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平安時代の男子の1日の生活、ファッション、職場の上下関係、儀式やまつりに追われる日々、キャリアアップにまつわる話、恋愛など、実在した行成、道長を中心に現代風に置き換え、紹介している。
平安男子の1日の流れが興味深かった。
水時計(この仕組みについて、図解が欲しかった)で時を測り1日の始まりに鐘をならす風習や、起きてすぐ、自分の運命を支配する星の名前を呟いたり、食事や初めて知ることが多かった。
頭中将が蔵人頭と近衛中将を兼ねての呼び名だったりと上限関係が分かりやすかった。
源氏物語を読む前提として当然知っているのと知らないのとでは、ちょっとした受け取り方が変わってくるように思う。
恋愛事情で空蝉の弟(小君)と源氏がBLまがいな雰囲気だったというが当時の人は、どう読んだのだろう。BLが当たり前だったのか、ありえない設定だったのか?
そういうことが書かれてい文献もあるのだろうか。
道長が野心家だったり、糖尿病だったことや、妻の倫子が90歳と長寿で、影子も87歳と長寿家系だったこと、影子の女房は40人近くいたことなど、具体的で、道長一家は平安時代を代表する貴族で、それだけに現実味がなかったが、やはり実在したのだなと妙に納得した。
当時の日記で、死にゆく自分の子供を穢れがうつるからと看取らない行成の様子など、当時の人の考え方を知ることができたり、他人の出世を羨んでディスっていたりと現代人と変わらない部分が知れたりと貴重な資料なのだと実感した。
ただ、個人的な日記が千年も残って後の人々に見られているとは当人も想定外だろう。
行成くん、や清少納言をせいちゃんなど、親近感がある表現や、話し言葉や現代風の喩えで書かれているので、講義を聞いているような気分になり、頭に入ってきやすい。
人間関係がどうだったか確認することが多かったので、所々の系図はあるが、紹介されている人物が一目でわかる系図があると、もっとわかりやすいと思う。
著者が訳した古典があれば読んでみたい。
あとがきから、筆者の病状が気になった。
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川村先生の岩波ジュニア平安シリーズ第二弾。先に後発の女性作家編を読んでたので、これにて三部コンプリートということになる。
大河のおかげで、かなり平安の世がビジュアルとしてイメージしやすくなったこともあり、まぁサクサク読めること読めること。
最初の方に出てくるのは、行成くん。ドラマでは渡辺大知くんかな⁇ たまに見知らぬ人が出てくるので、調べてみると、「あ、兼家のご兄弟!?」と当人の顔こそ思い浮かばなくとも、段田安則さんの…という感じで読めてしまう。中には、割と最近のエピソードの元となってるらしい部分もあり、とにかく読むなら今を置いてないという感じ。
これも他のと同様、思いっきり現代語なので、そういう語彙に慣れてない方には不向きかもしれないけど、普段ネットを見ている人なら大丈夫ではないかな⁇
そして、単なる平安男子の暮らしの紹介本だけでなく、川村先生なりの若者に向けてのメッセージが込められてるのも魅力の一つではないかなと思う。
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『平安女子〜』の内容にも言及されているため、続けて読むとなおよさそう。こちらもとても読みやすい。
平安男子は朝早くからハードワークなんだなぁ…と思って大河を見ると、やっぱりいつもみんなでだべって噂話して、のんびりしているような。行成、伊周、道長のエピソードなど、ちょうど今やっている大河の副読本にぴったり。この前伊周と道長の矢のエピソードもあったなぁ(伊周が嫌なヤツにされていたが)。服装の説明はあったけど、烏帽子の説明がなくて残念(大河で烏帽子がスケスケなのが気になっている)。