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二人の過去や家族構成が少し見えてきた5巻である。
父子家庭で父親を失い、以降は夢のためにお金を貯めてるらしいハマちゃんはともかく、あやふやだったユメちゃんの事情がこの5巻で明らかになっている。
そういった話に少し触れながら、裏バイトは今日も滞りなく進んでいる。
経験した裏バイトは以下の通りだ。
「海の家スタッフ」
「葬儀屋スタッフ」
「駅員バイト」
「遊園地スタッフ」
葬儀屋は前回(2巻)とは違い、どちらかというと村のローカルな(そしてカルティックな)葬儀「エビス葬」を描いた内容と言った方が良いだろう。
地方の因習を描いた類の裏バイトである。
また、「駅員バイト」と「遊園地スタッフ」は物語的にはひとつながりのストーリーだ。
駅員でのいきさつをこの巻で終わらせたのは、個人的には英断だと思う。
もっと引っ張れた内容だが、引っ張る意味もこのシリーズとしてはあまり感じられないのだし。
作者コメントによれば、「海の家スタッフ」の後編(50話)がベストエピなのだそうで。
人間からは推し量れない大いなる存在(おおいなるもの)を描いた物語はここまでもあったが、このエピソードは特に巨大な存在だろう。
最後には主人公二人もまた怪異の認識に取り込まれていて、薄気味悪さはマックスになっている。
対話が可能な怪異と遭遇する「遊園地スタッフ」もまた興味深いエピソード。
もしかすると、そういうタイプの存在と遭遇するエピソードもこれから描かれてくるかもしれない。
とはいえ、我々とは違った倫理観で生きる存在ばかりだろうから、遭遇劇の結末は推して知るべしだろうが。
今回も楽しく読ませていただいた。
星五つで評価している。
地味だが、きさらぎ駅めいた「駅員スタッフ」もまた裏バイト的ヤバさ満点。
一つ選択肢を間違っていれば……感のある良いエピだった。
ここからリカバリーを果たした不死身の白浜(とユメちゃんのコンビ)はマジ半端ない。
冗談抜きで不死身だろう。