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ニーチェのスタンスなど解説されている本書を踏まえたうえで、今の自分には自己啓発的な読み方をするのが合っていると感じました。
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序章 ニーチェって、どうして人気なの?
世界中で人気のある哲学者
もともとは古典文献学が専門だった
酷評されたテビュー作『悲劇の誕生』
わずか10年間の活動
昏倒した直後に送られた手紙
人間関係も興味深い
好調ではなかった女性関係
仮面=多面性を愛する哲学者
ニーチェの文章の特徴
その場その湯での仮面を楽しむ
私たちは無意識にニーチェの哲学を受け入れている
私たちはニーチェの掌の上で動いている
時代によって異なる二—チェの解釈
ニーチェが提示した「思考のメガネ」
第1章 ニーチェを知ると、何が変わるか?
時代認識が変わる
ニーチェの死後に出版された『権力への意志』
ニーチェが再定義した「ニヒリズム」
「絶対的な価値がなくなる」ことの意味
”生き方”に対する考え方が変わる
たどりついた結論が“永遠回帰”
“永遠回帰”を生きるために打ち出したモデルが“超人”
“権力の意思”は誰もが持っている
ルサンチマンと超人
ものの見え方が変わってくる“パースペクティブ主義”
第2章 神が死んで、どうなるか?―「神は死んだ」
ニーチェがやっていることはパロディ
神は死んだ=絶対的価値の消失
神を殺したのは人間
神が死んだことによって起こった混乱
第3章 生きる意味なんてない―「ニヒリズム」
ニヒリズムの意味
生きることの苦しみを忘れさせる“ディオニソス”
悲劇からパロディに変わった『ツァラトゥストラ』
ニーチェのショーペンハウアー批判
ペシミズムのパラドックス
永遠回帰の思考
ニーチェも答えを出していない
第4章 真実はひとつではない―「パースペクティブ主義」
ものの見方、考え方の基本
芸術の世界から持ち込まれた“パースペクティブ主義
認識の主観主義化
真理はない
否定された人類共通の普遍性
ダーウィン主義の影響があった”権力への意志“
弱者は集団になって強者を引きずり降ろそうとする
弱者のルサンチマンによって成立したのが”道徳“
強者はもういない
第5章 妬みが道徳を生み出した―「ルサンチマン」
“ルサンチマン“はニーチェオリジナルの言葉ではない
キルケゴールとニーチェの共通点
従来の系譜学を破壊した『道徳の系譜学』
道徳とはそもそも良いものなのか?
ニーチェは“系譜学“の意味を意図的に逆転させた
キリスト教的価値観の道徳
支配権を握ったものが強者ではない
第6章 人間の向こうに何があるか―「超人」
『ツアラトゥストラ』で集中的に使われた”超人
人間とはサルから”超人“へ向かう中間にあるもの167
生きること自体は否定しないのが"超人“
第7章 遊び、そしてパロディ―「永遠回帰」を生きるヒント
精神の三つの変化「酪舵」「獅子」「子供」
なぜ子供なのか
ニーチェにとってのパロディ
ニーチェにとっての遊び
人生でいかに遊ぶことができるのかが生きるヒント
人生は同じことの繰り返し
ニーチェ入門のためにお勧めの本
『悲劇の誕生』
『ツァラトストラはかく語りき』
『権力への意志』
『悦ばしき知識』
『善悪の彼岸』
『道徳の系譜学』
『この人を見よ』
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宗教と神は人の判断基準を権威づけるために、人が都合がいいから、作り上げたと言う意見は、すごく腑に落ちた。
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中高生でも読めきれるくらい易しいレベルだが、本質からずれることなくニーチェがどんな思想を持っていたのかがよく分かり、まさに教養として身につけるにふさわしい内容だった。
ニーチェは次の2世紀(20、21世紀)はニヒリズムの時代と予言した。これまではキリスト教の世界観を軸に道徳形成がなされてきたが、ニーチェによれば普遍的で絶対的な真理など存在しない。人々は道徳の根拠を神に求めていたが、「神の死」によって価値観の基準がなくなることになる。極端な話人殺しへの反論も不可能に。
『反哲学入門』でもあった通り、ニーチェを転機に西洋思想批判や反哲学が始まったと認識していたが、多くの概念は先人のパロディとして書き換えられたものであり、その点多方面で思想が引き継がれている旨が綺麗にまとめられている。点と点が線で繋がるような感覚でものすごくスッキリした。
ニヒリズム:ツルゲーネフ、ロシア政治思想、(ドストエフスキー?)
