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紙の本
知的な刺激に満ちたミステリ評論
2009/03/19 11:54
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アイオロス - この投稿者のレビュー一覧を見る
かなり抽象性が高いはずの「ルイス・キャロル論」もすっきりとした議論の展開で説得力があり、また、木村毅の比較文学論でつとに有名な『金色夜叉』の種本作者であり明治文学に多大な影響を与えたバーサ・M・クレーやヒュー・コンウェイ、黒岩涙香をめぐる考察はミステリを読んでいるような知的興奮を与えてくれる。
私も買ったまま書棚に眠っている何冊ものバーサ・クレーの作品をこれから丁寧に読んでみようかという気にさせられた。
神智学のブラヴァツキー夫人がイギリス知識階級に与えた影響の大きさを手短かにまとめた章も著者の目配りの良さをさりげなく感じさせる。
丹念な調査から生まれたいくつもの発見を大騒ぎせずに書き記していく落ち着いた筆致にも好感がもてる。
一点、気になったのは第三章で、「ルドルフ・カルモア準男爵」なら貴族ではないのだから「ルドルフ・カルモア卿」も「ルドルフ卿」も「カルモア卿」も呼称としてはあり得ないだろう。この著者ほどの論者でもイギリスの階級制度については認識不足らしいのは残念。
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