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テレビドラマ『99.9-刑事専門弁護士 完全新作SP 新たな出会い篇』が2021年12月29日に放送されました。映画『99.9-刑事専門弁護士 THE MOVIE』公開前夜祭と銘打った新作ドラマです。コミカルなタッチながら現実の冤罪事件を連想させる社会性の高い内容でした。映画が好調な漫画『呪術回戦』も最新巻の18巻で日本の刑事訴訟の有罪率の高さの不合理を指摘しています。
伝統的な冤罪事件は警察官や検察官の勝手な思い込みで犯人と決めつけられるパターンです。今回のドラマでは最初から冤罪を作るパターンが描かれました。ドラマの冒頭に描かれた冤罪事件は建設問題の告発者を虚偽の告発で陥れるパターンです。
現実に愛知県名古屋市瑞穂区のマンション建設反対運動のリーダーが現場監督の胸を両手で突き飛ばしたとして暴行罪で逮捕・勾留・起訴されたが、無罪判決になった事件があります。同じく冤罪をテーマとしてドラマ化された小説『白日の鴉』も貧困ビジネスを隠すために虚偽の告発で冤罪を作出しました。
https://alis.to/hayariki/articles/anL9o76ke65O
ドラマの中盤から描かれた冤罪事件は収賄容疑です。現実では高知県香南市発注工事を巡る官製談合事件で起訴取り消しが起きました。この事件では市住宅管財課の男性課長が価格を漏らしたとして官製談合防止法違反などで逮捕されました。その根拠は他の逮捕者の「課長から価格を教わった」との自白でしたが、その自白が虚偽でした。ドラマ制作時間を考えれば高知県香南市発注工事を踏まえて脚本を作る余裕はないでしょうが、タイムリーな内容になりました。
裁判では証拠の手紙の不自然さに気づくことが鍵になります。結びの文章の後に内容のあることを書くことは不自然です。これを不自然と気づける人は教養があります。手紙に追伸を多用していると、この不自然さに気づけなくなるでしょう。
追伸は手紙を筆で書いていた時代に本文を書き直す手間を省くために使うものです。このため、追伸文を書くことは「あなたは手紙を書き直す手間をかける必要がない存在です」と言っているにも等しいことになり、失礼になります。パソコンで文章を書く場合には容易に文章の挿入ができるため、追伸は不要になりました。漫画『銀魂』第7巻の第54訓「人の名前とか間違えるの失礼だ」には追伸の使用をカッコいいと勘違いする無学者を風刺するギャグがあります。
『99.9-刑事専門弁護士』はSEASON Iでは検察の問題、SEASON IIでは裁判所の問題を描きました。2021年の新作ドラマでは検察とグルになって冤罪を作る弁護士が描かれます。司法の闇に光をあてていくドラマです。
SEASON IとSEASON II、2021年の新作ドラマでは女性弁護士が変わります。SEASON IとSEASON IIでは深山大翔弁護士(松本潤)に反発する役どころでした。今回は弟子になる点が新しいです。