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本好きな人なら興味を持って読めるかな。
「深夜プラス1」、冒険小説を読んでた頃に憧れてた飲み屋やなぁ。
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馳星周がまだ坂東齢人であった頃の青春記。
新宿ゴールデン街の飲み屋でアルバイトしながら酔っ払いたちと過ごすしがない生活の日々をフィクションに仕立て上げている。こんな馳星周は初めて読むけど面白い。
解説の北上次郎も楽しい。
バンドーに訊け!が絶版になっているようで書店で手に入らないのが残念。、
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馳星周の自伝的小説!
舞台は新宿のゴールデン街、時代は古き良き時代の昭和末期!!!
こんな街で呑んだくれることが出来たら!
こんな店で小説のことを語り合えたら!
こんな人達と毎日出逢えたら!
どれだけ人生を謳歌しダメ人間(必ずしも悪い意味でなく)に成っていくんだろうなぁと思いました。
大学の合格とともに北海道から上京してきた坂本は新宿ゴールデン街の伝説の酒場【マーロウ】でバイトをしている!?
店主の斉藤は一時代を築いたコメディアンで今は書評家、シラフの時は良い人だが酒を飲むと人を傷つける権化と化す。
そんな酒場でバイトする主人公の坂本、同僚の田丸、オカマのリリー、憧れのホステス葉月と、マーロウに通う常連達の日常青春小説かと思いきや・・・殺人事件!?
でも、間違いなく泣ける青春小説!
昭和生まれの今に少しだけ疲れているサラリーマンに是非読んでほしい一冊!!!
作中の『自分の嫌いな人に自分が似てくる・・・』
認めたく無いけど心に刺さる。
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一昔前の新宿の雰囲気が想像できて、そこにいる人達もリアルに描かれていた。とても大学生らしからぬ日常が酷くもありながら楽しそう。
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馳星周とは、彼が未だ実名の坂東齢人であった数年間に、交流をさせて頂いた。馳星周を当時ぼくはバンと呼び、十歳ほど年下の彼は、ぼくをシュンと呼び捨て、本書の後書きにもある通り、タメ口をきいていた。真夜中まで続く延々酒呑みながらの彼とのチャットは情報量においても感性においても楽しく、ぼくを連日の寝不足に追い込んでいたものだ。
未だインターネット前のパソコン通信という時代。ぼくが冒険小説&ハードボイルドフォーラムのSYSOP(管理人)をやっていた頃のこと。オフラインと言って通信だけではなく現実に酒を飲んだり旅に出たりもしていた頃の話だ。
ノベルズライター時代の彼が、執筆作業に専念したいので半月ばかり都会の誘惑から遠ざけてくれと頼まれ、那須の山奥の温泉宿に置き去りにして来たこともある。当時の彼は、ノベルズ・ライターの他、ゴーストライターをやったりもしていたが、何より『本の雑誌』の書評欄で人気を博していた。
ぼくの管理していたフォーラムには、プロ書評家の関口苑生、本の雑誌での書評仲間・吉野仁がアクティブに関わっていたし、翻訳家や新進作家たちも、街で開催する宴に顔を出してくれたりと、それなりに中身もメンバーの内容も濃く、運営自体辛いことも多い代わりに、概ね楽しく貴重な出会いをいくつも経験をさせて頂いた。作家・香納諒一さんともこの頃からのおつきあいになります(ネット上だけですがいずれお会いしたいです)。
メンバーでは時に地方に出かけることもあったが、都内での飲み会がとても多く、二次会三次会と人数が減ると最後には日本冒険小説協会の運営とされるゴールデン街『深夜プラス1』に顔を出すこともあった。この店の店長が、かつて一世を風靡したトリオ・ザ・パンチのリーダーであり、この頃は『読まずに死ねるか』などのレビュー本でも知られた内藤陳である。
馳星周が深夜プラス1で働いていた本書の時代は、その数年ほど遡った学生時代である。その頃の実話にエンタメ度を加え、小説としていわゆる「読ませる」形でアレンジされたものが本作だと言ってよいだろう。いわゆる私小説である。ぼく個人としては、彼から聴いていた主観的個人史の一部がここで懐かしく開陳されているのを改めて読む、という不思議な読書体験を味わせて頂いたわけである。
特に本書でも肝となる部分は、本人からことある毎に繰り返し聴いていた通りだった。酒乱の店主に辟易して苦しんでいた学生バイトである主人公が、店を引けてから毎夜のように逃げ込んで助けられていたおかまバーのママとの優しい時間の物語である。
実際のリリーのモデルとなったおかまバーには、最初はぼくも当のバンに引っ張られて訪れた。「深プラのバイトで精神的にまいっていた自分は、ここでいつもママに救ってもらっていたんだよ」と酔って話すバンと、自衛隊上がりと称する外見筋肉オジサンなママの優しい母性? が、妙に親密でいい空気を作っていたことが、何よりも忘れ難い。本書ではその時間を何度も再体験させて頂けるのでかなり嬉しい。
そういう意味でぼくはこの作品に対しては、一気読みに近い懐かしさと、今は全く交流がなくなった天上びと直木賞作家・馳星周が、今もこの頃を懐かしんでこんなにあたたかい物語を紡いでくれている事実に、改めてほっとため息を吐きながら、抱きしめるように大切にこの本の一ページ一ページを味わわせて頂いた次第なのである。
個人的過ぎて、あんまりブックレビューになっていませんがご容赦! そして、ゴールデン街を過ぎていったあのいくつもの夜たちに乾杯!
