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池澤春菜さんの解説から引用します。
「この本はいわゆる読書論や、読書のすすめではありません。もっと根源的な、言葉について、そして自分のありようについて考える本と言えるかもしれません。古今東西の言葉を収めた『本という考え方』とどう向き合っていくか。全てのページに、一生を通じて、折に触れ思い直し、噛みしめるような宝物のような言葉が溢れています」
全くその通りだと思いました。すごく栄養価の高い食品を少量頂いたかのような気持ちになりました。
詩人、長田弘の他なる一面を改めて知り得たと思いました。今の世の中にこれ程わかりやすく、奥深い知見を広げてみせてくれる方は少ないと思います。
この本を読んだことを忘れそうになったら繰り返し読みたい本です。
以下印象深い文章を少しだけ抜粋します。
はじめにより
本というのは「本という考え方」。
本は「本という考え方」を表すものであるということ。
本は「本という考え方」をつくってきたものである。
本によって、本という一つの世界のつくり方を学ぶということ。
本の大事なありようのもう一つは、じつは「読まない本」の大切さです。
「本の文化」を深くしてきたものは、読まない本をどれだけもっているか。
読んでいない本が大事なんだという本との付き合い方がどこまでも未来にむけられた考え方としての「本という考え方」を確かにしてきた。
(以下略)
・本という文化を育ててきた人間がそこにいる。本のあるところ、つねに人間がいる。それは、友人としての本という感覚。感じ方がじつは本の文化というものをつくってきたのだということです。
・本の文化を自分のものにできるかどうかの重要な分かれ目は、その再読のチャンスを自分のなかに、生活のなかに、日常のなかに自分の習慣としてそれをつくってゆくことができるかどうか。
・どんなにおカネを持っていてもおカネで買えないものが言葉。
・心はどこにもないものだから言葉でしか言えないのです。
以下、書き写していると全文書き取りになってしまうので、この辺で。
尚、この本では子どもの本についていても触れていて、子どもの本というのはじつは大人こそが読む本にほかならないと長田さんはおっしゃっています。
私はあまり読んでいない分野なので、これから少しづつ読んでいってブクログの本棚にも載せていけたらと思いました。
また、ブクログの存在は、本を友人にするにあたって大変こころ強いものだと思います。
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「すべては読書からはじまる。本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です。」
これが全てだと思います。
下手な感想を書くよりも、印象に残った表現をここに残したいです。
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すべて読書からはじまる。本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です。
とてもよく分かる。あー私の読書はこの一言に行き着くなあと思った。
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読書の持つ意味大切さいろんな角度から述べていて、ふに落ちることも多い。
まずハード面ということで、読書のための椅子についての考察、子供の本の持つ力など興味深く図書館の大切な存在理由にも納得しました。
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本について読む本。
情報として本を読んでいる感は確かにある。
もっと言葉を味わう読み方も身につける必要があるなぁ
育てる、蓄える、分ける
この3つのキーワードで言葉を紡いでいく。
以下、印象的なシーン
1. 子どもの本というのは、子どものための本なのではありません。大人になってゆくために必要な本のこと。
→絵本でも読んでみようかな
2. 本を一冊読もうと思ったら、その本をどの椅子で読もうかと考えられるなら、良い時間をきっと手に入れられるだろうと思うのです。〜この本をどの椅子で読もうかと考えて、そこから自分のことを考えてみる。これからそういうことが、とても重要になってくると思います。
→今まで考えもしなかったなぁ。本は読んでたけどたしかにベッドで寝転んで読むか、電車の中かだったし、、、場所(椅子)ってとても大事かもしれない。
3. 本というのは、本を開いて読めばいい、読まないうちは本を読んだことにならないのだということではないのです。本は読まなくても良いのです。しかし、自分にとって本を読みたくなるような生活を、自分からたくらんでゆくことが、これからは一人一人にとってたいへん重要になってくるだろうと考えるのです。〜本屋に寄る時間や、家具屋で椅子を覗く時間を、自分の1日のなかに作るだけで、本のある人生の風景が見えて来ます。
→すごくいい。本、読書とは何かというちょっとした哲学を感じる。
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読書についてのエッセイで、難解なテーマではないし、けして難しい言葉が使われている訳でもないのに、著者が語りかけてくるものをどう受け取ったら良いのか、自分がどう理解したのか、文章にすることが思いのほか難しい。
例えば、「2 読書のための椅子」の冒頭、著書は「読書のためにいちばん必要なのが何かと言えば、それは椅子です。」とある。次のパラグラフで、本を読むときに自分で自分に最初にたずねることは、その本をいつ、どこで読むか、本を読む場所と時間である、それが、その本をどんな椅子で読むか、ということです、と言う。これで分かったような気持ちになるが、また具体の椅子の話が続く。
直線的に文章が続くのではなく、ぐるっと螺旋状に回って芯に辿り着くような感じと言えば良いだろうか。
解説で解説者が具体的に紹介しているが、言葉、記憶に関して、印象的な文が随所に出てくる。読者一人一人にとって、そうした文章がおそらく見出せると思う。
一文一文をゆっくりとしたリズムで読んでいかれることを、お勧めしたい。
