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簡潔でリズム感のある文章で、いつもながら、安定したうまさを持つ作家さんだと思う。
ユニークなテーマでありながら、シンプルな(そしてとても大切な)メッセージを伝えている。「孫係」「ドブロブニク」が特に好きだった。10代、20代で読んだら、もっともっと感激しただろうな。すごくおすすめです。
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短編集は初めてかな。常識とか普通とかいう、さも賢しらな言い方でかけられた呪いを、上手く解きほぐすためのおまじないが多く含まれた逸品。さすが、短編も良いですね。
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「燃やす」
深入りしないおじさんの優しさ
苦しい出来事や言葉は燃やして、前に進めますように
「いちご」
頑固でまっすぐな浮ちゃんと、表と裏を使い分ける?私
いちごのことだけを考えてパック詰をする浮ちゃんと、いちごの先にある映えや好感度を気にする私の対比。
「孫係」
『私だけがなんだかひねくれ者なのだ』
『素敵ではないです。全然素敵ではない。でも私は大好きでした。』
いい子のふりをする自分が嫌いだけど、それでもいいのかなあって思えました。
「あねご」
優しくて強い。1番気に入った作品
一見カッコ悪くて悲惨で馬鹿みたいでも、踏ん張って頑張ってる人はかっこいい
人の弱さを理解できる人は強くてかっこいい
最初の4つが特に自分の気持ちに当てはまりました。
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孫係、燃やす、マタニティが響いた。
とくに孫係は、無理に心からのいい子になる必要はないと伝えてくれる作品だった。自分の心にあった黒いものを肯定してくれるような言葉たちと出会えた。私は昔から周りに恵まれ、優しくていい子が多かった。「いい子の友だち」に合わせているけど、どこかその子たちを馬鹿にしたり見下したりする時もあってそんな自分が汚く卑しいと思った。でも決してそれは表に出さなかった。誰にもこの感情を現したことは無かった。この気持ちを外に出したら本当に自分が嫌な汚らわしい人間になると思った。「正直なことと優しいことは別」という言葉に今までモヤモヤしていた気持ちが浄化されるようだった。私は、いい子の友だちの「いい子の友だち」の係を全うしようと心に決めた。
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かっこ書きが多いのが気になって、私にはあまりハマらなかったかも…。でもいいお話がたくさんでした〜。
私的には「燃やす」と「孫係」、とても良かった
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全体的に少女から女性に変わる間の葛藤を描いている感じ。
「孫娘」は本当の自分と他者に見せる自分との差に悩む気持ちがすとんと楽になる話で、自分が10代のころこんなことを言ってくれるおじいちゃまがいてくれたらどんなに良かったか、と思った。
「マタニティ」も母性や母親像を押し付けられることの辛さが身に染みた。母性は絶対じゃない。イライラすることだってあるのに、それが許されない社会は強くない。
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どの作品も良かったが、特に孫係が良かった。今の世の中、皆が表と裏の顔を持ち、よく見られたいという気持ちがあると思う。信頼できる関係だから裏を見せ、バランスが取れるよう、気持ちをなだらかに。そんな裏を見せられる信頼関係が出来たら良いなぁ。裏も表も無い人格が一番なんだろうけど…。
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人生の転機はドラマチックに訪れるのではなく、日常に溶け込むかのように、当たり前の流れの中で起きるのだと思いました。
その中でそれぞれの主人公たちが、自分の意志で決断をしたり、進む道を決める姿がとても素敵だなと思いました。
普通に見える女性でも、みんなが悩み、考え生きている"当たり前"が繊細に描かれていて、とても共感できました。
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最近、自分の周りで結婚ラッシュと
ベビーラッシュが到来した。
気軽に友達と会えない時期がこの1・2年続き、
一人の時間が多くなっている、失恋しているのも原因なのか、不安と孤独を感じていた。
他人と比べてしまい、周りの世話ばかり気にして
結局良い人で終わる。
周りは幸せで、それは幸せのはずなのに、気がついたら置いてけぼりをくらった感覚になっている。
