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大阪の心斎橋からほど近いエリアにある「空堀商店街」。
そこには、兄妹二人が営むガラス工房があった。
兄の道は幼い頃から落ち着きがなく、コミュニケーションが苦手で、「みんな」に協調したり、他人の気持ちに共感したりすることができない。
妹の羽衣子は、道とは対照的に、コミュニケーションが得意で何事もそつなくこなせるが、突出した「何か」がなく、自分の個性を見つけられずにいる。
正反対の性格である二人は互いに苦手意識を抱いていて、祖父の遺言で共に工房を引き継ぐことになってからも、衝突が絶えなかった。
そんなガラス工房に、ある客からの変わった依頼が舞い込む。それは、「ガラスの骨壺が欲しい」というもので――。
『水を縫う』『大人は泣かないと思っていた』の寺地はるなが放つ、新たな感動作!
相容れない兄妹ふたりが過ごした、愛おしい10年間を描く傑作長編。
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人生がギュッと詰まっている。
その人の良いところを見つけられた時。
自分のダメなところを思い知らされた時。
認めると楽になる。
認めると強くなれる。
最近何となく自分の胸の中で騒ついていた事が読んでいるうちに嘘のように気にならなくなった。
そんな力がこの本にはあった。
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誰かが感じる痛みは誰かのもので、私がそれを背負うことはできない。でも痛みを感じている誰かのそばにいることはできる。
私は私であなたはあなたで、それぞれにそれぞれの人生があり完全に分かり合うことなんてできはしない。
それでもがんばったときにがんばったねと、苦しい時に苦しいね、と言って欲しい時がある。
兄妹という関係の中で、その心のやりとりはとても難しい。
家族なのに、家族だから、わかるしわかりたくないし。
ガラスはもろい。どんなに美しいものでもどんなに大切なものでも、ほんの少しの力で壊れてしまう。
壊れてしまうものだからこそ、その冷たくて透明なガラスに閉じ込めたい思いがある。
生きている限り見ることのできないその人の骨を、その人への思いと一緒にそっとしまうとき、人はひとつなにかを手に入れるのだろう。失うことで得るもの。閉じ込めることで見えるもの。
寺地はるなの小説が見せてくれる限りなく美しくはかない人の心。
ガラスって冷たいけど温かいんだよ。人の心もきっとそうだと思う。
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※
人と同じことができない兄と何をやっても
平均で特別な何かがないと悩む妹。
チグハグで兄妹仲の悪い二人が
祖父の死を境にガラス工房を引き継ぎ、
お互いの違いを受け入れ合っていく物語。
一人ひとり違っていいと言いながら、
人と異なることを恐れ。
人と同じであることに安心を感じながら、
特別でありたいと願う。
不安も願望も拒絶しない優しいお話でした。
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2021/09/15予約 5
どなたも高評価なのに星2つは申し訳ないような。
でも本当は1。
どうしてこの本を読んで自分はこんなにイライラするんだろう。他の人のレビューには癒されたって書いてあるのに。
この作家さんを読むと、いつもそんな感じ。
作家さんすみません。
多分、大多数の人には好まれる作品なのだろう。
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大阪の商店街にあるガラス工房。ここには二人の兄妹が経営している。周囲と馴染めない兄と「平均的」な妹。祖父が亡くなったのをきっかけにガラス工房を引き継いだが、二人の関係は噛み合っていなかった。そんな時、ガラス製の骨壷を境に二人が大きく成長していく。
寺地さんが描く登場人物の心理描写がとても丁寧で、心にスーっと入ってきて、心に染みりました。
人においての「普通」とは何か?や「死ぬ事」について様々な人の考えが登場するのですが、どれも理にかなっていて、難しいテーマだと感じました。
ただ、共通して言えることは、相手に自分の考えを押し付けすぎないことが大切だと感じました。
人にはそれぞれの考えがあって、全く同じということは少ないです。どうしても意見が対立してしまいますが、お互いを尊重しあい、そういった意見もあるんだという認識を持たないといけないなと思いました。
作品で重要となるガラス製の骨壷。個人的に知らなかったのですが、ネットを検索すると、骨壷から想像する質素なイメージとは違い、芸術的な美しさがあって、意外でした。
ガラスは一度傷がつくと完全には戻りません。でも元の形に近づけることはできます。そういった工程が、兄妹との仲を表現しているようで読んでて心が優しくなりました。
特に妹と恋人の件では、兄がカッコ良く視えました。はっきり物事を言うことは、ちょっとウザく感じてしまいますが、相手への明確化につながるということを考えると、仕事にも使えるなと思いました。
部下への指示やマニュアル化など多方面に使えるので、今後の参考にしたいと思いました。
ガラス工房を舞台にした物語。「家族」との絆がふんだんに盛り込まれていて、一つ一つの会話のやりとりが辛くもあり、感動もしたりと心に染み渡ってきて、良い作品だったなとしみじみ感じました。
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本の装丁に惹かれて購入。その分期待も高かったのだけれど、期待以上でお気に入りの1冊になりました。
