紙の本
手のひらサイズの哲学あれもこれも
2023/06/14 16:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
たった数日の間に違う人から同じ本を「とってもいいよ」とすすめられた。
こんなことはめったにない。
だから読もうと思った。
それがこの本です。
表紙の見たとたんに、すかっとさわやかな気持ちになる。
特にこの六月の梅雨時期にはありがたい。
著者は若き哲学者。
彼女は言う。
「何かを深く考えることは、
しばしば水中に深く潜ることにたとえられる。
哲学対話は、ひとと一緒に考えるから、みんなで潜る。」
みんなで潜る、なんだか楽しそう。
哲学、さらに哲学対話が前よりも歩み寄ってくれたような気さえする。
いろんなエピソードが語られる中、
駅前の和太鼓パフォーマンス・ドンドコドンが忘れらない。
「なにかに没入しているひとはすばらしい。(中略)
何かに一生懸命打ち込んでいる人は、その人がその人であることでみなぎっている。」
この駅前の和太鼓パフォーマンスがかたわらを通る人たちの身体に沁み込んでいき、
みんながドンドコドンと太鼓になる。
不思議だけれど、すごくわかるような気もした。
これをテーマにみんなで深く考えてみたい。
これも手のひらサイズの哲学の一つ。
そう気づくと、目についたあれこもこれも深く考えてみたくなる。
それも、誰かと一緒に。
紙の本
哲学ってなんだかいいなぁと思わせてくれる1冊
2023/05/20 15:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何人かで輪になって1つの問いについて意見を言い合う哲学対話を、哲学研究者である著者は、みんなで水中に潜ることに例える。
たくさん考え、時には他者によって自分の考えを変化させたりしながら深く深く潜っていく。明確な答えに辿りつかなくても、きっと心地よい体験だろうなぁと読んでいて自分も参加してみたい気持ちに駆られた。
そもそもこれまで、哲学書なるものは読んでもよくわからないし、答えの出ないことを考え続けることに意味なんてあるの?と思って生きてきた。
でもこの本を読んで、哲学は日常に溢れているし、考える意味を考える前に、まずは問いをたてて考えてみることで、何かが変わる予感がしてきた。
そして考えるネタは無限に存在することに気づき、なんだかワクワクとした気持ちにもなってきた。
著者が物語るユニークな内容に、ずっとこの本を読んでいたいと切に感じた。
この本のおかげで哲学の扉を遅ればせながら私も押すことができた。
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メモ→ https://twitter.com/nobushiromasaki/status/1624343200860364800?s=46&t=QycsBGDIMSjUGNWDytLOxw
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なんども読みたい。最後の哲学研究所です編を読んだのは3時間しか眠れていないのに何故か6:30に起きてしまった日の朝だったが、くくくと笑いながら気づいたら読み終わっていた。どれも読みやすく素晴らしく、こんな文をこんなに書けるってすごすぎる、と同年代の彼女に憧れてしまう。わたしが言葉にできないでいた気持ちや記憶がずらずらでてきてああ!言語化してくれてありがとう!と脳内で言いつづけていた。もちろんたまにわからんものもあった。ユーモアにあふれた考えて考え続ける本。永井さんの著作ぜんぶかお、と決めたけれどこれが1冊目なのか、それにも驚く。
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哲学書ってすごく難解で敬遠されがちだけれど、こんなにも日常に問いがありふれていた。私自身、細かいことが気になってしまうタイプだけれど、私とは違うポイントが気になっている著者の考えが面白かった。
私もそうであるが、日常の当たり前に疑問を抱く人って、どこか世の中に対する生きづらさ、馴染めなさがあるような気がする。疑問を抱くから馴染めないのか?馴染めないから疑問を抱くのか?どっちが先かはわからない。
著者も少なからず同じような匂いがして、とても親近感を抱いた。
他者から見ればしょうもないと思われる問いを立て、疑問を抱き続けるこの性格は変えられないし、むしろ自分の好きなところでもあるので、そうやりながら人生をやり過ごしていきたいなぁ。
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Choose Life Projectをきっかけに若手哲学研究者永井玲衣さんを知り,本書を購入しました。
哲学って気難しいイメージあり,ちゃんと難しい部分は難しそうだけれども,「それも哲学なんだ」って思えるような手が届く疑問も哲学なのかなぁと。
いつも思っていることを上手に言葉にされていてワクワクできました。
自分もこうゆう風に自分の考えていることや日常に対していろいろな言葉の表し方ができたらなぁと思いました。
「哲学対話」は素人がファシリテーター務まるものなんですかね?
