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珍しい落語小説
2023/12/29 22:59
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投稿者:リオボカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大阪弁の会話が心地よく、とても読みやすかったです。落語のネタについても少し詳しくなります。著者は寡作ですがどれも良い作品です。
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生で落語を聴いたのは両手両足の指の数よりも少ないかもしれへん。でもいま、この本を読んで後悔した。もっと落語を知っておくべきやったと。いやもっと知りたい。
「代書」も衝撃的だった。朝鮮人が登場する落語。ほとんどの落語家はその部分を割愛するらしいけど、これに登場する師匠はきちんと全部やる。
曰く「落語は人を笑う噺やけど、その人の存在を否定するのではなく肯定するのが落語や」やと。なんかしびれた!
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(ネタバレあり)
落語家の師匠・桂夏之助がある日、いなくなった。
心置きなくバカを演じられる面白さに魅了されて、弟子入りした甘夏を軸に、同じ一門の小夏、若夏の3人の成長物語を描く。
師匠はラストまで戻らぬままのストーリー展開だったり、若夏の家族が水俣出身であることの葛藤が加わったりだが、落語の修行世界を明るく描いているので、読みやすかった。
落語好きにもオススメの1冊。
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人はいつだって、誰かを待っているんやね。
大阪の下町、玉出の銭湯に居候する駆け出しの落語家・甘夏。彼女の師匠はある日、一切の連絡を絶って失踪した。師匠不在の中、一門を守り、師匠を待つことを決めた甘夏と二人の兄弟子。一門のゴシップを楽しむ野次馬、女性落語家への偏見――。苦境を打開するため、甘夏は自身が住んでいる銭湯で、深夜に「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を行うことを思いつく。寄席にはそれぞれに事情を抱える人々が集まってきて――。
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落語家の師匠が突然失踪する話。落語を生で聴いてみたい、まだ出来ていないまま。いくつも心に残る言葉があった。
一人でできる、思いっきりアホがやれる。それが噺家。
描写が迫る、感動的な場面、『宿替え』。
この世界も、捨てたもんやない。ワットアワンダフルワールド。byルイ・アームストロング。
オリオン座を知らない甘夏。人間にとって、無知は罪やで、の言葉。
本来は見えへんもんを、見えるようにする。それが文化とか芸能である。
見えへんもんを見えるようにする。それが、落語家の仕事やで。
人を笑う噺が落語。だがそれは否定ではなく、『存在』の肯定。
『代書』、朝鮮人が出てくる噺。
みんな、何かを待っている、というミヤコさん。泣きそうや。深夜の銭湯での落語会。
待つって簡単じゃないし、受け身じゃない。勇気がないと、人は待てない。
見えないものを見えるようにする、そんな落語家が増えていく、のかな。