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絵師になるまで
2023/12/20 10:22
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
菱川師宣は、見返り美人で有名ですが、こんな過去があったのですね!吉原の女たちの小袖に刺繍がすごい。福良雀と笹の葉、波千鳥、など美しい意匠を縫い付けながら、吉兵衛から、菱川師宣へ!
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浮世絵師である菱川師宣がどう生まれ、絵師として覚醒したのかを描く半生記。それまで絵画というのは京都にお手本があり、古くから伝わる画法を頑なに守ることに価値があった。故に、将軍お抱えの狩野派のみが絵師として認められるという世の中であり、個人が画才を生かして活躍するということはなかった。そこに登場したのが菱川師宣であり、吉原と芝居小屋という「江戸の二悪」と呼ばれた最も俗っぽい場所で、男女の交わりを生き生きと描き、「狩野は古を、菱川は今を描く」と言われ絶頂を迎える。その菱川が晩年行ったことは、息子を後継者として育てることであったが、これは菱川が最も嫌う「型の模倣」であったことは皮肉。最晩年にそれに気づき、その後は静かな余生を送ったという。最後は綺麗にまとまり過ぎているきらいもあるが、その存在自体が面白く、菱川師宣の浮世絵、改めて楽しみたい。
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最初から中盤以降師宣になるまでの上り調子の部分は面白くてあっという間に読了したが、終盤の弟子たちに対する場面は昔の自分をすっかり忘れていて読むのが辛い。でも最近の本の中では圧倒的に読みやすくてサクサク読めた。偶然保田近くを通った後だったので、縁があったのかなと思った。
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浮世絵の父のような菱川師宣。
元和4年(1618年)月日不詳 - 元禄7年6月4日(1694年7月25日))
まだまだ生まれたての江戸の町で
師宣はどんな人生をおくったのか。
前半の人生にやや力点がおかれていきいき描かれている。
絵が売れだしてからの師宣は
あんなに嫌っていた狩野派と同じ道を進みそうになる。
人とは何とも愚かなものである。
吉原のお姉さんたちも辛い状況の中でも粋で
やっぱり絵師者小説は好き!
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吉原の遊び人から成り上がった江戸一番の絵師。菱川師宣。時代を写し取り、浮世絵の祖となった男の波瀾万丈の生涯。
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浮世絵師・菱川師宣のお話。菱川師宣という名前と、『見返り美人図』は知っていましたが、そもそも”浮世絵の祖”と言われることや、狩野派のような”菱川一門”を形成していたことも知らなかったので、とても興味深く読めました。江戸と上方の出版事情の違いや、名もなき絵師と名のある絵師の違いも語られていて面白かったです。何より、吉兵衛が絵師として大成していく中でかつて憎んだ狩野派と同じように、自らの工房を硬直したものにしてしまっていたのが皮肉といいますか…それに気づかせたおさわさんは素晴らしいと思います。