紙の本
君の正義は社労士のヒナコ
2021/12/23 09:45
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投稿者:渡り鳥 - この投稿者のレビュー一覧を見る
社労士(社会保険労務士)としては未熟なヒナコこと朝倉雛子が主人公の連作短編集。
27歳の彼女が必死に頑張って、知恵を絞り、足で稼いで問題解決しようとするスタンスが非常にいい。応援したくなる。最近、身近な人が社労士の試験に合格した事もあり、社労士に興味を持っていたので、思わずこの本を購入した。5つの短篇から構成されており、社労士的観点から色々な課題を解決しようと若い社労士のヒナコが奮闘する物語である。勤務が5年を超える非正規社員の無期雇用転換,サービス残業の問題,介護の為に時短勤務を希望する社員への対応等、起こりうる問題をテーマにしているのでリアリティがある。そんな短編集から、一番、興味を持った『藪の中を探れ』を紹介する。この短編は、セクハラを取り扱っている。しかも男性からの訴えである。部下の男性が女性の上長からセクハラを受けたと会社に訴えがあり、社労士ヒナコの登場となる。化粧品の会社の宣伝部での出来事。烏丸は女性部長で、漆戸は転籍組の男性課長である。ある日、烏丸部長と漆戸課長が一緒に名古屋に出張したが、ホテルの手配ミスでツインの部屋が予約されていた。当日は、大きな学会があった事もあり、ホテルの予約はフルの状況で、部屋を別に手配する事が出来ない。セクハラを訴えた漆戸課長の話によると、この状況を受け、烏丸部長は、『私は一緒でいいのよ。』と暗に肉体関係を迫ったと烏丸部長のセクハラを指摘する。ヒナコが、烏丸部長にヒアリングするとよく漫画喫茶に行く事があり、自分が漫画喫茶で夜を過ごせば、漆戸はホテルで無事に泊まれると言う意味で、私は漫画喫茶で泊まる事を前提で『私はいいのよ。』と漆戸課長に言った事は認めた。しかしながら、『一緒で』とは言わなかったと言うのが烏丸部長の主張。この短編のタイトルは『藪の中を探せ』は、芥川龍之介の『藪の中』由来である。『藪の中』は、平安時代のある殺人事件をモチーフに真相と言うのは関わった人の数だけある事を示した短篇小説。『藪の中』は、黒澤明監督の名作『羅生門』の原作である。『羅生門』では真実は藪の中だったが、このヒナコの物語はハッキリと白黒がついた。詳細はネタバレになるのでヒナコの活躍は本で確認を。
色々と手強い会社もあり、社労士の仕事も大変だと認識できる本である。
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労務問題のケースとしては、少し複雑すぎないかな?と思う編もあるけれど、お仕事エンタメとして飽きられないように、程よく知的好奇心を刺激するレベルにしようとする工夫があるのだと思う。仕事を始めて数年の社労士って、このヒナコみたいにズバズバ仕事ができるようになるものだろうか?
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【ヒヨコから雛鳥へ!? 若手社労士の奮闘】セクハラ、不払い残業代、バイトテロ、介護離職……社労士二年目のヒナコが、一筋縄ではいかない労働問題に怯みながらも立ち向かう!
