「暗号」を軸にした現代叙事詩
2002/08/18 10:42
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投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次大戦前後から現代にかけて、虚実入り混ざった多数のキャラクターの動向を同時に追う、という、複数同時進行型のプロットを採用しているのにも関らず、読んでいてさほど繁雑な印象を抱かせないのは、手慣れた語り口のせいだろう。実際、各断章で提示されるエピソードはどれも面白く、先へ先へと読者を促すのに足りるだけの魅力を充分に内包している。
だいたい半世紀くらいに及ぶ物語の時間的な広がりも相当なものだが、舞台となるのもアメリカ、ヨーロッパ、フィリピン、日本(主要キャラクターが秋葉原のミスタードーナツで待ち合わせするシーンがある!)とほとんど地球全体を覆っていて、まさにグローバルという感じ。
でも、正直、長さの割りには読んでいてあまり「大作感」を感じないのは、いい意味でエンターテイメントのツボを押さえているからでしょう。たしかに、第二次大戦以降顕著になった「軍事」と「情報」の深い結び付きを、「暗号」というキーワードを中心にすえ、幾世代かにまたがる長大な叙事詩として描く、というのは、なるほど、今日的なテーマを内包してはいる。
でも、そうしたテーマとは別に、人間が持つある種の野蛮さ、卑近さについても、この作品では冷徹にみ据えている。登場する人物は、能力的に卓越した物を持っていたとしても、それぞれ欠点や悩みを抱えた等身大の人物として描かれているし、まさにそこが魅力的なのだ。
アメリカ海兵隊も日本兵もナチスも、戦時中の「略奪」や「蛮行」については、ひいき目なしに等分に見据えている。そうした視線のありようが、クールでなかなかいい。
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第二次世界大戦中の暗号に隠された謎とは?
海底ケーブルの事業で窮地に陥った暗号解読者の子孫たちが、その謎に挑む。
大戦中と現代が、暗号(クリプト)によって絡み合う。
題名の「暗号書(クリプトノミコン)」は、もちろん「ネクロノミコン」のもじり。
いやー、毎度ながら、物語はブツ切れで終わってますな。
あれですね、この人の小説は、読み終わってから、「あ〜おもしろかった」と思うものではないです。
いろいろ考えながら読んでいく過程がおもしろい。
筋道きっちり立てた小説が好き…というヒトには向かないかもしれんね。
しかし、SF…というには、無理があるかも。かといって、どこのジャンルに入れるかと問われると、これも困ってしまう。
第二次世界大戦の暗号戦の話、高度な数学の話、ITビジネスの話が出てきたかと思うと、神話の話やTRPGの話やオタクあれこれ、電気街の頃のアキハバラまで出てきますから。
本当に何でもあり。
オタクのオタクのための小説だよなー。話をきっちりまとめられないところもオタク臭くてよいです。
暗号てのは数学の世界です。確率やら素数やら関数やらいろいろ出てきましたが、……えーと、さっぱり分かりませんでした。
数学はものすごく苦手な人間です。100点満点中2点とか取ったことありますからね。
それでも、こうやってパソコンに向かって字を書いてネットに上げるという作業のうちに、そういうわけの分からん数学のお世話になっているわけなんですね。
高度な暗号技術のおかげで、安心してメールのやりとりをしたりネットで本を買ったりもできるわけで。
サイモン・シン「暗号解読」とかを読んでおくととっつきやすいかもです。
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オタクと天才と脳筋マッチョの大冒険。
こんなにわくわくする冒険譚はひさしぶり、いや初めてかも。
4巻まで一気読みでした。
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映画「イミテーション・ゲーム」を見て、チューリングが登場する小説ということで読んでみた。表紙の絵が古くさく、こんなの面白いのかなと不安であったが、読んでいて止まらなくなった。コンピュータが好きな私なので、暗号や数学、コンピュータそのものが出てくるだけで楽しめるのだ。物語は、現代と第二次世界大戦が並行して進む。第二次世界大戦のパートでは、もちろんチューリング博士が登場する。第二次世界大戦時代に登場する人物の子供や孫が現代パートで登場する。過去と現代が微妙なリンクをしつつ、どちらも通信の暗号や解読に関わっており、冒険小説のようでハラハラドキドキする。さて、本作は4作品で1つの大長編だ。第2作の「クリプトノミコン〈2〉エニグマ」までは入手済みだが、残りの2作品も必ずゲットしなければ。第1作でこれから回収されるであろう伏線がたっぷりとちりばめられているように思えた。題材が暗号なだけに最後にはどのように謎が解かれているのか楽しめである。
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長いが面白い、どこがSFか分からない作品
表紙 4点佐伯 経多 中原 尚哉訳
展開 6点1999年著作
文章 7点
内容 660点
合計 677点