神の死:ヤコービ、ヘーゲル
生きる意味:ショーペンハウアー
パースペクティブ:ライプニッツ
妬み:キルケゴール
超人:ゲーテ、ベートーベン
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私にとってのニーチェは「忘却はよりよき人生を云々」というもの。どこからの引用なのか今となっては不明だが,永遠回帰の話を聞くと,人生は同じことの繰り返しでつまらないけど生きていく理由を考えないといけないニーチェにとっては忘却は「同じ」でなくするので毎日が新しくなる,つまり,更新されるので生きることに意味を見いだせたのか。しかし,第三者的に見ていたら本人が忘れているだけで結局は永遠回帰だな。ルサンチマンの考えが面白かった。弱者が弱者故に強者を引きずり落とすために道徳を生んだとは,そんな発想はなかなかできない。みんな権力志向があるから,弱者は強者に対して道徳で強さを縛る。それを扇動する教会。道徳が浸透した社会は弱者だらけの社会だな。強くなるための努力や工夫でなく,強き者を生み出さないことで自らの弱さを隠し,弱い者同士で支配し合う。こんなふうに書いたらひどい世の中だ。大きいことは良い事だ,強いことは良いことだ,がルサンチマンの道徳で大きいことは良くないこともある,強いことは良くないこともある。まさに多視点,パースペクティブ主義,そして厭世的でニヒリズムに陥る。人間であることがもう業である。生まれないことが最善で,もうすぐ死ぬことが次善という,人生のパラドクスだ。そして,それでも生きていく。
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非常に読みやすく、入門書として非常に分かりやすかった。
「ニヒリズム」「超人」といったニーチェの基本的なキーワードの解説だけでなく、それらのキーワードに対する誤解を解こうとする解釈や真に理解すべき重要なポイントなどが語られている。
ニーチェの言葉や思想を並べるだけでなく筆者なりの解釈が入っており、その解釈が正しいかどうかは判断を保留すべき部分だと思う。しかしだからこそ、これを読んだ自分はどう解釈するのかという点が重要になるだろう。
ニーチェがどのような時代背景の中で、どんな思想家の影響を受けながら思索を深めていったのか、その経緯や思想の背景にある流れも分かりやすく理解できた。
巻末にはニーチェ著作の解説もついており、これも大変参考になる。なんとなくニーチェを知っているけど思想的な背景を知りたい人、基本を押さえてこれからニーチェを読みたい人におすすめの入門書。
自己啓発的な要素は全くないので、哲学の先生から分かりやすい授業を聞いているようなスタンスで読みたい人向け。
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ニーチェについて何も読んだことがなかったので読んでみた。なぜ現代においてニーチェがこんなに受け入れられているのかがよくわかった。性格悪そうな人だなという印象だけどニヒリズムやルサンチマンの考え方は確かにめちゃくちゃ今っぽい。
別の本で、哲学は金持ちの道楽的な感じで始まったみたいなのを読んだ気がするけど、パロディに徹しているところとか、まさにニーチェは哲学を体現してる人だなという印象になった。あと、キリストより前の哲学について少し読んだことはあったけど、キリスト以降はこういうことが考えられていたのか、というのもなんとなくわかって良かった。
ニーチェ自身が書いた著書も読んでみたい気持ちもあるけど、なんかお腹いっぱいになりそうなので一旦この本だけでいいかも。だいたい考え方はわかったし。