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表紙がハマスホイという時点で買ってしまうわけですが、”読書セラピスト”ってちょっとマユツバ(すみません)などと思いながら読んだ。だって、職業として成り立たせるのは相当難しいよね。まあ、本を紹介するセラピスト、ということで。
ミステリ度は弱いと思うけれど、ミステリ仕立ての読書案内、として面白かった。本の選択も幅広く、意外なものもあるし。出てくる本を知らなくても楽しめるとは思うが、でもやっぱり『ウェイクフィールド』は読んでいたほうが、より意味付けが深まるんじゃなかな。
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元国語教師のヴィンチェは、恋人と別れ、職もなく、ローマのワンルームで読書セラピーを開業する。
癖の強い女性客を相手に内心冷や汗をかきながら対応する日々。
そんな中、階下に住む、老婦人が失踪した。
警察や隣人たちは同居の夫が殺したのではと疑うが。
ヴィンチェは行きつけの本屋の友人から、失踪したパロディ夫人が残した小説のリストを手に入れ、彼女の失踪を考え始める。
心理的症状を緩和する本を薦める読書セラピストが、失踪した老婦人の謎にせまるというので、もっと淡々と冷静に展開していくかと思えば、生い立ちから彼女との確執とか悶々と長々と語られて、何度も挫けそうになった。
欧米文学もあまり読んでないから、詳しい人はもっともっと楽しめるんだろうなあ。続編もあるようだし。
「彼女の身体は、T.S.エリオットの『荒野』に劣らず荒れ果てていて、オフェーリアと同じ狂気を、あるいは五十九歳でウーズ川に身を投げたヴァージニア・ウルフの最後の視線、あるいは、マルデルプルタの波に身をゆだねたティチーノ州生まれの若き女性詩人、アルフォンシーナ・ストルニの最後の視線を含んでいた。
いくつもの溺死の例がぼくの心に浮かんできた。自宅プールに落ちるグレート・ギャッツビー、深淵に飲み込まれるエイハブ船長、身投げするマーティン・イーデン、首に石をつけられ沈むピノッキオ。」
「想像するとか、思うとか、違いないとか…自分が物語の語り手と同じ表現を使っているのに気がついてる?」
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本の持つ時間が短い、とでも言おうか。
ミステリが主軸かと思ったら違った。
かと言ってセラピー側でも人は出てくるけど皆同じような。
どれも会話の結論が早くて理解できなかったり共感や反感を感じる時間がなく進んでしまった。イタリアかフランスかその国の人ならわかるのかもしれない。そういうテンポで会話するのだろうか。
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本の内容を引用している?部分は難しくてほとんど流し読みしてしまいました…
個人的に想像していたのと違ったのでこちらの評価にしましたが、コンセプトとしてはおもしろいと思いました
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「読書セラピスト」https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488016791 女性の失踪をベースにした一応ミステリーだけどこれは読書ガイドというか本好きが本好きを再確認するための本かな。さらに相談にくる女性が全員ちょっとテンプレすぎるというかめちゃバイアスある感じで人物造形がとても薄味なのが惜しいな(五木寛之とかハルキムラカミに出てくる女性みたいな)もうそういう時代じゃないんよ。。
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後半ではミステリー要素が漂うものの、ほぼ全編に文学的素養が詰め込まれ、実に豊かな読書体験となりました。これほど教養の何たるかを突きつけられたことはありません。このような会話をしてみたい、と心底思ったし、膨大な読書経験の中からこれと思う場面が引き出せるヴィンチェは尊敬しかできません。たくさん本を読んできましたが、自分の人生を象ってはいないなあ、としみじみ思ってしまいました。ミステリーばかり読んでるから仕方ないんですけどね。ヴィンチェの語りで文学の素晴らしさを改めて感じました。文学を学んでいた学生時代も思い起こされ、素敵な余韻に浸れました。こういう作品も読んでいきたいな、と思えています。そして、私もヴィンチェのドアを開けてみたいです。
