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隠れ切支丹をルーツに持つ弔月島。
そこで遭遇する宗教的な雰囲気を纏った怪奇と、順繰りに語られる幾つかの退廃的/冒瀆的な物語には不思議な求心力があって、高いリーダビリティーに引き込まれた。
異常心理学を駆使して事件に光を当てる解決編。
でもその光と、光の後ろにできた影が、同じ質量を持っているようで。
本格と変格の定義もいまいち掴みきれてないにわかだけど
全体的な雰囲気と、各人物の背負った物語の発散と、それぞれの解釈をディスカッションし合う様子とを眺めているだけでも無性におもしろく感じた。読み物としておもしろい。
異常心理学的アプローチの推理も最後は綺麗なアクロバット。
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この作品は倉野憲比古作品のファンにとっては待望の一作となった。
本作はあらすじの通り、本格のガジェットが大いに揃った作品だ。
しかし著者は「本作は変格探偵小説なのか? はたまた異形の本格なのか? 読者諸賢の御判断に委ねたいと思う。」と語る。
そういった視点で読んでいくのが楽しい作品だ。
10年ぶりの再デビュー作ともいえるこの作品は、登場人物こそ前作にお馴染みの三人だが、シリーズの要素を知らずとも単体で読むことができる。
一方で、複雑なバックグラウンドはおそらく意図的に削がれており、むしろこの三人が何者なのかがわからない可能性はある。
もしこの作品から倉野作品に入った読者は、シリーズ前二作を読んで『スノウブラインド』の衝撃と『墓地裏の家』での三人の物語を追いかけてみてほしい。
物語としては冒頭から惹き込まれる内容で、作者の趣味も盛り込まれていて面白い。
登場人物たちの抱える愛憎や、病理、そして思惑がうまく描かれていて、謎が次第に歪な形の「解釈」へと了解されていく様は倉野ミステリの醍醐味だ。
作者の小説や、変格ミステリの入門としては相応しい作品だろう。
シリーズにお馴染みの「了解操作」による事件の解釈、そしてその奥に存在するもの…………
変格探偵小説か異形の本格か。
まさにそんなテーマを常に突きつけられながら楽しんだ作品だった。
詳細レビューはブログにて
https://x0raki.hatenablog.com/entry/kuranonorihiko%EF%BC%BFmatome
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夷戸シリーズ3作目。
隠れ切支丹、宗教、異常心理と今回もウキウキしちゃったな。オカルティックな結末を推したい根津、現実的な結末な夷戸のそれぞれの薀蓄も楽しい。私は好き。
それにしても、夷戸君は初心というか、恋愛偏差値が低すぎて面白……かわいいね!
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隠れキリシタンの島、血生臭い伝説、洋館、異形の兄弟、作られたトラウマ悪魔の復活等舞台と要素が揃っている。