問に対して同じ目線で探り合っていく授業もやってみたい。
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ほんとうに水のなかに潜りながらなにかを考えているような感覚で読んだ
まえにどこかで思ったことや、なにかの本で読んだことの断片が出てきて、あぁ考えるってこういうことでよいのだと気づかせてくれる
「もともと物書きではないひとの処女作は面白い」という自分で思う鉄則に、この本もあてはまる。
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小学生のころ、スイミングスクールに通っていた。
そこには親しく話をする友達もなく、先生の言うことを聞いて泳いでいた日々だったのだけど、ひとつだけ、楽しみにしていたことがあった。
それは自由時間にただひたすら潜ること。
息を大きく吸って止め水中に突入し、体にかかる水の抵抗に負けないように、腕で水を掻いてプールの底を目指す。
コポコポと空気の泡を鼻から口端から漏らしながら、底の固い感触を確かめるように、手を伸ばし、トンっと触る。
満足して緊張した体を緩め、勝手に浮き上がる体に抵抗せずに、水面に顔を出す。
――それを延々と繰り返していた。ということを、この本を読みながら思い出していたら、ラストエピソードでの著者の砂場の思い出と妙にリンクしておののいた。(私の中で、ですが)
著者の永井玲衣さんは哲学対話のファシリテーターだそうだ。
学校、企業、寺社、美術館、自治体などで行っている。
小学生もおばーちゃんも、偉い先生も、難しい言葉を使わず、自分の言葉で、どんな問いでも考え、対話する。
論破や共感を目的にすることもなく、積み上げるように、研磨するように、皆で考えを洗練させてゆく。
他者とは分かりあえないまま、「わたし」もわかってもらえないまま、それでも諦めない。
ああ、こういうの、やってみたいな、と思った。
『こわい』の中のおばあさんとのエピソードが大好き。泣いた。
帯文を穂村弘さんと最果タヒさんにお願いしたのは大正解だと思う。
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哲学って、堅苦しくて小難しいイメージだったけど、筆者のやわらかなことば選びにふっと力が抜け、親近感を感じる共通の話題による例え話にくすっと笑った。特に第1章の「水中の哲学者たち」がおきにいり。本当に、水の中に漂うように、ふわふわとした気持ちになる。この世界を見る目が変わってくる。
みんなで哲学対話をして、世界がいい方向に変わっていければいいな。
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は?(驚異)まじで?(懐疑)つら(喪失)
問いを通して自らの他者性を詳らかにする。その試みは、きっと楽しいんだと思う。
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大学での専攻は経営学だったのだが、卒論は企業倫理でさらに哲学のゼミも取っていた。毎回テーマを決めて語り尽くしていたあれは、今なら「哲学対話」と呼ばれるのだろうか。
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永井玲衣という哲学研究者と同じ時代に生きれたことを、カントやデカルト、キルケゴールなどと同じ時代に生きることより嬉しく思う。
このめちゃくちゃで美しい世界で考え続けるために、考え続けましょう。
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永井さんと知らない小学生と高校生とおじさんと哲学対話しているみたいな時間だった
その人たちは知らない人たちだけど、その人たち何にも共有された経験はないけれども、その場にいさえしないけど、確かにそれは対話だった
ツッコミこそ、哲学のはじまりなんだ
哲学が普通に隣にあるものとして立ち現れてきた
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哲学するとは。
考えること。問うこと。なんでだろう?と考えること。
時間に追い立てられてしまいがちな日々を少し振り返るキッカケになった。
するっとしみこんでくる言葉が心地よい本だった
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哲学と聞いて小難しい話を想像したが、内容は著者の日常の生活や、小学生などとの哲学対話を通して感じたことが綴られているので、読み入りやすい本だった。
誰もが一度は感じた・遭遇したことがあるであろう問いや出来事を、著者は水の中へ深く潜るように掘り下げていく。哲学と聞くとどこか難しい話と敬遠していた自分にたいして、日常のどこでても哲学できることを教えてくれた。
「わたしの人生は、わたしが決められて、本当だと思っていることにも、本当に?と問うていいのだ、と思った」(本文p.124から引用)