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読書セラピストが下階の失踪事件容疑となり、さまざまな女性の話を聞きながら、容疑を晴らすストーリー。
小説を前にする子どもにかかれているが、あのキラキラした目を見るとあの頃に戻りたいと思ってしまう。
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ローマのアパートで読書療法のスタジオを開いたヴィンチェ・コルソを訪れる文学に救いを求める女性たちに適切と思われる本を紹介する物語。アパートに引っ越してきて2週間後、近所の老婦人パロディの失踪事件が発生し、真相を探ることにもなる。物語のストーリーよりもクライアントに勧める様々な本、未読の本に興味をそそられる。
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【あらすじ】
国語教師採用の順番待ちをしているビンチェ・コルソは読書セラピーのスタジオを開きます。
初めての来客のコンサルタントでは大失態を演じて失敗しますが、その後は調子が出てきてうまくいったりいかなかったり……。そのような時、階下に住むパロディ夫人が失踪。その夫が殺人容疑で逮捕されます。
パロディ夫人は読書好きだったということから、ビンチェは近所の書店から夫人の読書リストを借りてきて分析を始めます……。
【感想】
本の紹介文を読んだ印象では、行方不明者が読んでいた本の内容からプロファイルして色々分析して推理していくのかと思っていたのですが、そうではなかった。
失踪事件捜査がメインではなく、主人公の読書セラピストを訪ねてきたクライエントとの対話が読書セラピー事例集のように続いていて、その合い間というか片手間に失踪事件について考えているものでした。
ビンチェはカウンセリングの資格を持っているということで、専門的なカウンセリングを行うのかと思えば、新聞や雑誌の人生相談に毛の生えたようなものでした。
しかし読書セラピーを名乗るだけあってビンチェの読書量と知識と選択眼は確かなもので、黙って座ればピタリと当たるというわけでもないのですが、少し話を聞いただけで最適だろうという本が出てきます。
クライアントが勧められた本を読んでどう変化したか、どう思ったかという効果のほどは分からないのですが。
登場する本が現代の作品中心なので当然私は読んだことないので分かりません。
どうせなら知名度のある古典的な名作文学から選んでほしかったですね。
巻末の解説によると、著者スタッシさんはローマ大学の司書で、読書セラピーに関する本の翻訳や編集も行っているという。
OLDIES 三丁目のブログ
セラピーの合い間に失踪事件を調査【読書セラピスト】
https://diletanto.hateblo.jp/entry/2022/05/27/203518
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タイトルに惹かれて読んでみたものの…(最近、本や図書館絡みの外国文学を読み何となくがっかりが続いているような…)思ったよりはぐいぐいと読めたものの…面白かったかと言えばそうでもなかった。
途中でこれは「こういうことなんでは」と言う予測が付き、細かい真相まではわからないものの大筋の予測は間違ってなかった。
ただこれ、ミステリーと呼ぶにはちょっと分かりにくいというか、無理があるというか、要するに読書セラピストである主人公の試行錯誤と挫折だらけの人生の話とその読書という一点における見識の高さを披露したいだけの話だったんではないかと思いました。といって、この主人公に共感も憐憫も羨望も何も感じなかった。云ってみれば「何かうじうじしてキライ」(笑)
訳者あとがきに原題直訳が紹介されており(「姿を消した女性読者」)これがタイトルだったら自分は絶対本書を読まなかっただろうなと思ったことでした。
「自分が生み出す筋書きを読んでくれる読者を人はいつだって探すものです」ある登場人物が終盤で語る台詞ですが、一番共感したのはそこだった。そこしかないと言ってもいい(笑)
巻末に本書に登場する数々の名著がリスト化されており、興味のある人は手にしやすいかも。
自分は読んだことのあるものは一つなく、また本書を読んだからどれか読んでみようとも思わなかった。
あとがきに「ここに登場する本を知ってないと(本書を)楽しめないのか。(そんなことはないというニュアンス)」と言う意味のことが書いてありまして、それはそうだがやはり知っていたほうがより楽しめるんではないかと私は思いました。そして実際に日本の読者でここに出てくる本をほぼ読んだというような人ってそんなにいないだろうな、とも思いました。
外国文学、しばらくいいかな…(笑)