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一昔前の下宿学生の一コマなのか、青春というには泥臭くて、お酒にまみれて、居た堪れない部分もあったりと。でも、気取ってなくて人間らしくて、主人公の姿が若くて。読んでで微笑ましかったな。
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爽やか、とはいえないけれど、ほろ苦くすてきな青春小説。登場する飲んだくれたち、どれもこれも愛おしくなる。関西の片隅の学生としては「深夜プラスワン」という名前を聞くしかなかったけれど、そうか、あの頃のゴールデン街てこんな街だったのか。それにしても馳星周、うまいわ。そして、新作の紹介の中で「大神明」なる登場人物がいて「?」と思ったけれど腑に落ちたわ。『月の王』も読みたくなったし、ウルフガイシリーズも読みたくなったわ♪
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若いっていーな!自分も大学時代に戻りたくなりました。悩みも、喜びも、友も大事な宝ものですね!
人間一生に呑める量は、決まってるとか?ゴールデン街の皆さんは、飲み過ぎです!こんなに朝まで飲むの?
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めっきり読んでいなかったが、最近妙に懐古的なので10~20代の頃ハマっていた馳作品を久しぶりに読みたくて、まだ未読の作品を。
ページを捲って即没入。
何も知らずに読み始めたのだけど、途中でやけにリアルな人間模様に「?」となって調べると
どうやら馳さんご自身の自伝小説に近い作品なのだとか。
新宿ゴールデン街を舞台に、北海道から出てきた小説好きの青年がディープなバーで働き始めてからの成長(?)記。
ミステリー要素を重ねつつも、実際に体験したからこそのリアリティに長けた描写が沢山。
呑み屋に生息する人間たち特有の濃くて浅い人間関係、強くて脆い精神。寂しい病。
飲み明けの空を眺める背徳感。
毎晩繰り出す酒場。嫌気が差しているにも関わらず、戻ってきてしまう矛盾。
二日酔いの癖して、迎え酒でスタートを切る夕方。止まらぬ煙草。止まらぬハシゴ酒。
そこかしこに20代の自分と重なる描写が描かれていて、歌舞伎町の街並みや、馴染みの店の数々、マスターや常連の顔、手に取るように思い出されて、どこかとてつもなく愛おしくあの頃がとんでもなく懐かしくなってしまった。
街は変われど、小説に出てくるような人間関係は今もどこかの飲み屋街で存在しているはず。
濃過ぎて脆い中毒性のある場所は、自分を見失うと溺れる反面、いつか次のステップを踏めた時、そこで過ごした時間がとんでもなく愛おしい経験になる。
みんなみんな、寂しくて脆い癖して、精一杯模索して強く踏ん張って生きている。人と自分の弱さを知った時、初めて強く優しくなれる気がしている。
久々の馳作品は、テンポが良くとても人間臭くて、やけにノスタルジックにさせてくれ、この先何年経っても読み返したくなる作品になってしまった。
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馳氏の学生時代、「ハードボイルドだどッ!」で売れっ子芸人となった内藤陳氏が経営していた酒場「深夜+ワン」で、夕刻から朝方までアルバイトをしていたことは有名な話だ。
私も学生時代に先輩に誘われて3〜4回ほど足を運んだ記憶があるが、独特ともいえる雰囲気に馴染めず、その後新宿は遠のいた。
私がゴールデン街へ出掛けた10数年後に、馳星周氏はこの地で酔っ払い相手にアルバイトに精を出していたのだろう。
この物語を読む前までは、馳星周氏と内藤陳氏が店内で酒を飲み交わしながら、和気藹々と文学論などを語り明かしていたのだろうと想像していたのだが、実際には大いに異なっていたようだ。
内藤陳氏の酔っぱらい加減は半端ではなく、酔った上での無理難題に対し、馳氏は終始我慢、忍耐、許しの精神でアルバイトに励んでいたようだ。
アルバイトを辞めた後、ゴールデン街の他の店には顔を出していたみたいだが、内藤氏が経営する酒場「深夜+ワン」には、一度として顔を出さなかったとのことだ。
馳氏の自伝の要素以外にも殺人事件などが絡み、小説としても楽しめる内容だった。
馳星周ファンには必読の一冊となる。