投稿元:
レビューを見る
この悩みについて、科学的に本質を追究するならば。
ミハイルは日露にルーツのある中学生。過去の出来事や兄のことから、できる限り目立たないように心掛けて生きている。ところがミックスルーツの転校生山口アビゲイル葉奈は、初日から虫好きてあることを公言して我が道を行く。ミハイルが目立たぬために所属していた電脳班しかない科学部に、彼女は生物班を復活させたことからミハイルは騒動に巻き込まれていく。
自分は何なのか。ミックスルーツでなくてもきっと誰しも考えたことがあるだろう。人は様々な違いを持つ。しかし生物学的分類でいうならば人は種に分けられない。みなホモ・サピエンスなのだ。
校長の出した問い掛け、科学的な取り組み。物事の本質について考え、その仮説をデータや論理を使って証明する。葉奈が考え出した仮説を検証して発表することが生物班の存続の条件となる。そのために電脳班の皆が少しずつ協力していく。違う人間だからお互いにアイデアを出し合い、できることを協力する。大ピンチからのオチはなかなか拍子抜けだが、校長の態度は好感が持てる。
違うことってなんだろう。同じことってなんだろう。ミハイルは最後にロシア語で叫ぶ。違うから目立たないように生きてきた。でももう小さな違いにはとらわれない。本質を追究することを知ったから。
投稿元:
レビューを見る
小6息子の夏休み読書感想文のために下読み。
ちょうど思春期を迎えた子どもに安心して与えられる内容だった。
投稿元:
レビューを見る
これは名作。
構成は、ほぼ完璧といっていいと思う。ミックスルーツの主人公、人との違い、人種、種。なぜしつこいほどに界門綱目科属種を繰り返してきたのか…最後の「種」の話に集約される。
私たちは、「哺乳綱霊長目ヒト科ヒト属ホモ・サピエンス種」であり、かつてヒト属にいた北京原人・ジャワ原人・ネアンデルタール人は絶滅している。チンパンジー属は2種、オラウータン属は3種。DNA解析の結果、肌の違いがあろうが同じ種だということが科学的に証明されている。
はなは我が道を行くタイプだけど、科学部電脳班の協力があったからこそ父の愛(たぶん)に気づいた訳だし、電子機器への偏見からも抜け出せた。
ミハイルもはなも、交流し、理解することで世界が自分を深く理解し、解放していっている。
「目立つのはしょうがない、人一倍非難されるのもしょうがない」とも取れることを言われて以来、目立たないように生きてきたミハイル。
「偏見なんてなくならないんだから」「みんな悩んでることはあるよ」なんて、なんて意味のない言葉なのか。
そして、愛や気持ちだけでは結果を残せない。目に見える形にして残せるのが科学。
良質な多様性YA作品でした。
投稿元:
レビューを見る
課題図書をおっさんが借りてしまい、読もうと
思った人の邪魔をしているかもしれん(´・ω・`)
自分ってなに?悩み・拘り思春期を過ごす感覚
本書をよんで思い出し・・・昔すぎてわからん
ので想像してみました、読みやすい良書です
投稿元:
レビューを見る
第68回(2022年度)青少年読書感想文課題図書
中学生の部
内容:「すべてが規格外の転校生は「蟲」が大・大・大好き!!日露にルーツを持つミハイルは、日米にルーツを持つ転校生・葉奈と科学部で一緒になり……。ミックスルーツの中学生たちが繰り広げるバイオロジカルコメディ!」
【選定理由】
男女2人の主人公の対比が際立ち、物語の展開が面白い。外国人への偏見の描き方が紋切り型でなく、科学部を舞台とした活動は科学の視点からも興味深く、さまざまな視点から感想文が書ける。