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丸山眞男の孫弟子(田口富久治の弟子)を自称する冨田氏と「哲学的YouTuberじゅんちゃん」の対談及び淳ちゃんの書下し文。淳ちゃんのバックボーンが良く分かった。近代主義者との批判もあった丸山の現代的な意味、今、政治無関心層が増え、形態としては民主主義でありながら、実際には独裁主義国家の様相を示している日本(ロシアではなく、日本!)の問題点を丸山の著作から探る。「既成事実への屈服」が、「結局においてそれを是認する根拠となる無責任さ」というのは日本の戦争指導者の態度でもあり、又、私自身も自戒すべき!次の一文は心に刻みたい言葉。
「この政治的無関心が膨大になり、そのまま行けば、現状の支配層にとって有利な社会的 仕組みを変更する可能性は潰える。「政治的無関心」では、政治的には保守的に作用せざるをえない、まさに無関心は価値中立ではないということを教えてくれる良い言葉。では、無関心が社会全体で大きくなった結末はどうなる?ファシズムにつながりうるということ。我々は昔のヒトラーの演説に熱狂するドイツの映像を前にして、演説家による宣伝を警戒しなければとなりがちで、煽動を警戒することも重要なのですが、その前段階ですでに勝負がついている可能性が ある。大規模な演説集会をする前には、徹底的に政治に対する無力感や絶望感があるという丸山の指摘を繰り返し反芻する必要がある。」
なお、丸山と網野義彦を対極として一国史的な日本論、と伏線的な日本史像と表現する部分は私には想定外だったが、成程。