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二階堂蘭子シリーズ
「悪霊の館」と呼ばれる志摩沼家の屋敷。「奥の院」と呼ばれる老婆の死。残された遺言。志摩沼卓矢と美園倉美幸の結婚を命じる。反発する卓矢。遺言発表後二階堂警視正と連絡を取ろうとした田辺弁護士。突然の地震。田辺の死、娘・好子の負傷。
婿の京太郎の依頼中の矢島茉莉の物と思われる全裸の首無し遺体の発見。甲冑に守られる遺体。
時計台からの美園倉郁太郎の転落死。事件のカギを握ると思われる元乳母の殺害事件。
発見された沙莉と思われるバラバラ遺体。
宮子の財産放棄宣言直後、ワインの毒による宮子、矢島圭介、須賀子、石坂吉夫、岩下しずの毒殺。倒れる蘭子。
田辺好子の死、顔を焼かれた美幸。
戦争中消えた「悪霊館」の持ち主ハンス・エンゲルス乃守る女性の正体。
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読み終えてお腹いっぱいに食べたって感じがした。そういう充実感では、シリーズ一じゃないだろうか。量だけ言えば、これより長いものもあるんだけど(これも充分に長くて寝そべって文庫本を読んでいるととても手が疲れる)、趣向もすごいし、いかにも「推理小説」ですって展開も満足感がある。どっしりとフルコースを食べた感じである。
よく考えてみると、ひとつひとつのトリックは、「似たようなものをどこかで読んだことがあるぞ」って言うのがほとんどである。メインになる密室トリックなどは、クイーンのあの長編の応用と、ロースンのあの短編の複合技だし。トリックだけではなくて、いろいろな部分で、思わずにやりとしてしまうような形で、先行作品を取り入れているようだ。だいたい、登場人物達がしきりに先行作品に言及するのも、よく考えてみると不思議なものじゃないかと思う。ただ、これは不満ではなく賛辞なのだ。料理だって、独創的な料理法や新しい素材ばかりが素晴らしいわけではない。先人達の努力の上に、新しいひねりを加えたり、盛りつけや取り合わせに工夫したりという素晴らしさがたくさんあるはずだ。この小説がすごい満足感を与えてくれるのも、そのひねりや盛りつけや取り合わせが、他の追従を許さないほど素晴らしいからだと思う。
一番鳥肌が立った瞬間は、犯人が指摘された時でも、トリックが解明された時ではなかった。なぜこの犯人に、こんなことが可能であったのか、を探偵役が言いはなった瞬間であった。このシリーズ独特の味付けとして、怪奇現象がまじめに取り上げられているというのがあるけれど、それ以上のものが人の中にはあるんだって、一瞬にして心に焼き印を押されたような気がした。
2004/8/30
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No.49「長門有希の100冊」
二階堂蘭子シリーズ第四作。蘭子は島田荘司の御手洗潔、笠井潔の矢吹駆、京極夏彦の中禅寺秋彦(京極堂)たちのように殺人事件の謎を完璧に解きあかしてくれる存在だ。シリーズなので第一作を読まなければ、蘭子が二階堂家の養女というくだりがいまいちピントこないし、語り手の黎人が薄ぼんやりし過ぎに感じる。
本格推理小説に動機を掘り下げろというのは酷なきはするが、これだけのボリュームなのだからもう少し突っ込んで欲しかった。悪霊館の真実や、事件の謎解きは十分楽しめた。おすすめの一冊である。
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二階堂氏のミステリは裏に世界規模で大きな事情があるのが特徴です。悪霊の館に隠された秘密と夥しいほどの出血の悲劇を解決する――マリーアントワネットを思い浮かべるほどの美貌でもある――名探偵、二階堂蘭子もまさかの攻撃を受けるというサスペンスもあります。どろどろとした幽霊の影の現実味。首なし。甲冑殺人事件。いざ!
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蘭子がタイプじゃないわ~って偉そうに言っときながら、そろそろシリーズ読破しようとしてる私です⊂((・x・))⊃何様か
だって、二階堂先生、ミステリスキーのツボを押さえるのがうまいんだもん!←
やっぱり「何となく」毎回犯人は分かっちゃうんだよなあ。…トリックはもちろん看破できないけどね!←←
物理トリックは解けた試しがないのですが、大枠はぼんやりとでも見破れるのが嬉しい作家さんですd(^_^o)
怪奇性・残虐性・ふんだんに盛り込まれた意匠・「災いの遺言」・双子の多い旧家・見取り図・犯人の襲撃を受ける名探偵・衝撃のラスト…ミステリスキーならウホッ(o^^o)となってしまう要素詰め込みまくりでございます。
800ページ超のボリュームに相応しい、豪華絢爛な殺人劇。死者は何と二桁に登ります。謎解きの段階で生き残ってる容疑者がまあ少ない(笑)。これはミステリスキーなら見逃す手はないですよ…。
長すぎ!登場人物多すぎ!!時代錯誤すぎ!!!と突っ込めばキリがないですが、70年代が時代設定なので、最後のはスルーしましょう~(笑)。そんな不満を補ってあまりある読み応えを保障できます!
資産家の老女が遺した不可解な遺言状が執行する一月前、大邸宅の中で惨殺体が発見された。
黒魔術のような装飾の施された室内の中心に横たわる首なし死体ーーその首の在り処を捜索する捜査陣を嘲笑うかのように、第二第三の事件が発生する。
やがて戦前の外国人失踪事件にまで追究が及ぶ中で、名探偵・二階堂蘭子にも魔の手が迫る!