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読んだら忘れられると言うのは、悪いことじゃなくて本の良いところか。前に読んだ時のことを思い出せる。過去の自分との対話ってか。
本を読む時の椅子の話。椅子じゃなくても、ここでゆっくり読むのが好き、と言える場所、そこにいられればいいって言える場所があれば人生幸せだよな。
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読書や言葉の大切さを色々な角度から書かれている。
共感することも多く、また気付かされることも多かった一冊でした。
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社会にとって「本の大事なありよう」が問われている。
言葉のちからが揺らいでいる。そんな今、発行された本。
「本を読んでも読んでも内容を忘れてしまうのはもったいない。」と思っていたけれど、「忘れるのは当たり前で、読んで忘れてもう一回読めばいい、それは絶えず新しい経験になる」と励ましてくれる本。私は大切だと思う本の友人になりたいし、友人でありたい。
あとがきより
橘曙覧の歌3つのうちの1つ
たのしみは そぞろ読みゆく 文の中に 我とひとしき 人を見し時(P116)
私の本を読むスタンスはこれだと、見つけた感じです。
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めったに☆5はつけないけれどこれは文句なしで5。
惹かれたフレーズや感想、まとめなどを綴ってみました。
1.本はもう一人の友人
「本は死んだ人すべてのなかから、自由に自分で、友人を見つけることができる。(中略)読むとは、そうした友人を選ぶということです。」(P19)
2.読書のための椅子
図書館の座席指定チケットなんて素敵ですね。公共施設の平等性を考えると無理なのかなー…。
3.言葉を結ぶもの
言葉とは、その人の生き方の流儀でありマナーである。
4.子どもの本のちから
子どもの本は子どもたちのほんであって大人たちの本でもある。大人こそ読むべきもの。
5.共通の大切な記憶
読書は自分の時間の使い方の問題である。自分の時間とは、自由になる時間ではなく、記憶の水をくみ上げるための、充実の時間。
6.今、求められるとこと
わたしたちは言葉とあいまいさのなかに生まれてきて、生きていく。言葉はつながり。情報は言葉ではない。
7.読書する生き物
情報の主人公は情報でありあなたでもわたしでもない。
8.失いたくない言葉
情報は「これから」を語るもの、読書は「これまで」を語る言葉。図書館は「育てる」と「分ける」を繋ぐ「蓄える」文化である。
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本を読むのは好きだが、
私の読書はいったいどういう読書なのか。
単に情報集めに終始していないか。
ちょっとドキッとさせられました。
単なる読書論ではなく、
もっと大きなテーマが語られています。
ただ、やはり詩人の文章。
ところどころ、頭にハテナマークが浮かぶ。
このお方の文章、授業するのに苦労したことを
今、改めて思い出します。
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本を読むということは、情報を得ることとは違うと。読書とは何かを様々な角度から語る。
『本についてのいちばん重要なことは、本は「本という考え方」をつくってきたものであるということ』と始まるこの本は、講演原稿から書き起こした平易な表現なのに、丁寧に読まないとなんだかよくわからないままに一冊が終わってしまう。終わりころの『本を読むことが、読書なのではありません。』という文を読む頃には、何となく書いてあることがわかるようになっている。これはちょっと違うなと思うところもかなり多いけど、自分にとっての読書ということが整理できたような気がする。解説は池澤春菜さん。ストレートに本好きと語る文章が気持ちよい。
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スケールが違った。巷に溢れている読書術とは違い、なぜ人生に読書が必要なのか、あたたまる視点で書かれていた。
情報収集に躍起な今の時代の虚しさを、私も感じていたが、それも言葉にされていた。
読売新聞のこどもの詩のコーナーで、名前を毎日拝見していたが、本を読むのは初めてだった。
ああ、これが本当に文を書くことで食べている人の文章なのかと感銘も受けた。
情報取得のための読書には、ハッとさせられる。
寄り添ってくれるのが本だという本質を突きつけられた。
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どの一文をとっても心に深く染み渡るような本でした。
読書に何か目的意識を持って取り組むような使命感にかられて読むことがあり、純粋に楽しむということを忘れることがありました。多くの情報を取り入れるためではなく、自身の記憶に残るような一文・一句に出会いたくて、本を読んでいたことを思い出せました。好きなフレーズに付箋を貼ったり線を引いたりして、ふと本棚から取り出して読み返したくなるような一冊との出会いを、読書は届けてくれる。そんな行為がとても貴いことに感じられる一冊でした。
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ひとにとって本とは、読書とは、そして言葉とはなにか
静謐なエッセイ。
ひととしてのありようを考えさせる後半は、
何度も読み返したい素晴らしいものだった。
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詩人ならではの言葉の向き合い方や言い方が、正直読みにくかったです。
ただ、「面白い視点」は多かった。
「若い世代が本を読んでない」わけではなく、「若い世代が読む本を大人が読まない」のだ。
人は自分が触れてきた言葉しか表現することはできないし、自分がいいと思った言葉を使うようになる。
日常から意識をしている人とは差が出ると感じました。