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薄紅色の瞳を持つことから疎まれて育った吉乃は、あやかしが花嫁探しの為に訪れる特別な遊郭に売られる。
そこで吉乃の涙には「惚れ薬」の異能がある事が発覚し、吉乃はあやかし達に狙われることに……。
あやかしの訪れる架空の遊郭で、その世界の神様に救われ愛される和風ファンタジー小説です。
桜や鮮やかな着物、華やかな遊郭の様子と、映像的にとてもきれいな話です。表紙もきれいなイラストで可愛らしい。
帯に「和風シンデレラ恋愛ファンタジー」と煽り文句が書かれていましたが、虐げられていた少女が今までと全く別の世界(舞踏会/異界の遊郭)で普通なら手の届かない人(王子様/神様)に見出されるというパターンを踏襲していると考えると確かにシンデレラ的ではあるのかもしれません。
恋愛相手の神様・咲耶と結ばれるためにはこの後花魁にまで上り詰めないといけないので、それを踏まえるとあまりシンデレラストーリーとは思わなかったですが。
主人公の吉乃は辛い育ちをしたわりにおっとりしていて人はいいのでしょうが、終盤まで終始襲われては助けてもらい、ピンチに陥っては助けてもらいの繰り返しなので、咲耶が言うところの「静かな強さ」というのがあまり感じられないのがちょっと残念かもしれません。
その分ラスト、逆に吉乃が咲耶を救う、というのが映えるともいえますが。