発達障害の疑いがある兄の道の言葉がとにかく刺さる。妹の羽衣子にイライラしながら、でもその心情も理解できるのでもどかしくもなり、最終的には清々しい読後感。読んだタイミングも良かったのかもしれない。
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面白かった。人と同じ事ができないけれどお客さんに選ばれる作品を作れるのが兄の才能だと思ってたら師匠にあっさりそれを否定されたり、私の作品より兄の作品の方が選ばれるって言うのを「好みじゃない?」ってバッサリ切ってくれたり。悩んでる当人からすると重大な事でも傍から見てるとそんなもんなのかもしれない。
コロナ禍での描写もあって、確かに2020年の3.4月はこんな感じだったなって思った。
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羽衣子は兄が好きではなかった。
発達障害で小学生の頃はすぐに同級生とケンカ、誕生日の日も喧嘩し母は夜も相手の家に謝りに行きお祝いできず。またある日は学校から逃走、周りには可哀想な目で見られる。母はなぜか兄ばかりを褒める。そして何より自分にはないものを持っている兄。
そんな兄弟が祖父のガラス工房を二人で継ぐことになる。初めは兄を理解できず、ライバルのようにいがみ合っていたが、恋人との別れや父親の再婚、伯父の死などを通して少しずつお互いを大切な存在として変わっていく姿が良かった。
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兄と妹…。妹は兄が普通とは少し違うことにいつも苛立ちを抱えていた。
祖父のガラス工房を2人が引き継いで、作品を作り教室を開き、いろんな人と関わっていくうちに…
お互い、自分の気持ちをことばに出して伝えるようになる。
兄は、「他人の気持ちがわからない。わかってます、って嘘つくこともできない。けれど、それでいいと思うようになった。理解しなくても、たしかにそこにあるっていう事実を知ってる。」
妹は、「世の中には、他人の気持ちがよくわかって、そのうえで人を傷つけるようなことをしてきたり、利用したりする人だっておる。そういう人よりずっと良いんちゃうかな、お兄ちゃんは。」
この2人のことばで、凄く良い関係だと感じる。
心から信頼できていると思う。
仲の良い兄妹でもなかなかここまでことばで伝えることはできない…
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発達障害は個性。
子供の頃は、周りに理解されなくても、(社会に出ても・・・)その個性を生かせる場が得られることは、彼にとって幸福なことだと思う。
また、その個性が、周りに良い意味で影響を与えることもできるのだなと思った。
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吹きガラスは、祈りに似ていると思った。
羽衣子の心情に深く共感した。
おじいちゃんの愛、兄に対する嫉妬。
「憧れた何か」「特別な何か」になれない悔しさ。
私が羽衣子だったら確かに道が兄であることは嫌に感じると思う。
だけど、道が羽衣子のお兄ちゃんでよかった。
道の心は、感情の揺らめき方は、そのガラスのようだと思った。やさしい。
いや、羽衣子も、葉山さんも、ほかのお客さんも、みんな。
とくに身近な人の死に向き合うとき。人はみなガラスの器のようになる。
「自分の人生から大切な誰かが欠けるたび、人の心はかたちを変える。ガラスの器の縁が欠けるように。不完全な形状の心を抱えて、ぼくたちは生きていくしかない。」
237ページのこの言葉が印象的だった。
ほかにもたくさん、響く一節があった。
みんな何かを抱えて、脆いなりに、生きている。
骨壺。読む前までは私もあんまり良くない、縁起の悪いイメージがあったけれど、ガラス製ならいいかもなと思えた。
道は、脳内では山﨑賢人さんになってた。
ドラマ「グッドドクター」のときの山﨑さんの透明感がとても素敵で。
もしも映像化するなら、羽衣子役は誰がいいかなあ…。
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久々に涙が。「一通りそつなくこなせるけど、平凡」なのと「傑出した才能はあるけど、はみ出し者」人はどちらになりたいだろうか。ガラス工房を営む兄妹。兄は素晴らしい作品を生み出すが、発達障害の気があり場の空気をかき乱す。普通だねと言われるのがコンプレックスの妹はそんな兄が疎ましくも妬ましくもあり複雑だ。単に兄妹仲の問題だけではなく、工房で扱っている骨壺が「死」というストーリーの軸を作っており考えさせられる。曇りのないガラスのような兄の視点が真理を突いていて心洗われるよう。妹も年月を経て成長する。良い話だった!
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祖父のガラス工房を引き継ぐ兄妹。
兄を嫌う妹の羽衣子。妹が苦手に感じる兄の道。
羽衣子と道の気持ちを文章で読み進めることができモヤモヤ感がなくストレートに読むことができた。
読みやすく素敵なお話だと思いました。
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私は、多分自分の想像力に限界があって、人より敏感でストレートな道さんのような人の内面を思うことがうまくできなかった。道さん目線の文章を読みながらいろいろ気づかされました。
人はいろいろいる。それがふつう。