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信濃追分に建てたY邸
建築雑誌に載って設計者の青瀬稔は達成感に満たされていた!
しかし、Y邸に本来居住すべき施主の吉野が居住していない事に気付く!?
しかも住んでいないどころか引き渡し以降一度も居住されていない様な状態となり放置されている現状に不満と不信を抱き青瀬稔は吉野の痕跡を追う・・・
・ブルーノタウトというドイツ人建築家を本作で知りました!
・PHS、喫煙、バブル後など時代設定は平成15年前後と推測
・今迄、設計事務所の建築士を主人公とした作品と出逢った事がない
・信濃追分という地名を本作で知りました!
設計事務所の建築士視点の物語は珍しいと思います!建築業会で働き読書が趣味の人は必見です!
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とても静かな大人の小説。
中盤、タウトの建築の描写など、建築の知識がないと少し集中力を要する印象があったが、読み終わった後でも、まるで自分で見てきたかのように美術館の風景が記憶に残り、独特の読後感があった。終盤で明らかになる謎の解決は見事で、重いながらも、爽やかさがあり、作者のさすがの力量を感じた。
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今まで読んだ横山氏のイメージとはだいぶ違います。
主人公の青瀬が、吉野から依頼されて設計、建築した邸宅に吉野一家が住んでいないことが分かるが、邸宅にブルーノタウトの一脚だけが残されており、そこからミステリーが始まる。
自身の出自と父。離婚れた妻と娘。設計事務所のコンペ参加。友である事務所長。吉野。ブルーノタウト。これらがゆっくりと交錯していきます。
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手に職を持つというか、技を持ってれば食っていける。確かにそうだよなと思って生きてきた。傑作と思える作品を作り上げるってどんな気持ちなんだろうね。発想を形にできる人を尊敬します。
見当のつかない謎ばかりというより、あーこうなったらやだなーという感じの話しの流れで、過去と現在が結ばれていくところは絶妙でした。
こじつけだけど、それこそ作品全体が「ノースライト」に射されている感じでした。
最終章の青瀬と能勢のやり取りはかっこよかった。
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2022/1/13読了。
様々な人間模様が絡み合うが、どれも主軸の謎を解くための重要な話であり、濃密だけど一つも無駄がないと感じた。
建築士として建てた家にクライアントが引っ越してきていない、という渋い謎だが奥が深く、設定も最高。
家族との絆、仕事への情熱、近しい者の死からの大団円。久々に読む手が止まらなかった。
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「あなたの住みたい家を建ててください」何があったのか、先を知りたくて、どんどん読み進めた。読後感が良い。
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人生に訪れる過去と向き合う瞬間を感じた。
生きていると、対価を払わねばならない時がやってくる。
前半は、目の前に情景が浮かんできてぐいぐいと物語に引き込まれる。
私は青瀬になりきってしまった。中年男性の悲哀やナルシシズムの中に、どっぷりと浸かった。
後半、ミステリーが一枚一枚めくられていく。
最後、ご都合主義なくだりはあるが、小説にロマンがあることを受け入れたい。
理屈ではなく、涙が流れた。
もう10年若かったら、読んだ感想がまるで違ったかもしれない。作者の力量に驚いた。
以下、余談
ブルーノタウト、大学時代の建築史を思い出したり、調べたり。桂離宮や熱海にも行きたくなった。
ノースライトを、Y亭を、メモリアルを、劇中に出てきた建築物を見てみたい。去年、ドラマ化されたらしい。気になる。
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読み始めてすぐに、この話知ってる…と思い、記憶を辿りながら読み進めると、西島秀俊さん主演のドラマを観ていたことを思い出しました。
横山秀夫先生は警察関係の小説しか読んでなかったので、建築家の話の原作者と結びついていませんでした。
映像で観ていたせいか、真相に近づくまでが長く感じてちょっと辛かった。
何がどこに繋がっていくのか、主人公の生い立ちからの伏線回収…後半はぐいぐい行きました。
振り返るとあの前半はどれも必要だったのかなと思います。
面白い!と言うよりは、上手いなぁ〜と言う作品。
