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上巻の、宮廷のパーティで自分にはテイクスカラアンの詩をあんなふうに作ることはできない、と感じてつらかったシーンとか、イスカンダーのイマゴの二つ目を入れた時に、子供の頃読んだテイクスカラアンの小説に複雑な気持ちで胸打たれたことが共通点になってることとか、帝国への、大使たちのややこしい憧れと疎外感と、彼ら自身が帝国に誘惑もできてる存在なところが一番魅力的でドキドキした。
ステーショナーたちの文化やメンタルも読んでる側にしたらぜんぜん当たり前ではないのも良かった。帝国のこともステーションのことも知らない読者視点で、マヒートと同じ野蛮人の気持ちも、マヒートのことがエイリアンに見える帝国側の気持ちもちらちら見えて、ほんとに楽しく読めた。
続編が何卒邦訳されますように、いまからとても待ってる。
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後編は、銀河帝国ものならではの宮廷劇が大々的に繰り広げられ、小国が仕組んだ一発大逆転の仕掛けが最後に炸裂する。奇想天外なテクノロジー、巧妙なプロット、複雑極まる異文化の創造等、作者の頭の中は一体どうなってるのだろうと驚くしかない。
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題名からして、“おび”からして、それはもう感じていました。
サイエンス・フィクション(SF)では、論理的でありながら感覚的に読むことが求められる。
これはもうはなっから「情緒的」に読みこなすことが求められる。
これはもはや「観念的」に読んでいかないと、いちいち止まってしまいそうになる。
そんなペースで進めていくうちに、例えば、秦の始皇帝の後継問題や、清朝乾隆帝期におけるヨーロッパを含めた周辺国の朝貢関係のような背景を、理解し始める。
そうなると、主人公たちのハラハラドキドキな冒険活劇が面白くなるって、下巻はあっという間に終了。
記憶と記録
記録とは単にあったことでそれ以上でも以下でもないが、何を残しておくかによって作為が生じる。
記憶とは過去にあったことと誤解をさせる脳の娯楽で、自己憐憫とともに自己肯定への欲望に用いる。
他人の記録をスキルの継承の目的で脳に植え込むことと、不老不死にこだわり狂う始皇帝の欲望を併せた物語……