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どの一文をとっても心に深く染み渡るような本でした。
読書に何か目的意識を持って取り組むような使命感にかられて読むことがあり、純粋に楽しむということを忘れることがありました。多くの情報を取り入れるためではなく、自身の記憶に残るような一文・一句に出会いたくて、本を読んでいたことを思い出せました。好きなフレーズに付箋を貼ったり線を引いたりして、ふと本棚から取り出して読み返したくなるような一冊との出会いを、読書は届けてくれる。そんな行為がとても貴いことに感じられる一冊でした。
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ひとにとって本とは、読書とは、そして言葉とはなにか
静謐なエッセイ。
ひととしてのありようを考えさせる後半は、
何度も読み返したい素晴らしいものだった。
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詩人ならではの言葉の向き合い方や言い方が、正直読みにくかったです。
ただ、「面白い視点」は多かった。
「若い世代が本を読んでない」わけではなく、「若い世代が読む本を大人が読まない」のだ。
人は自分が触れてきた言葉しか表現することはできないし、自分がいいと思った言葉を使うようになる。
日常から意識をしている人とは差が出ると感じました。
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少し難しかった。また再読したいと思う。印象に残ってるのは、読書の内容は忘れてもいい。また再読すればいい。
本は自分の心を見つめ直す場所。池澤春菜さんの解説は、読書欲を駆りたてられる。
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【2022_02】他の方が主催される読書会でのテキストが、長田さんの『最初の質問』という絵本だった。それが縁となって手にした著作。今年はこれ1冊しか読めなかったとしても、もう後悔することはないだろうと思う。できることなら、生前にお会いして、「先生」と呼ばせていただきたかった。うまくコメントできないが、お許し願いたい。
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こころに残る文章が多く、こんなにスマートフォンのメモに打ち込んだ本はないんじゃないかな。
多感だった頃に感じていたことを言葉にしてもらった感覚。あの感覚は私一人ではなかったんだな、という安心感。一度読むだけでは味わいきれていないので、また時間をおいて読みたいと思える本だった。
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うーん、なんだか思っていたものと、というか少し違うような気がした。うなずくところもありそうでないところもあり。
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1年前に読んでいるのに、すっかり忘れて再読…
再読は友情の証、なんて書いてくれている、ただボケてるだけか?と思ったが、忘れたらもう一度読めばいい、それが本の文化だ、と。素晴らしい。
読んでも読んでも忘れる人のために、取っておくしかないから図書館は必要なのだ、と。
前回は読むための椅子、の話が強烈な印象に残ったが、再読では視点も変わるのか、他にも沢山良い言葉
やはりこれは本棚に残すべき一冊かと。
人びとが本を読まない時代に、人びとの間に失われるのは友人を見つける能力。
言葉は、誰にとっても同じもの、言葉は平等なものだけれども、人と人を違えるのも言葉、言葉を豊かにできる人と乏しくしてしまう人とを言葉は違えるから。
自分は言葉を、どう豊かにできるか。
器量よし、心の大きさを、心の容積を大きくしてゆけるような言葉を、どれだけ自分の中に蓄えていけるかが、これからの時代の物差しになってゆかないと、私達の時代の言葉はどんどん乏しくなってしまう。88
何事も段階的にということを前提に考えることは、何事も制限的にしかとらえることをしないという事110
絵本のような子どもの本の読み方に教えられるのは、読書というのは自分の時間ほでに入れ方なのだ、ということ122
良寛より 耳を洗うとはどうすることか
我見をもたぬということだ 162
我見によってしかこの世を見ないというのは危うい
文庫ならではの解説、池澤春菜もまたいい
幸田露伴の孫引き、
「どんな人もその気になれば友だちは見つけられる。現実生活に友だちがいない人にも、唯一友人を準備してくれるものがあるとすれば、それは書籍だ」221
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『すべて読書からはじまる。本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です。』
めちゃくちゃ共感。
そして美しい表現の多い本でした。
本って、言葉って、日本語って素晴らしい。
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気に入った文章の抜粋。
本は死んだすべての人の中から、自由に自分で友人を見つけることができる。何千年もの昔に友人を求めることができる。読むとは、そうした友人と遊ぶということです。
