紙の本
島津氏小説ならこれ
2016/01/23 22:24
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投稿者:北芸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一次史料をもとに島津義久とその周辺を描いた戦国島津氏小説の傑作というべき作品。秀吉時代の難しい政治史も緻密に描写し、義久の苦悩を見事に表現している。
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九州に覇を称えた島津4兄弟の長兄島津義久の生涯を綴った文庫本。島津といえばどちらかというと弟の義弘の方が有名ですが、義久を題材にしているのが珍しい。勢力拡大につれてバラバラになっていく兄弟や晩年の家督相続に対する争いなど最後まで波乱の人生を描いています。
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島津の長として、太守として、そして長兄として、思慮深く生きていく義久のお話。
次男と四男に好き勝手されて、胃が痛いどころじゃない。
三男の最期に涙。
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本作の義久は、「人として」或いは「リーダーとして」の“道”を説く祖父、日新斎の教えと、日新斎が彼に託した「三州統一」という悲願を胸に成長して悲願を達成するが、動乱の時代の中で波乱に満ちた人生を送る。それぞれに個性的な弟達もなかなかに味わいが在る…読みながら「格好の“大河ドラマ”ネタだ…」等とも思った…
非常に愉しい作品なので、多くの皆さんにお奨めしたい!!
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非常に分厚く、かつとにかく登場人物と見慣れない地名が多いので、読むのに苦労するが、しかしその苦労の見返りとして、有名なようでいて、あまりどのような人物か明らかではない島津義久の考え方、行動原理、島津家の統治方法等を深く理解できた。
「島津家久と島津豊久」では、島津の血の掟に従い弟と家老を暗殺する厳しい義久像が描かれていたが、本書では、秀吉や家康との力関係を見極めながら、いかに薩隅日3ヶ国守護の島津家を維持するかの観点で、島津家を俯瞰的に統治する義久像が描かれている。
島津家を、九州引いては日本全土を支配できる大名とみるか、薩隅日3ヶ国守護とみるかで義久の行動に対する評価は分かれるのかもしれないが、私は後者だと思うので、兄弟・義理の息子、家老等との分裂をよく抑えて薩摩藩の基礎を築いた義久はもっと評価されてよい人物だと感じた。
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島津と言えば「義弘」の方が有名なのかもしれませんが、当主はコチラでございます(義弘が義久の次の当主説もあり)。
とにかく長男は「義久」、次男が「義弘」です。
で、島津4兄弟、名将・猛将ぞろいで4兄弟の元、九州統一したと思い込んでいたのですが、4兄弟が団結しての統一という訳ではなかったんですね。
まぁ、薩摩隼人・鬼島津の名の通り強かったんだろうなぁ~という結論です。
島津については「島津の退き口」ぐらいしか詳しく知らなかったので読んで良かったと思います。
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弟義弘は有名だが島津家当主義久は余り知られていない。まだ兄弟4人が若い時は祖父、父の悲願三州統一を心を一つにして目指していた。しかし領地が増え戦線が拡大されていくと自分の担当の方面の攻略を優先させてゆく。特に義弘と家久にはその傾向が強く義久は上手くお互いをコントロールする。まさに大将の大将と言う表現がぴったりの戦国大名。しかしこれだけ有名な武将なのにいまいち業績も肖像画も残っていないのが昔から不思議だったが後書きの忠恒との軋轢が原因だとわかり納得した。