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吸血の家のようなびっくりするようなトリックはなし。
大体読んでる最中に犯人の検討もついたし人間関係も分かってしまった。
しかし魔女の件はホラー調で読んでいて楽しかった。
雰囲気は好き。
トリックは…
うーむ
テグスを使った機械的な密室トリックならないほうがいいのではと思ってしまう。
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二重鍵密室、甲冑姿の亡霊、黒ミサ、呪われた遺言、そして蘭子に迫る危機。おどろおどろしい雰囲気にバタバタと人が死んでいく展開が面白くて最後まで一気読みでした。
ただ、動機はかなり強引な感じがしました。合間に挟まれるエピソードが退屈だったのもマイナス要因になりました。
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図書館にて借りました。
大好きな蘭子シリーズ超大作!
ハードカバーで借りたので、通勤で読む時腕が吊るかと思いました・・・。
相変わらずの本格ぶりにうっとり・・・。
と、していたら犯人が解るシーンが切り取られてあり、殺意を覚えました。
あとで、文庫版で借り直してすっきりしましたが、本当にこうやって殺意って生まれるんだなと妙に納得しました(笑)
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2013.12.15処分
二階堂蘭子シリーズ4作目。
憎み合う一族が暮らす館で起こった密室首無し殺人。
警察の介入を拒む主、甲冑の幽霊、魔女の存在など、怪しい雰囲気の中惨劇が次々と起こる。
密室のトリックは物理+心理的で単純なものだったが、真犯人の意外性という一点で面白かった。
二階堂作品の中では一番良い印象。
魔女の絡みの話は、個人的には全く不要と思う。
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再読。蘭子シリーズ4作目。
二重鍵密室、甲冑姿の亡霊、黒ミサ、呪われた遺言、そして蘭子に迫る危機。
登場人物が多くドロドロしてて、バッタバッタと人が死んでいきます。
でもやっぱり雰囲気は好きだ。
作中で主人公が盛大に名作ミステリのネタバレしちゃってるのはどうなんだろうかと、ちょっと気になる。
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不気味な伝説、血で血を洗う遺産争い。
密室あり、毒殺ありと長いが、飽きることはない。最後の最後、犯人には気づかなかったものの、後味はあまりよろしくない一冊。
でも、横溝趣味が横溢した古き良きミステリだとおもう。
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読者を引き込むだけの雰囲気があるので一気に読めました。雰囲気だけで満足です。内向的な美園崎美幸が殺されていたのは悲しかったです。
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ー この古い館は牢獄なんだよ。時の流れから見放された監獄だよ。夜中に廊下を亡霊が闊歩し、幽霊が見張り、黴臭く、埃にまみれ、そこに住む人間たちは互いにいがみ合い、憎しみ合い、嫌い合っている。
よこしまな考えにしがみ付き、つまらぬ憎悪に身を焦がしているんだ。言うなれば、我々は囚人だよ、この《悪霊館》に、欲望という鎖で永遠に繋ぎ止められた俘囚なんだよ。 ー
莫大な遺産、条件付きの遺言状、互いに憎しみ合う腹違いの姉妹、曰く付きの館、双子、首無しの遺体、密室、呪い、、、昔ながらの探偵小説。これも素晴らしい!
古き良きミステリーへの愛が溢れてる。
次はいよいよ『人狼城の恐怖』かな。
世界最長ギネスのミステリーだから、覚悟がいるな。『悪霊の館』で900ページなのに、その4倍の長さだなんて。
『失われた時を求めて』の半分くらいかな…。
まぁ、こんなミステリーを読むくらいなら『失われた時を求めて』を読んだ方が人生の糧になりそうだけど…。
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再読。長かった…。面白くないわけじゃありません。むしろ本格ファンならワクワクする密室や首無し遺体や双子という材料に、たっぷりの伏線、古い洋館や甲冑、一族の秘密や過去にも引っ張られ先が気になりどんどん読み進められるのです。読後すごくよくできているのもわかるのですが、読中は読んでも読んでもラストまで到達しないという感じでした。初読同様高木彬光作品をもっとちゃんと読んでおくべきだったと軽く後悔もしました。密室談義は読んでいない本のネタバレが恐ろしくて飛ばし読み。このあたりが集中できず長く感じてしまった敗因かも。
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悪霊の館
幕前
第1幕 老婆の死
第1章 志摩沼家の人々
第2章 呪われた遺言
第3章 地獄という名の影
第2幕 悪霊の館
第4章 探偵に届く花束
第5章 悪霊館へ赴く
第6章 甲冑殺人事件
第7章 遺族たちとの面会
第8章 《黒の館》の住人たち
第9章 《白の館》の住人たち
第10章 ギャラリーの甲冑
第11章 笑わない老人
第12章 肖像画と時計塔
第13章 『死を思え・・・』
第3幕 過去の女
第14章 一つ目の軌跡
第15章 二つ目の軌跡
第4幕 火刑の炎
第16章 あの女が生き返った
第17章 密室講義
第18章 再洗礼派の火刑
第19章 《カンタレラ》の杯
第20章 壁の中から出てきたもの
幕間
第5幕 魔術の顔
第21章 犯罪者の末路
第22章 甲冑をよみがえらす
第23章 《月光の滴》
第24章 燃えあがる女
第25章 崩壊のパノラマ
幕後
立風書房「悪霊の館」 1994年12月