そう思う自分も嫌だった。
結局は自分の問題なので、何とか生きるヒントが無いか探してる時に、「おまじない」に出会った。
こうあっていたい理想と、なれない現実。
自分で作ったキャラクターと、演じてない本当の気持ち。に悩んでいる人に、力を抜いても良いんだよって言って貰えるお話が多いと思いました。
「孫係」「ドブロブニク」が好きでした。
"誰かを祝福するとき、そこにどんな含意があろうとも「おめでとう」という五文字の発するその美しさは、独立してそこにある。何にも汚されない- "
思わず、声に出して「おめでとう」と言いました。
長濱ねるさんとの対談も、共感することばかりで、
読めてよかった。
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燃やす、孫係、いちご、あねご、オーロラ、ドブロブニク、マタニティ、ドラゴン・スープコンプレックス。
いろんな立場の人が登場人物で、そう言う人生もあるのかーと言う感じだった。
ただ、何が言いたいのかわかったのは孫係、あねご、マタニティだけで、後は何が言いたいのかあまりわからなかった。多分、私がそのような境地に達していないからかもしれない。
割とはっきり結末を言わない話が多くて、考えさせられるので、同じような境遇を体験しないとよくわからないのかな、、、
長濱ねるさんの特別対談読みたかったなー
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久しぶりの西加奈子さん。
誰にも言えない苦しみや悲しみにそっと寄り添い、心をほどいてくれる8編の短編集。
「燃やす」がよかった。
ずっとズボンを履いていたけれど、自分が「可愛い」ことに気づき始め、そして「可哀想な目にあってしまった」女の子と、焼却炉でただひたすら何かを燃やし続けるおじさん。
あんな風にニュートラルに、目の前の子どもを子ども扱いせず、特別扱いもせず、自己肯定感を取り戻してあげられる大人がどれだけいるだろうか。
根深い呪いを解くためには、励ましも同情も必要ない。ただ、ありのままを肯定してあげるだけ。
私が可愛いことは、悪くなかった。
「孫係」もよかったな。
わたしたちはみんな、世界の中で自分の役割をこなしている。周りが望むことを全力でやって、疲れたら、本当に信じられる人にだけそっと悪態をつく。
そう思うと明日からの人生が少し楽になるような気がするな。みんな演じているだけ。うまくやろう。
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友人に勧められ、初めて読んだ西加奈子さんの本。
「燃やす」と「孫係」が特に印象深く、女性ならではの悩みに寄り添ってくれるような本でした。
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「素敵だね、おばあちゃま。」
「素敵ではないです。全然素敵ではない。でも私は大好きでした。」
「自分が弱い人間なんだってはっきり自覚したら、ぼく、強がってたときよりなんていうか、生きやすくなったんです。自分の弱さを認めたら、逆に強くなれたんです。」
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設定や登場人物はさまざまだけれど、
どの話も既視感のある感情や悩みと出会える、そんな小説。
本当の自分ってなんだろうと悩むことも多かったけど、
結局全部自分で、月並みな表現だけど自分の感覚を信じて大丈夫って思えた。
西加奈子さんの小説には、愛が詰まっていて、定期的に戻ってきたい原点みたいな感じ。
その中でも、特にこの本は読み返すことが多くなりそうな予感がしています。
特に『いちご』『孫係』『あねご』が印象にのこりました。
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どんな人にも寄り添ってくれる、全話女性が主人公のショートショート。終始温かい言葉で紡がれていて読んでいてとても気持ちが良かったです。
人気作品「孫係」はやはり印象に残る話で、フレーズメモにもこちらから抜粋させて頂きましたが、一番今の私にストンと嵌ったのは「マタニティ」でした。
私はまだ妊娠も結婚もまったく想像のつかない立場ではあるものの、主人公が周りの目を気にしながら葛藤する様に酷く共感し、そして最終的に「ただこのからだで生きてゆくのだという、妙な実感だけ」を持って立ち上がる描写に、なんとも言えぬ勇気を貰いました。
対談で西先生が仰っている通り「弱さを認める」ということが大きなテーマとなっている作品。「弱い自分を認めることは怖いけど、そうしないと自分を好きになれない」。
人生をパッと明るくするような名言や教えはないけれど、今の弱い自分をそっと抱き締めて背中を押してくれるような、温かい力のある一冊でした。