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去り行く人を見送る事は、確かに辛い。だがその苦しみはいずれは自分もこの世を去る事実を忘れたがゆえの、不遜な苦しみなのだ。誰もが死の定めを逃れられぬ世であればこそ、残された者は限りある命を慈しまねばならぬ。そしてその輝きを目にすることで、此岸をさる者たちは自らの生の美しさをはっきりと悟り得る。
石見銀山でのお話。
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時代物なので難解なのかと警戒して読み始めだが、読みやすく、どんどん話に引き込まれていった。死についての解釈が良かった。
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石見銀山を舞台とした江戸時代の時代小説。
千早さん「しろがねの葉」読んだばかりなので、その後の石見銀山が見れてよかったです。
「しろがねの葉」のような骨太の歴史小説ではなく人情時代劇風なのも描かれた時代の違いという感じがあってよかったです。
ただ、著者の作品としては古代・中世の歴史小説の方が好きでした。
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江戸時代の島根県石見銀山(大森町)を舞台にした作品。
千早茜さんの『しろがねの葉』を読了後、読みたいリストに入っていた同じ地を舞台にしているこの本を読んだ。
歴史小説と分類されるのかは定かではないが、主人公からみたこの地を描いた『しろがねの葉』とは対照的に、『輝山』は石見銀山の地とそこに根付く人々をトータルで描きだそうとしたように思える。それがゆえに「江戸から派遣された代官所の中間である下っ端の役人」というこの地にとって外様といえる存在を主人公に据えたのかもしれない(主人公の色は強くなく、あくまで時代を反映したよくある役人の一人)。
この時代の説明や、江戸との関わり、温泉津をはじめとした隣町、商人たちとの攻防など、ともすればまどろっこしく、わかりづらく、書き手からすれば端折ってしまいたくなるかもしれないものも含められている誠実な作品に感じた。たくさんのものを取りこぼさまいとした結果、視点や情報がずれて描写が飛びがちになり、小説としての入り込みやすさはやや物足りなく感じるかもしれない。それでも、分散していた背景や視点が、最後には人間模様に収斂していくさまには筆者の力量をみることができたと思う。
石見銀山を訪問する人であれば、『しろがね~』よりもこちらが圧倒的におすすめ。
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しろがねの葉と同じ石見銀山の物語、と聞いて手に取りました。
銀山で暮らす人々が皆、本当にいきいきと描かれていて
素晴らしかったです。
堀子の男達は、その職業病ともいえる病気で皆長くは生きられない。自分の短命がわかっているからこそ
短い一生を、情熱を、命ある限り山へと注ぐ。
その一生を思うと切なくなりますが
物語は、気持ちのいい終わり方で良かったです。