書の原点で、ちょっと読みすぎて満腹になっていたから避けていたけど、やっぱり面白い。
トリックは全然わからなかった。
犯人も、もちろん。
犯人がわかってから、ようやく最初の事件の足跡の謎がわかったくらいで。
よくできた話だな。
本の厚さなんてまるで感じないくらい、一気読み。
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再読。蘭子シリーズ2作目。
旧家、三姉妹、怨霊、そして惨劇。
こういう設定は個人的に大変好みなので、雰囲気だけでも楽しめる。
色々と突っ込みどころもある作品ではあるのですが、足跡なき殺人のトリックはとても鮮やかで、お見事ですの一言ですね。
ところで注釈が多いのは再読なので勿論分かってはいたのだけれど、注釈こんなに面白かったっけ?(色んな意味で)
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あー濃厚だった。足跡のない殺人が、ふたつもでてきて、違う方法という贅沢さ。倫理的にどうこうはおいといて、過去の殺人のトリックには愕然とした。
注釈がいちいちめんどいという人もいるだろうが、この注釈こそ二階堂蘭子シリーズの醍醐味。今回は、母親の謎はわかったのだが、犯人だと思った人物が直後に殺されてしまい、翻弄された。
密室、犯行時間のミスリード、意外な人間関係、足跡のない殺人、意外な犯人。
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美人姉妹に旧家での惨劇…横溝作品を彷彿させる妖しさに冒頭から惹き込まれます。
『足跡なき殺人』が2つ、密室殺人が1つと内容が盛り沢山ですし、物語の作り込みが丁寧で好感が持てました。
24年前の『足跡なき殺人』はシンプル且つ虚を突いたトリックで感心しましたが、テニスコートの『足跡なき殺人』は微妙でした。巧く盲点を突いてはいますが、よくよく考えると、地面の状態を見ればバレバレだと思います。旧家でテニスコートというのも若干浮いているので、なくても良い気がしました。
その他、蘭子のネタバレつきの推理小説批評にが鼻につきましたが、総合的に見ると良作な推理小説だと思います。
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最初の事件のことを思うと犯人の心理が、せつない。この犯人はサイコパスではなく、他者により作られた人格による犯行だったんだ。トリックは相変わらず本格しててよかったです。でも長いから、続編もゆっくり読んでいこう。