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500P以上の本なので、読み終わるまで日数かかるかなぁと思っていたのですが…。
2日で読み終えてしまいました。
読んでよかったー、と思えた本でした。
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行方不明のクライアント
ビッグプロジェクトへの挑戦
ふたつの大きな柱を軸に謎の真相が明らかになって
進展する物語
細かい枝の部分も一つになって物語が完結する
さわやか、スカッとする読後感
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久々に、打ちのめされた。こんなにも緻密で、周到で、感動させられる作品があったとは。
手に取ったきっかけは、ブクログ。私の拙い感想文に「いいね」してくださった方が、ご自身の本棚でえらく褒めてらしたので、気になって購入。横山秀夫作品はお初...と思っていたが、後になってだいぶ前に反落ちを読んでいたことに気がついた。
内容は、ブルーノ・タウト絡みの史実を軸に据えつつ、数多くのキャラクターが複雑に絡み合ういくつかの平行したストーリー。それぞれのストーリーは、それぞれの「事情」を抱え込んだまま進むが、破綻も無理もなく全てが結実して終わる。そして最後は、電車の中でも滂沱の涙(^ ^; しばらく余韻で動けないほどの感動でした。
一応ミステリにカテゴライズしましたが...謎解き成分はあれど、お仕事小説でもあり、ヒューマンドラマでもある。何なら「最初は何が問題なのか」すら明らかでなかったりもしますが... でも行方を晦ましたY邸の主が、なぜその家を建てたのか、なぜ無人となってしまったのかが判明するシーンで、話が大きく動くので、謎解きメインと据えました。「その後」は、Y邸こそが新たな物語の軸となりそうだし...
文体は独特で、「説明」の文があまりない印象。多くのことが主人公の目と頭を通した情報として、モノローグで提供される。「これこれこうでした。」とはっきり書かず、でも読んだ人全員が「同じ結果」を予想できる巧みなリードが、読後の余韻を増す役目を果たしている。気障ではない、粋な文章って感じ。
登場人物の「年齢」がはっきり出ているのも重要な気がする。年寄りは年寄りなりの、若い人は若い人なりの「世界観」を持った上での言動をする。そこにさらに仕事だの肩書だの立場だのが絡んできて、本当に一人ひとりのキャラが生身の人間として目の前に浮かぶ感じ。
ストーリーは完璧、文章も魅力的、キャラクターも生きているという、本当に非の打ちどころがない一冊(^ ^ それでいて、読み疲れる感じは全くなく、先へとページを繰る手を止められない。
いつも会社の行き帰りの電車内で本を読み、一冊読み終わるとすぐ次にかかるのが常なのですが... 本作は、読後の余韻に浸っていたくて、次の一冊をなかなか手にできず(^ ^; 二日経って、ようやく次を読み始めました(^ ^;
それほど「インパクトの強い」一冊でしたとさ(^ ^;
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建築士の青瀬にY邸の設計を依頼し、引き渡し後に消息を断った家族。その家には、タウトの椅子が残されて。
高度経済成長でダム建設などで潤う一方で、ダム建設で全国を渡り歩く家族。地域の人との確執。この頃から決して日本は平等ではないかもしれないけど、働くことで成長を実感できたのかもしれません。
最初は、大きな進展もなく退屈な展開が続きます。
後半、ある人物の死を中心にものごとが大きく動き出します。青瀬はバブル時代に生きたからこそ譲れない考えや生き方があるのかもしれません。
昔は良かったと言う人もいるけれど、いつの時代も人が生きている以上は、楽な時代なんてなかったのではと思います。
熱海の日向別邸は、一度行ったことががありますが、改めて本を読む中でタウトの世界に引き込まれました。
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親子関係がキーになって主人公とその他の登場人物との人生が重なって、最後の結末に繋がっていきます。あゝ良かったと思うエンディングになっているので、希望が持てる読後感でした。
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ミステリアスな謎解きから入っていくところがなんとも神秘的な感じがする
謎解きだけれど、警察は関係ない
これはある建築家のはなし
日本と関わりのあるドイツ人建築家が作った一脚の椅子も謎解きのひとつで
それも少し高貴な印象を与えているのかもしれない
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建築業界の話は個人的に好きだし、普通に面白かった。
でも何かが足りない。物語に浸かりきれない感じが少しした。謎にそこまで惹かれなかったのかな?