子どもには、大人には、老人にはこういう本といった壁で囲むような考え方は、わたしたちにとっての本の世界をすごく狭く小さなものにしてしまう。
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読書についてというよりも本とは言葉とはといった内容。私自身本を読むことは好きだけれど同時並行が出来ない分、後回しにしてしまうことが多い。本と向き合う時間をきちんと設けたいなと改めて思った。
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本を読む意味を一緒に考え、本好きの自分を優しく肯定してくれる本です。
本に書かれている言葉によって、自分の存在を確かめたり肯定したりできる。
見たこともない世界を言葉から想像できる。
本を通して世界と、自分と静かに対話できる。
いつでもそばにある、いてくれるという心強さを感じる。
自分の言葉にできないものを、感じたり言葉にしてくれたりする。
本ってやっぱりいいな。
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本への愛をとても感じる文章。本は読んでも忘れるものだけれども、それによって再読するチャンスが得られるという考え方は素敵。聖書が章や節で分けられて引用されるようになるのに1500年以上かかっているというのは知らなかったし興味深い。
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本、読書、言葉と。柔らかな口調で本質をついている。本は一生を共にするもの。自分を育てるもの。師匠だったり友だったり。本って偉大だ。
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本を読むということがどういうことなのかを考えるのが本書です。
「読まない本」にゆたかさがある。「たくさん読む」が正解ではない。
ことばがゆたかな人は、ゆたかである。ことばが貧しい人は、貧しい。
気になったことは以下です。
・友人としての本。友人というのはその場かぎりではありません。「ずっとつづく」関係です。
・どこへ行っても、みなおなじ。今はどこへ行こうと、日本のどこもおなじ表情をもつようになった。ミリオンセラーの本も、ほとんど急速に読まれなくなり、昨年のベストセラーは今年は、もう読まれないのが普通。生活のなかで考えるなら、おたがいの違いを表すものがあるとすれば、それは、「言葉」です。
・母なるものとは自分が生まれ育った言葉のこと。
・今の日本のなかでゆたかでないものがあります。私たちにとって今いちばんゆたかでないものは、言葉です。
・マイ・フェア・レディという、オードリー・ヘップバーンの映画があります。映画は、とても元気がいいけれども、貧しい語彙と粗野ないいまわしと不調法な話し方しか知らない若い女性が、苦心惨憺のあげくに、みずから言葉をゆたかにしていくようになるまでを、巧みに描きます。その映画の急所は、言葉のもち方が、一人の人間を人格をつくるのだということです。
・言葉をゆたかにするというのは、自分の言葉をちゃんともつことができるようになることです。
・どんなに、おカネをもっていても、おカネで買えないものが、言葉です。
・言葉の貧しい人は貧しい。言葉をゆたかにできる人はゆたかだということを、忘れないようにしたい。
・本は年齢でよむものではない。本を読むというのが、新しいものの見方、感じ方、考え方の発見を誘われることでないなら、読書はただの情報にすぎなくなり、それぞれの胸の中にけされないものとしてのこる何かをもたらすものとしての、読書の必要は失われます。
・人は何でできているか。人は言葉でできている。言葉は人の道具ではなく、人の素材なのだということです。
・情報でない言葉が重要。伝わってのこるものは、その人の表情、身振り、雰囲気、気分といった、不確かな、非情報的な言葉です。
・人の表情は、言葉のかたちをもたない言葉です。
・良寛いわく、「耳を洗え」。耳を洗うというのは、我見をもたぬということだ。
・民話の芯になっているのは、ひとを現在に活かすものとしての、記憶の目安です。
・情報はふえればふえるほど、逆にコミュニケーションはすくなくなってゆく。
・読書の核をなすのは、努力です。情報の核をなすのは享受です。読書は個別な時間をつくりだし、情報は平等な時間を分け合える平等な機会をつくりだします。簡単に言ってしまえば、読書というのは、「育てる」文化なのです。対して情報というのは本質的に、「分ける」文化です。
・「育てる」文化の基本は個性です。「分ける」文化の基本にあるのは平等です。きわめて平等であるけれど、またきわめて画一であることも事実です。
結論
・人は読書をする生き物です。人をして人たらしめてきたのは、そう言い切ってかまわなければ常に読書でした。
目次
はじめに
1 本はもう一人の友人
2 読書のための椅子
3 言葉を結ぶもの
4 子どもの本のちから
5 共通の大切な記憶
6 今、求められること
7 読書する生き物
8 失いたくない言葉
あとがき
解説
ISBN:9784480437426
出版社:筑摩書房
判型:文庫
ページ数:240ページ
定価:720円(本体)
発行年月日:2021年05月
発売日:2021年05月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DSRC
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:VSL