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社会保険労務士が主役の小説って珍しい。会社とか従業員とかの関わる題材だし、結構身近な問題が採り上げられている。しっかりしているような、ちょっと頼りないようなヒナコの立ち位置が丁度良い。
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最後が駆け足になったストーリー展開が気になったなったので★マイナス1です。
しかし、第一弾と同様、労務管理に関わる知識を得るのと同時に、介護に携わりながら勤務することの大変さを知ることができました。そして、企業や社会は、活きやすいように環境を変えていかなくてはならないと感じた一冊でした。
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お話の筋書き上、どうしても会社側を悪者にしたいと思うんだけど、会社の言い分もあるよなーと思ってしまった
難しい問題
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日常のちょっとしたミステリー。
後ろめたいことがあるから秘密にしたり、少しウソをついたり、すれ違ったりすることによって、知らず知らずのうちに法を違反している。
それを謎といていく話。
労働基準法についても学べるので楽しみつつ勉強になった。
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❇︎
社労士事務所で勤務2年目の雛子が、
一癖も二癖もある雇用主と労働者の間で、
労働問題と真っ直ぐ向き合う物語。
企業として法律を守るのは大事。
でも、労働者の働きやすい環境を整えるのも
大事だと奮闘してくれる雛子の正義が眩しい。
労務に関係して発生したトラブルや疑問を
事務所の先輩たちのアドバイスを貰いつつ、
うんうん唸りながら解決してゆく姿に
ますます応援したくなります。
飴と鞭、両者win-winの落とし所や解決策を
探し出して、雇用主に提示する様には、
ヒヨコの逞しさと成長を感じます。
ヒヨコが駆け回る痛快お仕事ストーリー。
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<ひよっこ社労士のヒナコ>の2冊目。
4回目のワクチンを打ったので、休日のルーティンを全て止めて本を読む。
改正労働契約法かぁ。無期転換ルールについては2013年に施行されて実際に対象となる人が出てくる2018年まで準備や対応に結構大変だったのだが、この本に出てきたようなところも多くあったのかしらんね。
その他、未成年・年少者の雇用、労災やサービス残業、セクハラなど今回も多彩な労務問題をテーマに物語が進む。
ヒナコも社労士事務所に入って1年。法律の説明がどうしても小難しくなるし、建前で話さなければならないことが多いのだが、クライアントへの対応もだいぶこなれて、先生らしくなってきた。
まあ、普通の社労士さんはここまで立ち入らないだろうが、ヒナコのこだわりがあって法律や建前だけで片付けない話の運びがまあ良しとする。
前作の感想に『わざわざミステリーっぽくすることもなかったように思った』と書いたが、今回も一応謎は解けたが、言い逃れされたら逃げられちゃいそうな詰めの緩さが多かったのには減点。
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〈ドラマ化したら絶対映える作品〉
新人社労士のヒナコが「あるある」な労使トラブルを天性の推理力で解決(?)に導く「日常系ミステリー短篇集」第二弾。
・社労士という新鮮な視点
主人公が社労士という新鮮な職業設定を活かした人間ドラマとして質の高い作品である。
(社労士より名探偵のほうが向いているのではないだろうか?とつっこみたくなる部分もあるが…)
・キャラ設定のリアリティ
あからさまな悪役(ヒール)として描かれる人はこの作品には出てこない。人間模様にリアリティがあり、読み手の違和感は少ない。
新人社労士として奮闘する「ヒヨコちゃん」がどんどん成長してしまうのはなんだか寂しい親心もあるが、第一弾の「ひよっこ社労士のヒナコ」の頃より少し頼もしくなった姿が描かれ、成長ぶりも楽しめる。
ドラマにも向いている作品だと思うので、いつか映像化しないだろうかとひそかに妄想している。(テレビ局の方お願いします!笑)
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職場で起きる労務問題を、法律に従って解決することの難しさを感じさせられた。法律を守れというだけでなく、どうやれば守れるか考えないと進まない。その点、ヒナコの成長が見られた今作でした。
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社会保険労務士として会社の労務相談に乗る雛子。どれも働いていれば一度は遭遇し、またはその時に向けて備えたほうがいい案件。
介護や育児はお互い様、といえど実際周りでカバーしている人に不満が溜まれば立ち行かなくなる。
万引きは軽く扱われすぎ、それで閉店するお店がどんなに多いことか。中高生で遊び半分でやる人間もいるし問題の深刻さを考えていない。
セクハラで騒いだ漆戸課長て器が小さすぎて上に立つのは無理でしょ。
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らせん階段を上へ がとても良かったです。私は自分なりに仕事に向き合って真面目に取り組んでいるけど、何か報われない、仕事に対しても自分に対しても満足できない、そんな気持ちで日々過ごしています。それでも、物語の最後に綴られた言葉が、私に寄り添って背中をさすってくれるようで、背中を押してくれるようで、「また頑張ろう」と少し前向きな気持ちになれました。
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社労士ヒナコ第二作。老人ホームの調理師を辞めさせたい、残業代を請求しない社員、セクハラ、介護で時短要求など経営者側の要求にどう答えるか?
必ずしもクライアントの要求にストレートに応じないヒナコがいい。クライアントが悪いことがよくある。社労士の関わる広範の業務を知れるのもいい。
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シリーズまとめ買いしたので一気読み!
前作よりさらにミステリー色が濃くなっていて、パワーアップした雛子の推理力も見所です。
本好きとしては、書店の存続問題がテーマの『わたしのための本を』が特に刺さりました。