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教職の仕事がうまくいかず、新しい仕事を始めたヴィンチェ。
彼曰く、[女性に対して無責任]な主人公は、読書セラピストとして、女性に踏み込んだ助言をして顧客を怒らせてばかり。
仕事では失敗が続き、不安を抱えながらの暮らしの中で、同じアパートに住む老婦人の失踪事件に引き寄せられるように手がかりを集め紐解いていく。
イタリアの街並みの様子や、彼の質素な暮らしを感じる描写から、隠されていた事実が明らかになった時のヒヤリとした静かな感覚は、予想外の恐ろしいものでした。
読書好きな方、ちょっと変わった推理モノを手に取ってみたい方にオススメです。
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開業したての読書セラピスト、ヴィンチェ。読書セラピーという療法に自分でも疑いを持ちつつも、訪ねてくる女性たちの悩みに寄り添う本を選んでいるつもりなのだが、むしろ神経を逆撫でしてしまうことがしばしば。そんなある日、同じアパートに住む老女が突然失踪する。馴染みの本屋で彼女が小説を借りていたと知り、その読書履歴から事件の真相に迫ろうとするが……。
表紙とあらすじから予想したのとはちょっと違う読み味の変な小説(笑)。私が連想したのはブコウスキーの『パルプ』だけど、本文で言及されてるポール・オースターもこんな感じなのかな。なにしろ失踪した老女の名前が「パロディ夫人」で、ヴィンチェはドン・イシドロ・パロディの話を始めるといった有様なので、こっちかー!と手を叩いてしまった。西洋のコミカルなアンチミステリの系譜に連なる、オマージュたっぷりのエンタメ作品なのである。
ろくな宣伝もしてないのに女性が次々訪ねてくるのだが(この辺りが『パルプ』っぽい)、カウンセリングの場面は明らかに主人公ヴィンチェのほうが様子がおかしく、終始「セラピーが必要なのはお前だよ」と思いながら読んでいた。後半、特に死体が上がってきてからはヴィンチェの意識が混濁してきて、これはもしやタブッキの『インド夜想曲』みたいなオチなのでは?と覚悟していたのだが、老女失踪事件は古典に絡めた真相がちゃんと用意されていたので満足。それにしても「ウェイクフィールド」って人気あるなぁ。昔読んでおいてよかった。
読書療法ってほんとうにやってるみたいだけど、全然こんな感じではないはず。ヴィンチェ、マジで怒られて当然の目をクライアントに向けてるし。まぁこれはミステリの皮を被ったダメ男小説として読むのが正しい。冒頭と末尾に置かれた大家とのやりとりは、一番カウンセリングが必要なのはヴィンチェだということを明確に示しており、失踪事件も彼に成功体験を植えつけるセラピーの一環なのかもしれない。1人逮捕されちゃった人いるけど。
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題名からしての推測を大きく離れた読後感。
スタジオを開いたコルソの最初の客はパロディ夫人(ここでなんか笑えるところ)汗顔の時間となった最初のセラピーはコルソの心に澱を残した・・で後日上がった死体。夫に嫌疑~その後は操作や背後事情の語りが無く、コルソの商売ぶり?が淡々と続く。
乾いた語りながら コルソの教養の凄さに圧倒されるばかり。
まるで手相観のお婆さんの様に「読んだ本の履歴を聞くだけ」ばっちりの相性本を推奨できるという天才肌。
とはいうものの、ド・パルデュー似を数か所で呟く彼・・装丁からすると細身イケメンのイタリア人と結構のずれが有る。
読書セラピストという民間資格が有る無は別として、この資格・・頂けないなぁ~読んだ主体の主観がかなり反映する感想になるのは当然、それを手立てとしてセラピーするってドロドロ過ぎない?
文中、ややもすると脳内レイプっぽい妄想をするコルソの呟きには湿ったモノも感じたし。
ただ、筆者スタッシ氏はローマ大学の司書あるだけの教養がもろに反映されていて才能の豊かさに驚嘆した。
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元国語教員で失業中、おまけに恋人とも別れたばかりのヴィンチェは、貸アパートの一室で読書セラピーを始めることにした。ヴィンチェの風変わりな友人達と、何かに縋る思いで訪ねてくる相談者達、さらに失踪した上階の住人を巡って、ヴィンチェは何を思うのか。
なんとも不思議な味わいのお話。
何か解決したようなそうでもないような、、
主人公と一緒に途方にくれながらローマの街を彷徨っている気持ちになりました。
なんと続編が2作もあるそうな。読みたいようなそうでもないような??